NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 脊髄腫瘍の後遺症に効果的なリハビリと治療法 | 症状と予後についても解説

脊髄腫瘍の後遺症に効果的なリハビリと治療法 | 症状と予後についても解説

脊髄腫瘍の後遺症に効果的なリハビリと治療法 | 症状と予後についても解説

脊髄腫瘍の後遺症であるという神経障害性疼痛に対して、有酸素運動を取り入れたリハビリが効果的であることが報告されています。リハビリを行う際は、理学療法士に相談することで、より効果的なプログラムを組むことができるでしょう。

脊髄腫瘍の後遺症でお悩みの方や、リハビリをご検討中の方に向けて、以下の点について詳しく解説します。

  • 脊髄腫瘍後遺症に対するリハビリの効果
  • 脊髄腫瘍後遺症の治療法
  • 脊髄腫瘍の予後

脊髄腫瘍の後遺症は、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切なリハビリテーションを取り入れることで、後遺症の症状を管理し、よりよい生活を送ることが可能です。

本記事を通じて、脊髄腫瘍後遺症の症状改善に向けた情報を提供し、患者さんやそのご家族の方々が、積極的にリハビリに取り組むきっかけになれば幸いです。

脊髄腫瘍とはどのような病気?種類や症状について解説

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脊髄腫瘍は脊髄の内外にできる腫瘍で、しびれや筋力低下など神経の圧迫症状がでる病気です。脊髄腫瘍の種類や症状を押さえれば、病気への理解が深まります。

脊髄腫瘍は3種類に分けられる

脊髄腫瘍は、脊髄や脊髄神経を覆う硬膜や脊椎に発生する腫瘍を指します。腫瘍によって脊髄や神経根が圧迫される病気で、人口10万人あたり年間2.5人程度発症するまれな病気です。遺伝子の突然変異が原因と考えられており、まれに家族性で発症します。

脊髄腫瘍は発生する場所によって次の3種類に分けられます。

➀硬膜外腫瘍…硬膜の外側にできる腫瘍が脊髄を圧迫する。硬膜外腫瘍の多くはがんの転移性腫瘍。

②硬膜内髄外腫瘍…硬膜の内側で脊髄と硬膜の間にできた腫瘍。神経鞘腫と髄膜腫の割合が高く、良性腫瘍が多い。

③髄内腫瘍…脊髄内にできる腫瘍。神経膠腫(グリオーマ)が多く、腫瘍の進行速度や悪性度は組織型によって異なる。

参考:日本脊髄外科学会「脊髄腫瘍」

脊髄腫瘍の症状|神経の圧迫による障害

脊髄腫瘍は腫瘍の種類に関わらず、脊髄の圧迫症状が主です。脊髄腫瘍の症状は次のとおりです。

・両手足や体幹の痛み、しびれ

・筋力低下、脱力

・尿や便の失禁

・呼吸障害

脊髄内腫瘍は片側にやや偏るか左右差のない運動障害、脊髄外腫瘍は片側に偏った運動や感覚の障害がみられます。症状は動かしているときにでやすいですが、安静時でも症状はでる可能性があります。症状は年単位での進行が一般的です。

脊髄腫瘍の検査と診断方法

脊髄腫瘍は問診や診察による神経学的所見と、画像検査の結果を総合して診断します。レントゲン画像が正常で、MRIで脊髄腫瘍が見つかれば診断可能です。

腫瘍の種類や広がりを確認するため、多くは造影CTを実施します。脊髄腫瘍の種類を特定するために、手術で腫瘍の組織を採取して病理組織診断もします。

脊髄腫瘍後遺症でリハビリが必要な理由は?治療法や予後も解説

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脊髄腫瘍の後遺症にはリハビリを併用します。神経が脊髄腫瘍で長期に圧迫されると、手術をしても症状が改善せず後遺症になる場合があるためです。治療法について詳しくみていきましょう。

脊髄腫瘍の治療|適応があれば手術療法

治療によって脊髄腫瘍をできる限り小さくして、症状の改善や進行を防止することが目的です。

無症状で良性腫瘍の診断であれば、経過観察で腫瘍の大きさや症状を評価し、治療のタイミングをはかります。

脊髄圧迫による神経障害の症状があるときは、ステロイドの注射や内服をします。ステロイドが脊髄のむくみを軽減させるためです。神経障害の症状は急速に確定して戻りにくくなるため、脊髄腫瘍はすみやかに治療します。

適応があれば手術療法を選択。脊髄腫瘍の手術は骨の深いところで細い神経を扱うため、整形外科ではなく脳神経外科で手術されることが多いでしょう。手術で腫瘍を摘出すると症状の改善が期待できます。しかし、手術をしても症状が残ったり、手術によって脊髄や神経を損傷する後遺症のリスクがあります。

摘出困難な脊髄腫瘍は放射線治療が有効なケースもあるでしょう。腫瘍の増大を抑制できない場合があり、放射線の影響による合併症がデメリットです。腫瘍以外の組織に放射線が照射されると、放射線性壊死悪性腫瘍のリスクがあります。

参考:東京女子医科大学脳神経外科「脊髄腫瘍」

脊髄腫瘍後遺症|神経障害性疼痛

神経が脊髄腫瘍で長期に圧迫されると、手術をしても症状が改善せず後遺症になる場合があります。一旦、神経の障害が確定すると自然回復は難しくなるでしょう。

術後にしびれや筋力低下は悪化する場合があり、回復には個人差があります。

また、手術で脊髄神経を栄養する血管が障害されて脊髄や神経が損傷すると、後遺症として神経障害性疼痛が考えられます。神経障害性疼痛は痛みを伝える神経の損傷や病気によって起こる痛みです。

しびれを伴う痛み、発作のような強い痛みが短い間隔で起きる、電気が走ったような痛みなどが症状です。

薬物療法とリハビリの併用で治療をします。

脊髄腫瘍の予後|良性・悪性かで異なる

良性の脊髄腫瘍は手術で摘出できれば症状の改善がみられ、再発の可能性が低く予後は比較的良好です。

がんの転移性脊髄腫瘍の場合は急性悪化が多く、約75%が発症から1か月以内に完全麻痺に移行します。診断後の平均生存期間は約3~6か月、患者さんの80%程度が症状出現時より3か月以内に死亡すると報告されています。

参考:高見俊宏ほか「転移性脊椎・脊髄腫瘍の手術適応と限界」

脊髄腫瘍後遺症にリハビリは効果がある?理学療法士に相談する利点

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神経障害性疼痛にリハビリが与える効果

有酸素運動は痛みの感受性を低下させるメカニズムが活性化するため、慢性疼痛の治療に使われています。

幾央大学の研究によると、長期間(18週間)の理学療法で頚髄不全損傷患者さんの神経障害性疼痛が軽減したとされています。有酸素運動として吊り下げ式の免荷装置を使って患者さんの体重を一部引き上げる「トレッドミル歩行トレーニング」で痛み強度が軽減されました。神経障害性疼痛に対するリハビリの有効性を証明しています。

参考:幾央大学ニューロリハビリテーションセンター「長期間の理学療法が脊髄損傷後の神経障害性疼痛に及ぼす影響」

脊髄腫瘍後遺症のリハビリは理学療法士に相談

脊髄腫瘍後遺症のリハビリは、理学療法士の専門家と実施が望ましいでしょう。専門家に相談し患者さんの状態に合わせたリハビリが効果的です。

リハビリの重要な役割は「障害の予防」です。脊髄腫瘍後遺症に伴う痛みやしびれのリハビリは、自己中断すると筋力が低下したり関節が硬くなって生活しづらくなる可能性があります。また、リハビリのやりすぎも負担が強く、痛みにつながる場合があります。

脊髄腫瘍後遺症へのリハビリに対して、理学療法士は長期と短期のゴールセッティングや運動のプログラム立案が可能です。リハビリ時に再評価をし、ゴールやプログラムの修正を繰り返して患者さんの生活を支援します。

まとめ|脊髄腫瘍後遺症に対するリハビリの効果や治療法

脊髄腫瘍は、手術や放射線療法などの治療を通じて腫瘍のサイズを可能な限り縮小させることを目的とします。これにより、症状の改善や病状の進行を防ぐことが期待できます。

しかし、治療後も神経障害性疼痛といった後遺症に悩まされることがあります。この痛みは、しびれを伴ったり、発作のように強い痛みが短い間隔で起きたり、電気が走るような感覚を伴ったりします。

このような脊髄腫瘍の後遺症に対しては、リハビリテーションを併用することが有効です。特に、有酸素運動を取り入れたリハビリは、神経障害性疼痛の軽減に効果があると報告されています。

以上のように、脊髄腫瘍の治療では、手術や放射線療法と並行してリハビリテーションを行うことが重要です。適切なリハビリを継続することで、後遺症の改善と患者のQOL(生活の質)向上が期待できるでしょう。

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