亜脱臼による肩のリハビリは正しい方法で原因を突き止めてから開始しよう
2024.12.18
脳卒中の後遺症で、肩が亜脱臼する症状があります。「亜脱臼した肩は治るのか?」、「効果的なリハビリはあるのか?」心配になる人も多いでしょう。
肩の亜脱臼は電気治療や装具療法が有効とされており、早期から行えば、亜脱臼の程度が改善することも報告されています。肩の亜脱臼が進行すれば、肩に痛みが出始め、リハビリや私生活に影響を及ぼすため、正しい対処が必要です。
今回は脳卒中後遺症による亜脱臼、肩のリハビリにはやるべきこと、回避すべき行動があります。選択を間違えることで継続しているリハビリがうまく継続できなくなる、などの可能性も考えられます。具体的に選択肢を理解しておきましょう。
目次
亜脱臼とは?肩への異常はリハビリが必要?脳卒中との関連性もチェック
脳卒中の後遺症で多く見られる、肩の亜脱臼。亜脱臼によってどんな症状が表れるのか?脳卒中との関係性や、痛みとの関わりかたを解説します。
亜脱臼はどんな症状が出るの?
肩の亜脱臼とは、上腕骨と肩甲骨の隙間が広がったり、ずれている状態を指します。通常、上腕骨と肩甲骨の間に隙間はありませんが、転んで手をついたり、脳卒中が原因で肩の関節がずれてしまうことが考えられるでしょう。
転ぶなどの外傷による亜脱臼なら、医師の徒手整復によって改善しますが、脳卒中の亜脱臼は徒手整復では改善しません。脳卒中による肩の亜脱臼は、専門的なリハビリが必要になるのです。
亜脱臼の原因と脳卒中との関係性について
脳卒中によって起こる肩の亜脱臼は、筋肉の麻痺が影響しています。
脳卒中を発症すると、弛緩性麻痺という状態になります。弛緩性麻痺とは、筋肉が緩んだ状態で、思うように力が入りません。肩関節を安定させるローテーターカフという筋肉も麻痺によって緩むので、肩は不安定となり、亜脱臼する形となります。
亜脱臼による肩の痛みは適切に
肩の亜脱臼が進行すると、肩周りに痛みが出現します。亜脱臼によって、関節に無理がかかると、肩回りの筋肉や、関節包といった組織が傷ついてしまうのです。
肩の痛みを抱えたままでは、リハビリが思うように進まなかったり、日常生活に支障をきたすことになります。肩の亜脱臼による痛みは、専門家の元で適切な対処をするようにしましょう。
亜脱臼?肩に痛みが出たらリハビリを考えよう!電気刺激・装具療法
肩の亜脱臼による痛みは、自分で治すことが難しいと考えましょう。亜脱臼に対するリハビリでは電気療法、装具療法が有効とされているので、その内容を解説します。
亜脱臼の疑いが出たらするべき行動・控えるべき行動
「肩が亜脱臼してるかも?」と思ったら、するべき行動と控えるべき行動があります。
〈するべき行動〉
- 三角巾などで肩、腕を保護する。
- 寝るときは腕の下にクッションを置き、肩への負担を避ける。
- 背筋を伸ばした、正しい姿勢をとる。
〈控えるべき行動〉
- 亜脱臼している腕を無理に動かさない。
- ボールを投げるような動作はしない。
- 介助者は亜脱臼してる腕を引っ張らないように気を付ける。
肩の亜脱臼が進行しないように、肩への負担を最小限にする工夫を施しましょう。
電気刺激|リハビリの手段
脳卒中によって起こった肩の亜脱臼に、電気刺激によるリハビリが有効という研究報告があります。具体的には、神経筋電気刺激という方法を使って、肩周りの筋肉の働きを改善するように治療します。
神経筋電気刺激とは、弛緩性麻痺で力が入らなくなった筋肉に電気刺激を加えて、再び力が入るように促す治療です。電気刺激で、肩関節を安定させる筋肉が回復すると、肩の亜脱臼が改善します。
自宅でも電気刺激ができる機械がありますが、電気刺激によるリハビリは専門的な知識が必要なので、必ず専門家の元で行いましょう。
肩への装具療法|有効性について
肩の亜脱臼に装具療法も有効な手段です。
装具療法とは、三角巾や専用の装具で、腕や肩を固定する方法の事をいい、亜脱臼による肩への負担を軽減させる目的があります。三角巾も有効ですが、肘関節が固まるデメリットがあるので、オモニューレクサプラスという装具の検討をおすすめします。
早期から装具を装着することで、亜脱臼の進行を防ぐことができると言われているので、気になる方はリハビリの専門家に相談してみましょう。
参考:株式会社ニューロリハビリ研究所・【2023年版】亜脱臼のメカニズムは?脳卒中と整形外科の違いは?治療からメカニズムまで解説
脳卒中後の亜脱臼・肩が不調…リハビリとの向き合いかたについて
肩の亜脱臼、肩の不調を抱えたままでは、痛みが生じるなど、日常生活に支障をきたします。脳卒中後は歩くなどのリハビリに目が向きがちですが、肩回りのケアも重要でしょう。
脳卒中後に抱えるリハビリと並行して肩周りのケアを行おう
脳卒中後のリハビリは、歩いたり、日常生活動作中心の内容になりがちです。
しかし、肩が亜脱臼した状態を放置したままでは、生活の質を改善するのは難しくなります。肩に不調があれば、肩回りのケアも同時に行いましょう。自分で肩のインナーマッスルを鍛えるリハビリも効果的です。
肩の不調は放っておかずに、しっかりケアしましょう。
生活期リハビリは訪問型リハビリもうまく活用しよう
退院したからといって、リハビリをあきらめる必要はありません。介護認定が下りれば、訪問型リハビリというサービスが利用できます。
訪問型リハビリなら、自宅での生活方法から、気になる肩の悩みまで、リハビリの専門家が解決してくれます。病院でのリハビリが終わっても、訪問型リハビリを活用して、自身の生活の質をさらに高めていきましょう。
まとめ|亜脱臼による肩のリハビリ
脳卒中の後遺症として、肩の骨が正しい位置から少しずれてしまう「肩の亜脱臼」という状態があります。この状態をそのままにしておくと、肩の痛みが強くなったり、手や腕を使うリハビリが難しくなったりして、日常生活に大きな影響が出てしまいます。そのため、正しい対処方法とリハビリがとても大切です。
肩の亜脱臼に対するリハビリには、電気を使って筋肉を刺激する「電気刺激療法」や、肩を支える道具を使う「装具療法」が有効だと言われています。これらの方法を行うと、肩まわりの筋肉を安定させ、痛みがひどくなるのを防ぐことができます。また、退院後に自宅で十分なリハビリができない人には、自宅に専門家が来てくれる「訪問型リハビリ」というサービスもあります。利用したい場合は、担当のケアマネージャーや医師に相談してみましょう。
脳卒中による後遺症はとても複雑ですが、生活のしやすさや快適さを高めるためには、専門家のアドバイスを受けながら、正しいリハビリを続けることが大切です。できる限りあきらめず、専門的なサポートを受けながら地道にリハビリに取り組むことで、少しずつ症状が改善していく可能性があります。