【脳梗塞】むくみが起きるのはなぜ?脳梗塞後のむくみの原因や特徴
2024.09.28
脳梗塞を経験した後、手足のむくみに悩んでいませんか?そのむくみの原因や、腫れとの違いをご存じでしょうか。さらに、脳梗塞後のむくみを解消する方法はあるのでしょうか。
むくみを放置すると、手足の動きが制限され、リハビリの妨げになる可能性があります。また、むくみと腫れでは適切な治療法や対処法が異なるため、見分けることが重要です。
この記事では、むくみのメカニズムや腫れとの違いに加え、脳梗塞後に起こるむくみの特徴や効果的な治療方法をご紹介します。これらの知識を身につけて、リハビリの効果を最大限に引き出しましょう。
目次
脳梗塞むくみはなぜ起きる?まずはむくみのメカニズムを確認
脳梗塞患者さんに限らずむくみは誰にでも起きる現象です。まずはむくみがなぜ起きるのか、メカニズムや腫れとの違いを確認しましょう。
むくみとは
むくみとは水分が何らかの原因で血液やリンパ管の壁からしみだしてしまい、皮下に溜まっている状態のことです。皮下に水分が以上に増加し、体外に排出されずに過剰に溜まってしまうのです。
むくみは血液循環の悪い部分や、一日中立ち仕事をしている場合など、重力により足部に血液が滞留しやすくなりむくみが出現します。
強い痛みを伴うことも少なく、すぐに命にかかわるほどの状態ではないだろうと放っておく方も多いですが、長期的にむくんでいる状態が続くと、血液の流れが悪くない、血栓ができることもあるので早めに改善することが望ましいです。
むくみと腫れの違い
むくみの特徴として「膨らみのある箇所を指で押すとへこむ」「靴下のゴムの跡が長時間残る」などがあげられます。
一方、腫れの場合は膨らみのある個所を指で押してもへこみません。腫れの場合は以下のような特徴があります。
- 押すと痛む
- 熱を持っている
- 赤みを帯びている
腫れの場合は原因が多岐に渡ります。虫刺されや外傷などの他にも内科的な病気が原因で起こることもあります。「腫れがひかない」「痛みや腫れが強くなっている」などの場合は早めに病院を受診しましょう。腫れの症状がどのくらい続いているか、腫れやすい時間帯があるかなどを記録しておくと受診時に役立ちますのでメモしておくと便利です。
脳梗塞むくみが起きる原因|片麻痺患者に多い麻痺性浮腫とは?
脳梗塞発症後に起こるむくみは「麻痺性浮腫」とよばれるものが大半を占めます。脳梗塞後の片麻痺患者さんに生じやすい症状の1つです。麻痺性浮腫の特徴についてみていきましょう。
脳梗塞後に生じる麻痺性浮腫
麻痺性浮腫は麻痺側の不使用・不動によって生じます。脳梗塞発症後に片麻痺となってしまった場合、麻痺側の手足の動きが悪くなり、筋肉を動かしづらくなってしまいます。
そのため、麻痺側の筋力が低下し、筋肉のポンプが上手に機能せず血液が溜まってしまうのです。特に手足は身体の末端に位置するため、心臓に血液を送り返す力が特に弱くなりやすいため、むくみが生じやすくなります。
手に生じるむくみの特徴
生活期の脳卒中患者さんの37%が手のむくみを生じると言われています。筋ポンプの低下による麻痺性浮腫の場合、手の甲や指がぷっくりと膨らむため、ボタンが留めにくい、お箸が持ちにくい、手袋ができないなど生活動作への影響も大きいです。
もし、麻痺側の肩を安静にしていても痛みがあり、手の甲全体が腫れている場合は片手症候群の可能性があります。肩手症候群の発生メカニズムはまだ明らかにされていませんが、脳梗塞の発症後、3ヵ月以内に発症すると言われています。
足に生じるむくみの特徴
脳梗塞発症後むくみの症状が一番出やすいのが足です。靴下のゴムの跡がくっきりついて戻りにくくなったり、膝から下全体がパンパンになるケースが多く見られます。
足が重く感じる、足の感覚が鈍くなる、靴や装具があわなくなるなどの生活への影響が出ます。足のむくみは筋ポンプの低下によるものがほとんどなので、筋ポンプ作用を働かせることでむくみの改善が期待できるでしょう。
脳梗塞むくみを放っておくリスクはあるの?むくみの治療方法は?
脳梗塞後むくみを放っておくことで、痛みを伴ったり、リハビリの妨げになったりと様々な影響がでます。大したことはないと思っていても病気が隠れていることも。
むくみを放っておくリスクとむくみの治療法についてみていきましょう。
むくみを放っておくとどうなる?
脳梗塞後むくみは気になっているものの、むくんだ状態に慣れてしまったり、足の場合は靴下や衣類によって気づきにくかったりと放置されやすいです。
しかし、脳梗塞むくみを放っておくと痛みをともなうむくみの増加や歩行困難など生活にも支障がでます。また、むくみによって関節の可動域が制限されたり、関節運動が難しくなるため、リハビリを阻害する恐れもあります。
大きな病気が隠れている場合も
脳梗塞後のむくみは麻痺性浮腫以外にも全身疾患を合併して起こることもあります。特に脳卒中の危険因子である高血圧、糖尿病、喫煙習慣などを有している場合、心不全・腎不全・肝不全などにより全身浮腫を合併している可能性もあります。
また、むくみによって静脈の流れが滞ってうっ滞した状態が続くことで血栓ができてしまう可能性があります。血栓ができると命に関わることもあるので、むくみがひどい場合や長く続く場合は検査を受けることをおすすめします。
脳梗塞むくみの治療法
脳梗塞むくみの主な治療は以下のものがあります。
- <マッサージ>
むくみに対する代表的な治療法です。マッサージをすることでむくみの水分を皮下から排液する効果があります。力を入れすぎると血栓をつくる原因になるので、強く揉まないように気を付けましょう。
- <着圧ストッキング>
足のむくみに対する治療として用いられるのが、医療用の弾圧ストッキングです。通常のストッキングとは異なり圧迫圧を調整した特殊な構造となります。外側から圧力をかけることで、血液が血管内にとどまらないようにする効果があります。
- <筋ポンプ低下の改善>
普段の生活の中で筋ポンプ作用を促すようにしましょう。そのために重要なのがふくらはぎです。ふくらはぎを動かすことで血液だけでなくリンパ液の流れも促進します。足首の曲げ伸ばしや膝裏のストレッチ、太ももあげなどの筋力トレーニングを日常生活に取り入れてみましょう。
まとめ|脳梗塞むくみの原因や特徴
脳梗塞(のうこうそく)という病気は、脳の血管が詰まってしまうことで起こります。この病気の後、足や手がむくむことがあります。むくみの原因の多くは「麻痺性浮腫(まひせいふしゅ)」といいます。これは、脳梗塞によって体の片側が動かしにくくなる「片麻痺(かたまひ)」が起き、筋肉をあまり使わなくなるため、血液が足や手にたまってしまうことです。
むくみを改善するためには、いくつかの方法があります。まず、マッサージをすることで血液の流れをよくします。また、「着圧ストッキング」という特別な靴下をはくと、足をほどよく締め付けて血液の流れを助けます。さらに、ストレッチや筋力トレーニングをして筋肉を動かすと、「筋ポンプ作用(きんぽんぷさよう)」という筋肉が血液を心臓に戻すはたらきが高まります。これらの方法で、むくみを減らすことができます。
しかし、もし「むくみが長い間続いている」「痛みを感じる」「むくみがどんどんひどくなっている」などの症状がある場合は、他の病気が隠れているかもしれません。ただのむくみだと思って放っておかず、少しでも違和感を感じたら、早めに病院で検査を受けましょう。