短下肢装具の種類とそれぞれの特性は?短下肢装具のメリットや費用面も
2024.06.18
短下肢装具はひざ下からつま先にかけて装着する装具です。脳卒中などが原因で片麻痺を患った方の足の補助具として下肢装具を用います。下肢装具は大きくわけて長下肢装具と短下肢装具の2種類があります。
短下肢装具は脳卒中の後遺症で最も多く使われている装具の1つですが、一言で短下肢装具といっても種類もあり、何がご自身に合うかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は短下肢装具の主な種類やそれぞれの特徴の他にも短下肢装具の選び方や気になる費用面についても解説していきます。
目次
短下肢装具とは?下肢装具の種類や短下肢装具の効果について
短下肢装具の種類を知る前に、下肢装具の目的や効果・長下肢装具と短下肢装具の違いなどについてみていきましょう。
下肢装具は大きく分けて2種類
下肢装具は大きく分けて「長下肢装具」と「短下肢装具」の2種類があります。
<長下肢装具>
長下肢装具は太ももの付け根まで覆う装具です。付け根まで覆うことで膝の支えの補助をおこなうことができるので、膝折れを起こしてしまう方などが対象となります。また膝が曲がってきてそのまま固まってしまわないように予防する効果もあります。
<短下肢装具>
短下肢装具は膝より下に装着するタイプの装具で、膝で体重を支えることができる方や、長下肢装具を卒業された方が使用します。短下肢装具は金属支柱がついたものやプラスチックやカーボンでできたものなど種類も豊富にあります。
短下肢装具のメリット
短下肢装具を使用するメリットには以下のものが挙げられます。
- つま先が床に引っかかることを防ぐ
- 反張膝を防ぐ
- 長い距離を歩くことができる
短下肢装具を装着することで、足首の左右にぶれないようにしたり、膝が折れたり、突っ張ったりすることを防止する効果があります。
また反張膝で歩行を続けると膝にストレスがかかり痛みが出現する場合がありますが、短下肢装具を使用し反張膝を防ぐことで痛みを予防し、長く歩けるようになります。
短下肢装具の主な種類は?|それぞれの特徴や選び方について
技術や医療の発展により年々短下肢装具の種類が増えています。今回は代表的な4つの種類のそれぞれの特徴について解説します。
金属支柱型
両側に金属の支柱がついたタイプの装具で、短下肢装具の中では最も矯正力の強いタイプです。金属製のため、強い力が加わっても装具の変形が起こりにくいことが特徴です。
ふくらはぎのつっぱりが強い方や足首が硬くなりやすい方、足の変形予防をしたい方に向いています。デメリットとしては他の装具に比べると重く、見た目も重厚感が強いことが挙げられます。
シューホーン型
プラスチック製の短下肢装具でプラスチックの厚さや形状によって支える力を調整しやすいのが特徴です。最も使用頻度の高い装具で、筋肉に突っ張りがある方や歩いている時に膝がまがってしまう(膝折れ)方にむいています。
足をはめるように装着するので、形状が合えば装着したまま靴をはくことも可能です。
屋内でも屋外でも使用できるメリットは大きいですが、プラスチック製のため劣化しやすいというデメリットもあります。
オルトップ型
オルトップ型もプラスチック製の装具で、シューホーンより軽量で厚みが薄いのが特徴です。短下肢装具の中では矯正力が最も弱いですが、リング付きのストラップにより足首の安定性が得られます。歩くときに足先が引っ掛かてしまう方におすすめです。
コンパクト性が高いため外見上目立ちにくい上に、装具を着用したままビジネス用の革靴やスニーカーなどさまざまな靴を履くことができるのが特徴です。シューホーン型と同様劣化しやすいのがデメリットです。
油圧制動式
片麻痺の方の歩行分析に基づいて開発されたのが油圧式の短下肢装具です。足首の動きを油圧で制御し滑らかな体重移動を可能にすることで、自然に近い歩行を実現できます。
さらに、バランスのとれた自然な歩行ができることで「キレイに歩ける」「疲れない」「歩行速度がアップする」などの効果が期待できます。また、コンパクト性やデザイン性も高く、装具をつけたままさまざまな靴を履くことも可能です。デメリットとしては他の短下肢装具より少し値段が高くなることが挙げられます。
短下肢装具を選ぶときの注意点は?短下肢装具にかかる費用も
短下肢装具は身に着けるものなので、自分の症状や生活スタイルに合うものを選ぶことが大切です。最後に短下肢装具の選ぶときの注意点や気になる費用についてもみていきましょう。
短下肢装具の選び方
短下肢装具を選ぶ時は症状の程度や身体の状態、年齢によって形状や材質を検討します。今の状況にあった短下肢装具を選ぶためにも専門家やかかりつけ医に相談してみましょう。
また、実際に使う短下肢装具を選ぶときは以下の点に気を付けましょう。
- 装着中に痛みがないか
- 装具を外した時に、皮膚に赤みや擦れはないか
- 歩いてる時に膝が反りかえらないか(反張膝)
- 固定はできているか
短下肢装具の種類にもよりますが、耐用年数は1年半~3年程度なので定期的に作り変える必要があります。ベルトがゆるんでいないかなどの確認も行いましょう。
短下肢装具にかかる費用
短下肢装具の種類によって値段も変わります。目安となる金額は以下の通りです。
金属支柱型 | 5万円~ |
シューホーン型 | 7万円~ |
オルトップ型 | 2万5000円~ |
油圧制動式 | 12万~ |
オーダーメイドする場合や販売元によっても値段は変わってきますので、気になる方はかかりつけ医や理学療法士や義肢装具士などに相談してみましょう。
また、短下肢装具は医療保険や介護保険が適用になる場合があります。適用されると1割~
3割負担で購入・作成することができるので一度相談することをおすすめします。
まとめ|短下肢装具の種類について
短下肢装具は、脳卒中などの後遺症で片麻痺を患った方の補助具として使用します。最も多く使用される短下肢装具は種類も豊富です。
今回は主な短下装具である「金属支柱型」「シューホーン型」「オルトップ型」「油圧制動式」の4種類をご紹介しました。
ご自身の症状やからだの状態、年齢や生活環境にあった短下肢装具を選ぶことが大切です。短下肢装具を検討する場合や新しく作り直す場合は、かかりつけ医や理学療法士と相談しながら、最適なものを選んでください。