四肢麻痺のリハビリ |残存機能を活かした動作改善と日常生活のコツ
2024.03.22
四肢麻痺は脊髄損傷などで起こり得ます。麻痺の中にも、四肢のうちどれかひとつに麻痺が現れる場合や、体の片側だけ麻痺が現れる場合もありますが、四肢の麻痺は最も行動を制限されてしまう状態です。
治療法は状態によって異なりますが、日常生活や社会復帰のために重要なのはリハビリになります。リハビリによって、残っている機能をいかに動作に繋げるかがポイントです。
四肢麻痺におけるリハビリには、家族や介護者のサポートも大切になります。車椅子を使って生活できる自宅の環境を整えることも考えるようにしましょう。
目次
四肢麻痺は何で起こり得るのか?予後の回復可能性とリハビリの関係
四肢麻痺の原因はどのようなことが多いのでしょうか?損傷した脊髄を回復することは不可能ですが、四肢の麻痺はリハビリによって日常生活への復帰を目指すよう心がけましょう。
四肢麻痺の原因
四肢麻痺の原因は主に脊髄損傷か頸髄損傷です。その他にも、遺伝子の異常や脳幹の病変なども原因の一つになり得ます。
脊髄損傷や頸髄損傷は、交通事故や高い場所からの落下、高齢者の場合は転倒なども原因に。しりもちをついたりといった軽い衝撃で頸髄損傷を起こしてしまうことは非骨傷性頚髄損傷と呼ばれ、現代では増加傾向にあります。
また、脊髄は脳から受けた運動に関わる指示を全身に伝える役割があるため、脊髄の中でも傷ついた場所が上の方か下の方かで麻痺の症状も変わるのです。特に、脊髄の上の方の首のあたりは頸髄になるため、損傷を受けると四肢麻痺が起こる可能性が考えられます。
参考:脊髄損傷後のリハビリテーション|MSDマニュアル家庭版
四肢麻痺におけり注意すべき合併症
四肢麻痺が起こると体幹のコントロールも難しくなるため、それに伴い様々な合併症に注意しなければなりません。
特に首の非常に高い位置を損傷した場合は、呼吸をコントロールする筋肉も麻痺してしまうため人工呼吸器が必要になります。また、呼吸不全や無気肺をおこす危険性も。
食べ物を飲み込む筋力が低下することで、誤嚥をおこしやすくなり、その結果肺炎を繰り返してしまう可能性もあります。その他、気管支けいれんや気管支の炎症、睡眠時無呼吸症候群を起こしてしまう場合にも注意しましょう。
四肢麻痺はリハビリで回復するのか?
四肢麻痺を増悪させないために、脊椎が不安定な場合には外科的手術が行われることがあります。手術後の重要な治療となるのがリハビリです。
四肢麻痺した場合のリハビリは、床ずれ・関節拘縮予防と運動療法が中心に行われることに。残存機能を最大限活用できる体にすることを目的としたリハビリであり、麻痺の程度によっては独歩、杖歩行、車椅子での自立などが期待できるでしょう。
四肢麻痺でのリハビリ内容とは?治療法から入院期間まで…退院後のリハビリは?
四肢麻痺が起こってしまった時にはどのような治療・リハビリが行われるのでしょうか?また、車椅子での生活を送る場合には、退院後の生活環境も大切になってきます。
四肢麻痺の治療法|リハビリの重要性
四肢麻痺が残るような脊髄の損傷を負った場合には、まず気道の確保と人工呼吸器を使用します。数日の呼吸のモニタリング後に、人工呼吸器が必要か判断される場合も。
また、誤嚥防止のために体や頭の向きを正す、胃腸の働きを抑えない薬剤を使用するといった治療も行われるでしょう。四肢麻痺によって、睡眠時無呼吸症候群の診断が出た場合には陽圧呼吸治療(シーパップ治療など)がされます。
四肢の麻痺の一般的な合併症である肺炎の予防・治療は継続的に行わなければなりません。
そして、日常生活や社会復帰のために一番重要な治療がリハビリです。四肢麻痺でのリハビリは、専門医とよく計画を立てた上で周囲の人の協力も得られると良いでしょう。
四肢麻痺|リハビリの内容
四肢麻痺のリハビリは、急性期・回復期・生活期の三段階に分かれます。
急性期では、肺炎や痰づまりを起こさないための呼吸訓練や、下肢静脈血栓症、拘縮、床ずれなどの予防のために早期より、離床訓練や動かない手足を動かしてあげるリハビリが必要です。
回復期では、四肢麻痺の場合、手の残存機能により食事や着替え、車椅子の駆動などの動作に対する訓練や工夫といったリハビリが必要になります。歩行が可能になるかは残存機能によりますが、装具や杖を使って歩けるようになることも。
また、麻痺した手足の筋肉がつっぱる「痙縮(けいしゅく)」という症状が強くなる場合には、リハビリと並行して内服薬の投与や神経ブロック療法などが行われます。
参考:脊髄損傷のリハビリテーション|慶應義塾大学医療・健康情報サイトKOMPAS
四肢麻痺|退院後の選択肢
四肢麻痺が残った場合、病院では毎日リハビリをしますが、退院後にもリハビリを継続しなければ関節が硬くなってしまうことがあります。介護保険や自費訪問のリハビリを利用したり、家族や介護者がリハビリを手伝ってあげることが望ましいでしょう。
また、退院後に車椅子が必要ならば生活環境を整えることも必要です。入浴やシャワーの施設の整備や、人工呼吸器の配備などが必要になることもあります。
四肢麻痺では退院後もリハビリを継続!充実したリハビリの環境を整えるために
四肢麻痺では電動車椅子を使えば一人で移動できますが、乗り降りには人の介助が必要になります。わずかに手の指を動かせれば自分で電動車椅子を動かすことも可能です。
ただし、退院後も継続してリハビリに取り組むことが残存機能維持のためには必要となります。
四肢麻痺…症状別・退院後に気をつけること
四肢麻痺が起こってしまった場合、頸髄の上の方を損傷していれば運動機能や感覚とともに自律神経にも影響を及ぼします。自律神経に障害が起こることで、血管の収縮・拡張、発汗、鳥肌を立てるといった機能が低下してしまい、体温の調節や血圧のコントロールが難しくなってしまうことが。
起立性低血圧を起こすリスクがあるため、頭の高くなる姿勢は血圧を管理しながら注意し、寝具や衣類などの配慮も必要になります。
また、人工呼吸器が必要でなくとも呼吸機能が十分とは言えない場合もあるため、横隔膜が動きやすいよう腹筋や肋間筋などが硬くならないリハビリに取り組みましょう。
自費訪問・リハビリの有効性
四肢麻痺の患者には在宅介護がほぼ24時間必要になるといえます。自宅での介護体制を整えたとしても、一人で介護するのは無理かもしれないと不安に思う方もいるでしょう。施設を利用したくとも年齢や条件で利用できない場合も。
私たち自費訪問リハビリ「ネクストステップス」では、車椅子を使った生活や体力作りを安全に手助けいたします。一人一人の症状にあったリハビリ・プログラムで日常生活の自由度を大きく、少しでも移動範囲を広くしましょう。
四肢麻痺に対するリハビリまとめ
四肢麻痺では、24時間の介護が必要になることから社会復帰は難しいと言われています。指の感覚が少しでも残っていれば電動車椅子での移動は可能ですが、活動範囲は大きく減ってしまうことに。
早期にリハビリに取り組むことで、残存機能を最大限活用できる体づくりを目指しましょう。さらに、退院後の生活では、バリアフリーへのリフォームや家族のサポートが必要になります。
自費訪問リハビリ「ネクストステップス」では、体力面・精神面共にサポートできるようリハビリを行います。残存機能を低下させないように、患者様自身のQOLを向上させるリハビリ・プログラムをご提供いたします。