
脳梗塞かも?首の後ろが痛い原因と見逃せない病院受診のサインとは
2025.07.23

首は、脳へとつながる重要な神経や血管が多く通っている部位です。そのため、首の後ろが痛いと「病気のサインでは?」と不安になる方も多いでしょう。
実際には、首の後ろが痛い場合の多くが、緊急性の低いものです。しかし中には、重大な疾患のサインで、早急に医師の診察が必要な場合もあります。
ここでは「脳梗塞かも?首の後ろが痛い…」と気になったときに知っておきたい原因や、病院を受診すべき目安の症状を解説します。前兆を見逃すと取り返しがつかなくなる恐れもあるため、冷静に対処できるよう正しい知識を身に付けましょう。
目次
脳梗塞のサイン?首の後ろが痛い場合に考えられる原因

脳梗塞のサインの1つとして「首の後ろが痛い」と感じるケースがあります。一方で、首の後ろに生じる痛みの中には、脳梗塞以外の原因によって起こる場合も少なくありません。
首の後ろの痛み解消には、原因に合った方法で正しく対処することが大切です。まずは、首の後ろが痛む代表的な3つの原因を把握しましょう。
外的要因が原因の首の痛み
首の後ろの痛みは、外的な要因が原因となって起こる場合があります。たとえば、不自然な姿勢で寝たことによる「寝違え」や、交通事故などで首に強い衝撃を受けた「むち打ち」です。
これらの痛みは一時的で、休養や安静、軽いストレッチなどのセルフケアで改善する場合も多いですが、長引くようなら整形外科などの医療機関の受診をおすすめします。
生活習慣が原因の首の痛み
普段の生活の中で無意識のうちに首へ負担をかけてしまい、痛みとなって現れるケースもあります。特に多いのが、長時間のスマホやパソコンの作業による姿勢の悪化です。首の後ろにある筋肉や靭帯に過度な負担がかかり、変形が生じて「頚椎症」と呼ばれる加齢性の疾患を引き起こす恐れがあります。
また、首や肩の筋肉がこわばり血流が悪くなると、首の後ろに痛みを感じる「緊張型頭痛」につながることも少なくありません。
このような生活習慣を原因とする首の痛みは、姿勢の改善や首・肩のストレッチで改善に期待ができます。ただし、症状が長引く場合や症状が悪化する場合は、医療機関の受診がおすすめです。
要注意!病気が原因の首の痛み
注意したいのが、重篤な病気が原因で起こる首の痛みです。例えば、急に首の後ろが痛いと強く感じた場合は「椎骨動脈解離」の可能性があります。この疾患は首の後ろを通る「椎骨動脈」が避けることで血流が乱れ、くも膜下出血や脳梗塞を引き起こす危険もある深刻な病気です。
また、くも膜下出血や脳梗塞が単独で発症した場合でも、首の後ろに強い痛みを生じるケースがあります。病気が原因の場合は命に関わる可能性もあるため、早急に医師の診察を受けましょう。
参考:臨床神経学「椎骨動脈から後大動脈におよぶ動脈乖離をきたした脳梗塞の1例」
受診の目安とは?脳梗塞で首の後ろが痛い以外に見逃せない症状

首の後ろに痛みを感じたとき、原因によっては自宅で様子を見て問題ないケースと、すぐに医療機関を受診すべきケースもあります。特に脳梗塞が関係している場合、首の痛み以外にも見逃してはならない症状が現れることが多いため、正しい判断が命を守るカギです。
ここでは、脳梗塞の可能性を見極めるために知っておきたい「首の痛み以外の重要な症状」と、受診の目安となるポイントを解説します。
脳梗塞が疑われる症状|受診の判断ポイント
首の後ろの痛み以外に以下の症状が見られるときは、脳梗塞の可能性があります。
症状名 | 特徴 |
言語障害 | ・言葉が出にくい ・ろれつが回らない |
感覚障害 | ・片側の手足がしびれる ・手足の感覚がなくなる症状が体の片側に現れる |
運動障害 | ・手足に力が入らない ・顔の片側を上手く動かせない |
視覚障害 | ・視界が狭くなる ・物が二重に見える ・視界にもやがかかったような状態になり見えにくい |
バランス障害 | ・足元がふらつく ・足元がふわふわしたような感覚 |
脳梗塞の早期治療は、命を守り、後遺症リスクを軽減できる可能性があります。体の片側のみに症状がみられる、突然の麻痺やけいれんなどの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
油断は禁物!「一過性脳虚血発作」とは
脳梗塞の中には「一過性脳虚血発作」といって、言語障害や感覚障害などの症状が出ても24時間以内に回復する症状があります。症状が一旦落ち着くため「治った」「良かった」「もう大丈夫」と安心してしまいがちですが、本格的な脳梗塞を発症する前兆症状かもしれません。
重症化を防ぐために、一度でも症状を感じたのであれば早めに医療機関で治療を受けましょう。
脳梗塞で首の後ろが痛いリスクを減らすために今すぐできる予防法

脳梗塞を発症すると、命の危険があるだけでなく、たとえ一命を取り留めても重い後遺症が残る恐れがあります。そのため、日頃から脳梗塞のリスクを下げる習慣を身に付けておくことが大切です。
健康的な生活を送れるよう、脳梗塞のリスクを下げるために今すぐできる習慣と予防策を紹介します。
首の痛みを防ぐ生活習慣
日常的に首の後ろへ負担がかかる姿勢や生活習慣は、筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こし、首の痛みの原因につながります。特に、長時間同じ姿勢をとる習慣がある方は、意識的に首の緊張をほぐす工夫が必要です。
- 枕の高さや硬さを自分に合ったものに見直し、首に負担をかけない睡眠姿勢を意識する
- 同じ作業を行う場合は1時間に1回は休憩を取り、首や肩を軽く回すなどの軽い運動を行う
また、喫煙は脳を含む全身の血流を悪化させて脳梗塞のリスクを高めるため、禁煙に取り組むことも大切です。
首に負担を与える動作は控える
脳梗塞につながる「椎骨動脈解離」は、首の後ろを通る動脈に強い負担がかかることで発症する場合があります。そのため、首の椎骨動脈に強い負荷をかける動きは、できるだけ避けることが重要です。
例えば、首をポキポキ鳴らすクセがある方はやめましょう。また、背骨や骨盤のゆがみを矯正する、カイロプラスティックなどが原因で発症したケースもあります。受ける場合は信頼できる専門家を選び、必要以上の施術は避けるよう注意が必要です。
定期的な健康診断の重要性
脳梗塞の発症には、高血圧・高血糖・高コレステロールといった生活習慣病が深く関わっています。これらは自覚症状がないままに進行することが多いため、早期発見・早期対処が命を守る鍵です。
定期的な健康診断や血液検査で脳梗塞につながるリスクを早めにみつけ、生活習慣を見直す機会を作りましょう。症状がなくても定期的な検査を受けることが、脳梗塞の予防につながります。
まとめ|脳梗塞で首の後ろが痛い場合はある!心配なら迷わず受診

首の後ろが痛むことは、日常でもよくある症状の一つです。たとえば、長時間のスマホやパソコン作業、寝違えなどが原因のこともあります。しかし、中には脳の病気が関係していることもあるため注意が必要です。
とくに気をつけたいのが脳梗塞などの重大な病気がかくれているケースです。首の後ろが痛むだけでなく、言葉がうまく出ない、ろれつが回らない、視界がかすむ・見えづらいなどの症状がいっしょに出てきたら、すぐに医師の診察を受けましょう。
早めの対応が命を守ることにつながり、重い後遺症を防ぐこともできます。
もちろん、すべての首の痛みが脳梗塞と関係しているわけではありません。痛みが軽くて、他に気になる症状がなければ、まずはセルフケアをして様子を見てもよい場合もあります。たとえば、首を温めたり、ストレッチをしたりすると改善することもあります。
しかし、少しでも「いつもと違う」「変だな」と感じたときは、自己判断せず、ためらわずに病院へ行くことが大切です。自分の体に敏感になり、早めに行動することが、健康を守る第一歩になります。