NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 視床痛とは?脳卒中後に起こる耐え難い痛みの原因と、薬・リハビリでの向き合い方

視床痛とは?脳卒中後に起こる耐え難い痛みの原因と、薬・リハビリでの向き合い方

視床痛とは?脳卒中後に起こる耐え難い痛みの原因と、薬・リハビリでの向き合い方

「周りに分かってもらいにくい」「触れられるだけで痛い」といった、視床痛を抱える方のリアルな悩みに寄り添い、この記事がその解決のヒントになることを伝えます。

脳卒中発症後は、半身の運動麻痺や感覚麻痺だけでなく、耐え難い痛みを感じる「視床痛(ししょうつう)」を発症するケースがあります。視床痛とは、脳の視床とよばれる部位が障害されて生じる感覚障害で、通常は痛みと認識しない感覚も痛みとして捉えてしまう異常な状態です。

視床痛は、脳卒中のあとに出てくる痛みの中でも、

「周りに分かってもらいにくい」「説明が難しい」と感じやすい痛みです。

実際の現場でも、

「触れられるだけで痛い」

「何もしていないのに焼けるように痛む」

と訴えられる方は少なくありません。

この痛みは、気合いや我慢でどうにかなるものではなく、

脳の中の“痛みの感じ方”そのものが変わってしまっている状態です。

視床痛に対しては、薬物療法や電気刺激、リハビリなどさまざまな方法を組み合わせるのが一般的です。この記事では、治療の考え方に加えて、日常生活で意識できるポイントも整理しています。

視床痛とは?原因や症状の理解と生活に与える影響を解説

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視床痛(ししょうつう)とは、皮膚や関節の痛みとは異なる中枢神経の痛みで、特徴的な症状が認められる感覚障害です。なぜ視床痛が出現するのか、痛みによって生活にどのような影響を及ぼすのかについて理解を深めましょう。

視床痛に見られる特徴的な症状は?

視床痛とは、脳の「視床」とよばれる部位が損傷を受けた影響で生じる、中枢神経性の痛みです。視床痛は、痛みの種類や性質に特徴があり、耐え難い苦痛を伴うケースも多く見られます。

痛みの感じ方・状態考えられる背景現場での考え方・対応の目安
何もしていなくても焼けるように痛む中枢性疼痛の影響が強い可能性我慢せず、早めに医師へ相談を検討
触れられるだけで強く痛む感覚過敏(アロディニア)が起きている刺激を減らす工夫+慎重な評価が必要
痛みが怖くて体を動かせない痛みと動作が結びついた恐怖反応無理のない範囲から段階的に関わる
夜間や静かにしていると痛みが強まる自律神経や睡眠リズムの影響生活リズム・休息環境の見直しも重要
日によって痛みの強さが大きく変わる脳の痛み調整機能の揺らぎ波がある前提で、調子の良い日を活かす
表:視床痛の症状と、現場での考え方の目安

視床痛は「気合い」や「我慢」で治るものではない

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上記の表にあるような症状は、脳の中の「痛みのスイッチ」が誤作動している状態です 。そのため、一般的な痛みのように「慣れ」を待ったり我慢したりしても、なかなか改善しません。

むしろ、一人で抱え込むことでストレスが増え、さらに痛みを感じやすくなる悪循環に陥ることもあります 。まずは、視床痛についてよくある誤解を解き、正しい認識を持つことから始めましょう。

よくある誤解現場での捉え方(実際の考え方)
我慢していればそのうち慣れる「我慢一択」は危険。早めに相談すべき。
痛いから動かしてはいけない関わり方次第で動ける範囲を増やせる。
薬が効かないなら打つ手がない刺激療法やリハビリ、生活調整を組み合わせる。
痛みが残っているなら改善は無理痛みが残っていても、生活が楽になるケースはある。
表:視床痛に関する「よくある誤解」と現場での考え方

<痛みの種類>

  • 焼けるような痛み(灼熱感)
  • 刺すようなするどい痛み
  • 電気が走るような痛み

<痛みの性質>

  • 安静にしていても痛みを感じる
  • 軽く触れただけでも強く痛む(アロディニア)
  • ぬるま湯に触っても強い痛みを感じる

視床痛は、ダメージを受けた視床と反対側の手足や顔面に生じ、脳卒中の発症後数週間〜数ヶ月経ってから痛みが出現する遅発性も報告されています。

辛い視床痛の原因について

視床痛は、脳出血や脳梗塞が原因で視床にダメージを負うことが原因です。では、なぜ視床が障害されることでわずかな刺激でも痛みを感じてしまうのでしょうか?

これは、視床が嗅覚以外の感覚を大脳の知覚野に送る役割を持っていることが関係しています。ダメージを受けると正常な信号が脳に送られないため、さまざまな感覚を「痛み」として認識してしまい、異常な症状が出現してしまうのです。

参考:j-stage「視床痛の発生機序」

痛みが生活に与える影響

視床痛を抱えている状態では、生活にさまざまな影響を及ぼします。

<視床痛が与える影響>

  • リハビリが行えないため、運動機能の回復が遅れる
  • 不安やうつ、睡眠障害の原因になり、活動意欲が低下する
  • 痛みだけでなく、感覚低下や運動麻痺を伴う

脳卒中を発症すると、運動機能を回復させるリハビリが必要ですが、痛みや精神状態の悪化から運動が行えない可能性があります。自宅への退院を目指すためにも、痛みに対する治療が重要です。

視床痛の治療とは|薬・電気刺激・リハビリで辛い痛みを緩和する

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視床痛とは中枢神経が原因の症状であるため、神経に対する治療が必要です。異常な信号を抑制するために、薬や電気療法、リハビリを組み合わせて痛みの軽減を図ります。

投薬やブロック注射で痛みを減らす

視床痛に対する薬物療法は、通常の痛み止めが効きにくいため、神経障害性疼痛に特化した薬を選ぶのが一般的です。

<視床痛に使われる薬>

  • 抗うつ薬
  • 抗てんかん薬
  • オピオイド系鎮痛薬

一つの薬で効果が見られない場合は、患者さんの状態に合わせて複数の薬を組み合わせて使用するケースもあります。薬による効果が得られない場合は、神経ブロック療法で、痛みの伝達路を遮断する方法も検討されます。

<視床痛に対するブロック療法>

  • 星状神経節ブロック
  • 硬膜外ブロック

薬が効かないケースでは、ブロック注射による血流や痛みの改善、自律神経の調整を行い視床痛の症状を緩和をさせます。

脳への電気刺激で神経活動を調整

視床痛は脳の損傷によって「痛みの信号が誤って出続けている状態」であるため、電気刺激を与えて、脳の誤作動を落ち着かせると痛みの緩和が期待できます。

<視床痛に対する電気刺激>

  • 脳深部刺激術(DBS

…手術で視床に電極を埋め込み、電気刺激を与えて痛みの信号を阻害する方法。重篤で難渋する症例に使用される。

  • 経頭蓋電気刺激

…脳の特定の部位に磁気を当てて痛みの神経活動を調整する治療。非侵襲性脳刺激法。

電気刺激療法は保険適応外の治療になるケースもあるため、事前に確認しましょう。

リハビリや認知行動療法も効果的

視床痛には薬や治療だけでなく、リハビリや認知行動療法も一定の効果が期待できるといわれています。認知行動療法とは、考え方(認知)や行動を変えて気持ちを楽にさせるトレーニング方法で、痛みに関する恐怖心や警戒を緩めていくのが目的です。

具体的には、「動いたら痛い」から「少し動いても大丈夫」、「痛くて何もできない」から「少し痛いけど〇〇はできる」というように痛みに対する考え方の変化を狙います。

他にも、リハビリで痛み以外に注意を向ける方法も大切です。軽い運動や趣味、創作活動などを行い、痛みから注意を逸らすような働きかけを行います。

視床痛をケアする方法とは?症状緩和のために押さえておきたい3つのポイント

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視床痛とは、薬やリハビリで治療する以外にも症状を緩和させるポイントがあります。生活習慣の改善や、ストレスを緩和させる働きかけにより、神経の興奮を抑える効果が期待できるのです。ここでは、視床痛を抱える方が意識すべき生活のコツを解説します。

生活習慣の改善が大切

視床痛は、痛みが影響して疲れやストレス、不眠などを引き起こしてしまいます。身体への負担が大きくなると、痛みを抑える神経伝達物質(セロトニンやエンドルフィン)が減ってしまい益々痛みを感じやすくなるため、注意が必要です。

運動や食事などの生活習慣を改善すると、体内で痛みを抑える物質が作り出され、痛みの感じ方が楽になるといわれています。

<運動のポイント>

  • ストレッチやラジオ体操を行う
  • 軽い有酸素運動を取り入れる

<食事のポイント>

  • 腸内環境を整える(食物繊維や発酵食品を食べる)
  • タンパク質が多い食品を食べる

健康的な生活習慣を心がけることが視床痛改善にもつながるため、少しずつ意識しましょう。

休養などのストレス緩和も効果的

痛みに悩む生活が続くとストレスが溜まり、視床痛の感じ方も強くなってしまいます。痛みは心理的な影響も大きいため、ストレスを緩和させるような行動を心がけましょう。

  • 質の良い睡眠を取る
  • ぬるめのお湯にゆっくり入る
  • 瞑想やマインドフルネスも効果的

ストレスが強くなると、神経伝達物質のバランスが崩れて痛みを感じやすくなります。視床痛に悩む方は、心の休養を意識した行動を生活に取り入れて、痛みを緩和させましょう。

専門家に相談して継続的なケアを

生活習慣の見直しやストレスを減らす取り組みを行っても、痛みが改善しないケースもあります。辛い痛みは一人で我慢せず、医師やリハビリの専門職に相談しましょう。

治療の相談だけでなく、痛みに関する悩みや辛さを共有するだけでも痛みの緩和が期待できます。視床痛は、即効性のある治療や効果的な治療が確立されている症状ではないため、継続的なケアがとても重要です。

FAQ|視床痛に関するよくある質問

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Q:視床痛とはどんな病気ですか?

A:視床痛は、脳梗塞や脳出血によって「視床」とよばれる部位が障害されると起こる中枢神経系の痛みです。嗅覚以外の感覚は全て視床を中継するため、視床が障害されると重篤な感覚障害を引き起こし、触覚や温度の感覚も痛みとして感知してしまいます。

Q:視床痛の主な症状はどのようなものがありますか?

A:持続的な灼熱痛(焼けるような痛み)や電気が走るような痛み、皮膚の過敏、軽い刺激でも強い痛みを感じるアロディニアなどがあります。痛みは、身体の片側に集中することが多いです。

Q:視床痛にはどのような治療方法がありますか?

A:投薬や電気刺激、リハビリなどの治療方法があります。治療効果は個人差があるため、さまざまな方法を組み合わせて痛みの緩和を図ります。どの方法も神経伝達物質を調整し、痛みの感じ方をやわらげるのが目的です。

Q:視床痛の痛みはいつまで続きますか?

A:視床痛の痛みは個人差が非常に大きく、回復時期を断定するのは困難です。視床痛は難治性疼痛と言われており、慢性化や完治が難しいケースもあるため、継続的な治療やリハビリが必要といわれています。

まとめ|視床痛とどう向き合うか

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視床痛は、原因や仕組みを知っても、

「自分の場合はどう考えればいいのか」が見えにくい痛みです。

我慢すればいいのか、

動かしたほうがいいのか、

薬に頼り続けるしかないのか。

その判断がつかないまま、

不安だけが残っている方も少なくありません。

大切なのは、

痛みを無理に消そうとすることではなく、

生活の中で何が一番困っているのかを整理することです。

困っている場面が整理できると、

「今、何をすればいいのか」が自然と見えてくることがあります。

もし、

このまま様子を見ていいのか迷っているなら、

一度、状況を整理するところから始めてみてもいいかもしれません。

「このままでいいのか」と感じたタイミングが、整理し直す合図になることもあります。

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