
片麻痺は一生治らない?片麻痺との向き合い方・自分にあった適切なリハビリとは?
2025.04.09

片麻痺の変化に戸惑い、「もう前のようには戻らないのでは?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
脳出血や脳梗塞などの後遺症として現れる片麻痺は、発症前とまったく同じ状態に戻るとは限りません。しかし、リハビリを行うことで、生活に支障がないほどに回復した例も数多くあります。ただし、中長期的に時間をかけたリハビリにもなるため「片麻痺は一生治らないのでは…」と不安に苛まれることも想定されます。
今回は、片麻痺のリハビリ方法や日常生活での工夫、リハビリを継続するためのコツを詳しく紹介します。自分にあった適切なリハビリ方法を見つけましょう。
目次
片麻痺は一生治らない?片麻痺の主な症状とリハビリの進行

片麻痺になると、「一生治らないのでは?」と多くの方は不安に思います。しかし、『可塑性(かそせい)』という能力があり、傷ついた脳の機能をほかの脳の部分が代わりを担う仕組みです。
可塑性により機能は徐々に回復していきますが、適切にリハビリをすると、機能をさらに引き出せます。まずは、片麻痺の主な症状と、リハビリの進め方を解説します。
片麻痺の具体的な症状とは?
片麻痺とは、身体の片側(右半身または左半身)に麻痺が出てしまう症状を言います。
脳卒中や脳出血などによって、脳の一部がダメージを受けると回路のつながりが悪くなることで発症します。
主な症状は、
- 手足を思うように動かせなくなる(運動障害)
- 筋力低下
- 温度や触覚など感覚が鈍くなる感覚障害などがあります。
- 関節の可動性が減って動かしにくくなる(拘縮:こうしゅく)
片麻痺の程度は人によって変わり、軽い場合はある程度の動作ができますが、重症度によっては歩行や日常動作に大きな影響を及ぼす方もいます。
リハビリはどのように進めていくのか
片麻痺は3つの段階
- 急性期
- 回復期
- 慢性期
にわかれます。
- 急性期(発症〜数週間)
関節が固まらないように関節を動かす、筋肉をゆるめる、片麻痺になっていない半身の筋力強化などをしていきます。
また介助してもらい、座る・立つ・車いすに乗るなどの動作をして、ベッドから離れるようにしていきます。
- 回復期(発症後数週間〜半年)
機能が回復しやすい時期で、積極的にリハビリを行っていきます。
急性期でも行ったリハビリに加え、歩行練習などを通して、基本的な動作を少しずつ取り戻していきます。
また日常生活動作(食事、入浴、着替えなど)を行えるようにリハビリしていきます。
- 慢性期(発症後半年〜)
回復のスピードはゆるやかになります。
しかし、リハビリの回復効果自体は残るため、継続により動きは改善していきます。
この時期は生活内でリハビリを取り入れ、継続的に動くことが重要になります。
基本的には各期に合わせてリハビリをしますが、個々の状態により適応するリハビリは変わる場合もあります。
〈日常生活での工夫〉片麻痺は一生治らないものではない!?

片麻痺は一生治らないものではありません。しかし、改善・回復具合は人それぞれ。その中で継続的なリハビリも求められます。生活でも意識的に入れていくのが大切とされていますので、生活内での動作も工夫しましょう。
日常動作をリハビリにする方法
機能を回復させるためには、普段の生活内で麻痺側を使う機会を増やすのが大切です。
- 食事の際に麻痺側の手を皿に添える
- 歯を磨くときに麻痺側の手で歯ブラシを持つ
- 服を着るときに麻痺側の手を先に袖に通すなど
始めは難しく感じるかもしれませんが、少しずつ意識して使うことで、脳が再学習して動きの改善ができます。
安全性の高い歩行を身につける工夫
転ぶリスクが高いため、安全性の高い歩き方の意識が大切です。
バランスを取るため、足を幅に開き、踵から着地を意識して杖や手すりを活用すると安定していきます。また、靴は滑りにくいものを選び、段差のある場所は普段より慎重に足を運ぶことを心がけましょう。
生活期で自宅に戻るとちょっとした段差や今までできていた持ち運びができないことにギャップを覚えるでしょう。そういった環境設定も意識しながら過ごしやすく、体を動かしやすい状況に部屋を改善しておくことも重要です。
〈家族・周囲の方へ〉片麻痺は一生治らないものではない!
片麻痺のリハビリは、本人だけでなく、家族のサポートも重要な役割を果たします。本人が「片麻痺が一生治らないかも…」と不安に思い、継続的なリハビリができないよう時期も出てくることでしょう。周囲の人は、環境設定をきちんと行い、できたことを積極的に伝えることで、本人のモチベーション維持に努めてください。
また、無理に手を貸さず、本人が自分でできる範囲を少しずつ増やせるように見守るのも大切です。加えて、専門家の意見も重要ですので、頼るべき部分は頼るなど、抱え込みすぎないように調整しましょう。
片麻痺のリハビリを続けるためのポイント!短時間でもOK?

リハビリは長期的な取り組みになるため、継続が何よりも重要です。しかし、成果がすぐに見えないと、モチベーションが低下してしまいます。ここでは、モチベーション維持を行うためのポイントを紹介します。
ポイント1:短時間でも効果あり!
『短時間でも毎日続ける』を意識し、無理なく習慣化が大切です。大きな目標ではなく、「今日は○歩歩く」「麻痺側の手でコップを持つ」など、小さな目標を立てると達成感を感じやすくなります。
一方で、習慣化しやすい環境を整えることも重要です。できることをできやすい環境にしておくことで、スモールステップを着実に踏んでいけるでしょう。
細かい失敗を気にしない
リハビリには波があり、うまくいかない日があるのは当然です。失敗を気にせず、「また頑張ろう」と前向きに取り組むことが回復への近道になります。
本人だけでなく、家族や周囲の人も同様です。悲観的になればなるほど「片麻痺は一生治らないかも…」と、不安な気持ちが押し寄せてくるでしょう。
セカンドオピニオンや定期的なリハビリプランの見直しなども行い、どのくらいステップをふめているのか理解する機会も作ることがおすすめです。
まとめ|片麻痺は一生治らないの?

「片麻痺」とは、体の片側が思うように動かしにくくなる状態を指します。リハビリでは、その動きにくさを少しでも改善し、できることを増やすことを目指していますが、すぐに大きな成果が出るわけではありません。しかし、小さな努力を毎日積み重ねることで、体は少しずつ変わっていくのです。
リハビリをするうえで、一人で悩まないことがとても大事です。家族や専門家に相談したり、助けを借りたりしながら、少しずつ前に進んでいきましょう。もし「片麻痺は一生治らない」という不安や、思うように体が動かせないもどかしさを感じているなら、遠慮せずにリハビリの先生や主治医に伝えてください。専門家に気持ちを打ち明けることで、あなたに合ったアドバイスやサポートを受けやすくなります。
また、弱音を吐ける場所をつくることも大切です。友達や家族、あるいはリハビリの先生など、誰かに本音を話すことで気持ちが軽くなるかもしれません。自分だけで抱え込まず、必要なときには周りを頼ってみましょう。気持ちが前向きになれば、リハビリにも取り組みやすくなります。地道な努力の先に、少しずつできることが増えていくと信じて、一歩ずつ進んでいきましょう。