
脳梗塞は再発リスクが高い!?再発予防の重要性と効果的な予防策を解説
2025.05.14

脳梗塞は、一度発症するとその危険因子を持っている状態となるため、再発のリスクは高まるといわれています。
また、再発時は初回よりも重い症状となり、より介助が必要となるかもしれません。そのため、脳梗塞発症後は生活改善やリハビリなどの再発予防策を講じることが重要です。
「脳梗塞の再発予防って具体的にどうしたらいいの?」という方も多いでしょう。この記事では、再発を防ぐ効果的な方法を解説します。再発予防の重要性を理解したうえで、生活習慣の改善やリハビリなど、適切な予防策に取り組みましょう。
目次
脳梗塞が起こる原因|再発率からわかる再発予防の重要性

脳梗塞が発症すると手足の麻痺や言語障害などがおき、日常生活に影響を及ぼす場合があります。また、再発すると初回よりも重い症状が出やすいため、ここで解説する脳梗塞の原因や特徴を理解して再発予防に取り組みましょう。
脳梗塞の種類と原因
脳梗塞には、ラクナ梗塞・アテローム梗塞・心原性脳塞栓症の3つにわけられます。
- ラクナ梗塞:細い血管がつまることで発生
- アテローム梗塞:太い血管がつまることで発生
- 心原性脳塞栓症:心臓などでできた血栓が脳の動脈でつまることで発生
この中でも、アテローム梗塞と心原性脳塞栓症は太い動脈でつまるケースが多く、重症化しやすいのが特徴です。
これらの脳梗塞の原因として、高血圧や糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化がよくみられます。脳梗塞のリスク軽減には、飲酒や喫煙を控える・適度に運動する・水をたくさん飲むなどを心がけ、血圧を一定に保つことが効果的です。
脳梗塞の再発率
脳梗塞は再発リスクの高い病気です。具体的には、脳梗塞の1年再発率は10%・10年再発率は49.7%という報告があります。つまり、1年間で10人に1人は再発しているのです。
その理由として、一度でも脳梗塞を発症するとその危険因子を持っている状態であるから、ということがあげられます。また、再発時は初回よりも重い症状が出やすく、新たな後遺症が起こる可能性もあります。
再発するたびに悪化していく恐れがあるため、生活習慣の見直しや定期的な健診を行い、再発リスクを抑えることが重要です。
参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15716529/
脳梗塞の再発予防のために何ができる?再発を防ぐ3つのポイント

脳梗塞は再発リスクが高く、再発時には重い後遺症が残る場合があります。そのため、脳梗塞経験者にとって再発予防は非常に重要です。ここでは、脳梗塞の再発予防に効果的な3つのポイントを解説します。
血栓を予防する
血栓を予防するには、血がかたまりにくくする薬を使用する抗血栓療法と、手術などによって血流を改善する外科的治療の2つの方法があります。
抗血栓療法は、発症した脳梗塞のタイプによって使用する薬が異なり、それぞれ継続した服用が大切です。心原性脳塞栓症の場合は抗凝固薬、アテローム梗塞やラクナ梗塞の場合は抗血小板薬がよく使用されます。
危険因子をコントロール
脳梗塞の危険因子をコントロールする方法として、薬の服用や生活習慣の見直しが効果的です。生活習慣の見直しでは、以下の4点を意識するとよいでしょう。
- 塩分を控えた食事
- 禁煙をする
- 適度な飲酒量を把握する
- 適度な運動
運動する際は無理のない範囲で行い、後遺症によって運動が困難な場合は、専門家の指導のもと行うリハビリテーションを活用するとよいでしょう。
定期的な健康診断
脳梗塞と関連する身体の状態を早期に発見するためには、定期的な健康診断が欠かせません。定期的な健康診断は、脳梗塞の再発リスクを軽減すると同時に、健康的な生活を送ることにもつながります。
特に、「40歳以上・脳梗塞の危険因子を持っている・一度脳梗塞を起こしている」方は、意識して健康チェックを行うようにしましょう。身体の異常を早期に発見し、適切な予防策を行うことが、脳梗塞の再発リスク軽減につながります。
脳梗塞の再発は症状の悪化につながるかも…効果的な再発予防策

脳梗塞の再発は、これからの生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります。脳梗塞経験者は特に、高血圧に注意が必要です。健康でより良い生活を送るためにも、脳梗塞の再発リスクと、再発予防のためにできることを理解しておきましょう。
再発によるリスク
脳梗塞が再発すると、初回よりも重い症状が出る可能性があります。また、繰り返す再発は重い後遺症が残り、麻痺などの症状が改善しにくくなることも少なくありません。
さらに、食事や着替えなどの日常動作が困難になる・認知症が悪化するなどによって、より多くの介助が必要になる場合もあります。
高血圧に注意
脳梗塞の再発予防として、高血圧の管理が特に重要です。
脳卒中治療ガイドラインにおいては、血圧レベルは少なくとも140/90mmHg未満とするように推奨されています。医師から高血圧の治療薬が処方されている場合、決められている期間は継続して服用するようにしましょう。
また、精神的ストレスも高血圧の原因の一つとなるため、趣味を見つけたり十分な睡眠をとったりしてストレスを軽減するのも大切です。
参考:日本脳卒中学会:脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]
継続的なリハビリ
脳梗塞後のリハビリは、身体機能の回復や症状の悪化を防ぐ役割があります。ただし、リハビリは短期間で完了するものではなく、長期的に継続して取り組むことが大切です。
リハビリを中断してしまうと身体機能は少しずつ衰えていき、できないことが増え、精神的に落ち込んでしまう方もいます。心身の健康維持のためにも、継続的なリハビリが重要です。
しかし、「リハビリ継続には経済的負担が…」という方は少なくありません。この問題解決のために、助成金やサポートグループ、団体からの援助などの制度が設けられています。これらの制度を活用して、継続的なリハビリに取り組みましょう。
まとめ|脳梗塞発症後は再発に注意!再発予防において大切なこと

脳梗塞を一度起こすと、もう一度起こる「再発」の可能性が高くなります。でも、正しい予防をすれば、そのリスクを下げることができます。
特に大切なのは、脳梗塞の原因となる「危険因子」をコントロールすることです。
たとえば、
- 毎日軽く体を動かす(ウォーキングやストレッチなど)
- 野菜や魚中心の食事にする
- ストレスをためすぎないように工夫する
こうした生活習慣の見直しが、再発の予防に役立ちます。
また、たばこをやめることや、お酒の量を減らすこともとても重要です。血圧や血糖値をチェックするために、定期的に健康診断を受けることも忘れずに。
脳梗塞が再発すると、最初のときよりも重い症状が出たり、新しい後遺症が残ったりすることがあります。後遺症が増えると、日常生活がさらに大変になるかもしれません。
だからこそ、医師やリハビリの先生と相談しながら、自分に合った予防を続けていくことが大切です。できることから少しずつ始めることが、将来の安心につながります。