脳梗塞と脳卒中の違いとは?意外と知らない脳血管障害の3つのタイプ
2024.02.06
脳梗塞や脳卒中という言葉は聞いた事があるかもしれませんが、違いについてよくわからないという方も多いのではないでしょうか。脳梗塞も脳卒中も同じ脳の病気を指す言葉です。
脳卒中は脳に血液が流れなくなり、脳の神経細胞が壊死してしまう脳血管障害全般のことをいいます。脳梗塞は脳卒中の1つで他にも脳出血、くも膜下出血があり障害が起きた原因の違いによって分類されています。
脳梗塞と他の脳卒中は症状に違いはあるのか、脳卒中になる原因はなんなのかについて解説していきます。
目次
脳梗塞だけじゃない!脳卒中とよばれる脳血管障害の違いとは
脳卒中は脳血管障害の総称であり、障害が起こる原因ごとに「脳梗塞」「脳出血」などに分類されます。脳血管障害を起こす原因には何があるのか、タイプ別に違いはあるのかをお伝えしていきます。
脳梗塞は脳卒中の中の1つ
脳への栄養と酸素は動脈を流れる血液によって運ばれますが、動脈が詰まったり、破れたりすることによって血液が届かなくなると脳の神経細胞に障害が起きます。その結果、手足のしびれ、言語障害などの症状があらわれる病気のことを脳卒中と呼びます。
脳卒中は障害が起きた原因によって疾患名が異なります。脳梗塞は脳の血管が詰まったり、狭くなってしまうことが原因で神経細胞が壊死することをいいます。
脳梗塞は脳卒中の半数以上
脳卒中は日本人の死因ランキングの4位に位置しており、令和4年には約10万人の人が亡くなっています。がんや心疾患に比べると死亡者数は少ないですが、後遺症が残り介護が必要になる原因としてはもっとも多くなっています。
脳卒中の中でも脳梗塞は過半数を占める病気です。脳の血管がつまり血流が悪くなり、十分な酸素や栄養が届かなくなると脳細胞は死滅してしまい、一度死滅した脳細胞は元に戻ることはありません。
脳卒中の3つのタイプ
脳卒中は脳血管に障害が起きた状態によって疾患名が変わってきます。血管が詰まることで発症する「脳梗塞」の他に、血管がきれてしまう「脳出血」、動脈瘤が破裂して発症する「くも膜下出血」の3つのタイプに分類されます。
脳卒中には含まれませんが、脳梗塞が起きかかった症状が短時間で消滅する一過性脳虚血発作という病気もあります。
これらの病気は半身まひや言葉の障害、意識障害などの症状が起きますが、障害が起こる部位や軽度によって症状のあらわれかたは様々です。
【脳梗塞】脳卒中のタイプ別で症状や原因に違いはあるのか
脳卒中には障害が起きた状態別の3つのタイプがあることがわかりました。では、それぞれの発症後に起こる症状にも違いはあるのでしょうか。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血について詳しく見ていきましょう。
3つのタイプの原因の違い
脳梗塞は血管が詰まることで血液が流れず、脳細胞が壊死してしまいます。脳出血は高血圧などの内側からの圧力で血管が切れてしまい発症します。脳の血管が切れると血液の塊ができ、脳の一部が機能しなくなります。
くも膜下出血は、年とともに膨らんでできた動脈瘤というこぶが破ける事で発症します。くも膜下出血は脳の表面を覆うように出血が広がるのが特徴です。
脳卒中 | 脳梗塞 | 脳の血管が詰まって血液が流れなくなる |
脳出血 | 脳の血管が破れて出血してしまう | |
くも膜下出血 | 脳の血管のこぶ(動脈瘤)が破けて脳の表面に出血する |
脳卒中の症状に違いはある?
脳梗塞と脳出血の症状はよく似ています。
【脳梗塞と脳出血にみられる症状】
・半身の麻痺・しびれ
・ろれつが回らない・言葉が出ない
・立てない・歩けない・ふらふらする
・視野の半分が欠ける・ものが二重にみえる
【くも膜下出血にみられる症状】
・突然の激しい頭痛
・吐き気や嘔吐
・突然のめまいや意識障害
くも膜下出血は今まで感じた事のないような頭痛が突然起こり、そのまま意識を失うことも多い疾患です。
生活習慣の違いがリスクの差
脳卒中を引き起こす5大リスクがあります。
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・不整脈
・喫煙
これらは生活習慣病といわれており、日々の生活習慣が原因で発症します。脳卒中は高齢者の病気と思われがちですが、生活習慣によっては若い世代でもなり得る病気なのです。
生活習慣病は生活習慣の改善や薬によりコントロールすることができます。普段から規則正しい生活を送ることで脳卒中を未然に防ぎましょう。
脳梗塞かも?脳卒中の前兆症状は「いつもと違う」がキーワード
脳卒中の症状は突然起こるのが特徴です。今までとは違う身体の変化や感じたことのない頭痛があった場合は脳卒中を疑いましょう。
また脳卒中は予防する事が何よりも大切なので予防法についてもお伝えします。
脳卒中の5つの前兆症状
突然次のような症状がでたら脳卒中の前兆症状の可能性があります。
・顔の片側が歪んでしまう
・両手をあげると片方の手が落ちてしまう
・言葉がはっきりと話せない
・今までにない激しい頭痛
・めまいがして歩けない
他にも身体の片側にしびれが出現したり、目が見えなくなることもあります。脳梗塞は一刻を争う病気です。一命をとりとめたとしても後遺症が残る確率も高いです。「いつもと違う」と感じたら直ぐに救急車を呼びましょう。
脳卒中は予防が一番大切
脳卒中は命の危険がある上に後遺症も残りやすい病気です。脳卒中のリスクを減らすためには日々の生活が重要になります。
・脳卒中を予防するには
適度な運動
バランスのよい食事
十分な睡眠
お酒や喫煙を控える
まずは生活習慣を見直すことが大切です。脳卒中の原因である生活習慣病は自覚症状がほとんどありません。定期健診や健康診断をうけるなど身体の管理をすることも忘れずに行いましょう。
まとめ|脳梗塞と脳卒中の違いとは?
脳卒中は脳の血管障害による病気の総称です。脳梗塞は脳卒中との違いがあるわけでなく、脳卒中の中でも血管が詰まるタイプの症状のことを表しています。
脳梗塞の他に、脳溢血(のういっけつ)、くも膜下出血が脳卒中と呼ばれる病気ですが、3つは障害が起こる原因の違いによってわけられています。いずれも脳の受傷した部位や重症度によって障害が異なりますが、なるべく早く治療する事が一番大切です。
脳卒中かも?と思う症状があれば、すぐに救急車を呼び、専門の病院で治療を受けましょう。また、生活習慣が大きく関係している病気なので、日々の生活習慣の見直しをすることからはじめることが何よりも予防になります。