日常生活に支障をきたす前に!首下がり症候群の治療やリハビリとは
2023.07.28
みなさん首を大事に使えていますか?もしくはすでに首に何らかの問題を抱えている人もいるのではないでしょうか。首は脳と全身を繋ぐ大事な部位。しかし、性質上問題が生じやすい部位でもあるのです。
パソコンやスマホの多用、猫背等の姿勢の崩れにより首が前に出てしまう状態のことをストレートネック(スマホ首)といい、聞いたことがあるのではないでしょうか。このほかにも、原因がさまざまである首下がり症候群という首が正常でない状態になってしまい、悩みを抱える人は多くいます。
今回の記事では首下がり症候群の気になる原因や、リハビリについて詳しく解説します。
目次
首下がり症候群の原因はさまざまあるの?進行するとどうなる?
首下がり症候群は「症候群」であるだけに、原因はさまざまです。代表的な原因や、進行するとどんな影響があるのかをみていきましょう。
発症する原因は神経?筋力の問題?
首下がり症候群は、体を起こした状態で顔を持ち上げ、真っ直ぐ前を見ることができないことです。首から大きく前屈していて、全身を横から見ると「7」の形に見えます。仰向けに寝ると元に戻ります。
原因は、加齢による筋力の低下が多いと言われていますが、神経に関する病気(パーキンソン病、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症等)、骨盤の歪みや脊椎の異常といったさまざまなことが原因と考えられています。
人間は、横から見て脊椎がS字型に弯曲することで、体重を分散し重い頭を一番上にして直立することができます。頸椎は前弯ですが、首にある頭板状筋や頭半棘筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋といった筋肉や、項靭帯が頸椎を後ろから支えることで、首を起き上がらせて姿勢を保っています。
これらの筋肉や靭帯の機能が低下すると、頭を支えられなくなり、首が前屈してしまうのです。若い人にも多いストレートネックも、頸椎の前弯がなくなり真っ直ぐになって頭が前に出てしまうものですが、悪化すると首下がり症候群に移行する可能性もあります。そのため、首下がり症候群の患者は増加の一方だと考えられています。
放置すると日常生活に支障を及ぼす
顔が上げられずうつむいた状態のため、歩行に支障が生じたり、洗面ができない、咽頭が狭くなり嚥下困難や発声ができないといった、日常生活に必要な動作にさまざまな影響を及ぼします。
首の筋肉は背中の筋肉に支えられており、首の筋肉が正常な機能を果たしていないと、背中の筋肉に大きな負担を強いることになります。背中の筋肉が縮まって固まると、呼吸がしづらくなることも。
美しい姿勢を保つのは、周りの人に良い印象を与えるだけでなく、本人の生命活動の維持にもとても大きく関わることだったのです。
精神的にも影響を与える
首下がり症候群や猫背のように、体が前傾して呼吸がうまくできなくなると、自律神経の交感神経を優位にさせます。リラックスができず全身が緊張状態が続くため、体が疲れやすくなり、脳内の神経伝達物質の分泌も抑制されて精神的にも影響を及ぼすと言われています。
また、目線と心理には大きな関係があります。頭が前屈して目線が下に向いたままだと、脳は落ち込み気味と誤認してしまいます。すると脳はその誤認した心理状態に誘導させます。そして意に反して結果的にうつ症状を引き起こしてしまうことがあるのです。
目線が下がることで目から入ってくる情報や色が限られてしまうと、内気になりがちです。色には体にさまざまなポジティブな効果が期待できるもの。入ってくる色が減ると、色による精神維持ができなくなってしまいます。
首下がり症候群の治療やリハビリは原因に徹底的にアプローチ
首下がり症候群はさまざまな原因がありますが、治療やリハビリはそれぞれの原因に適した内容を選択して実践することが必要のようです。
まずは原因疾患の治療を最優先
首下がり症候群は筋肉(抹消)の機能低下が原因でもあれば、神経(中枢)の異常が原因の場合もあります。中枢の問題なのにも関わらず、抹消の問題だと自己判断し、そのままにしてしまうと、重大な病気に進行してしまう可能性があります。まずは医療機関で検査をしましょう。
また、加齢だから仕方ないとリハビリをせずに放置をすると、治癒できるはずだったのにも関わらず、筋肉が断裂して繊維組織に置き換わって治癒ができない状態になってしまいます。
鏡で見て、首が下がってきているなと感じた時、自然と目線が下がりがちだな、首や肩、背中にかけて痛みが続くな…等、異常を感じたら早期に医療機関にかかり治療を開始することが大切です。
セルフチェックリストで確認してみるのも一つの手です。
【参考】https://tmuortho.net/sekitsuiblog/首下がり症/
機能低下ならリハビリを取り入れて
筋力低下が原因と診断された場合、リハビリが一番の治療です。
また、パーキンソン病等の神経に関わる病気の場合でも、筋肉を使わないことにより運動器の機能が使えなくなる廃用症候群になってしまうこともあります。運動器の機能維持のためにも運動をすることが大切です。
首下がり症候群のリハビリの目的は以下の3つです。
①低下した筋力を取り戻し、骨を元の正しい位置に戻す
②日常生活の基本動作を維持しQOLを向上する
③ポジティブな感情を生み出し維持する
具体的なリハビリ内容とは
筋力の低下が問題の場合は、筋肉を鍛えて、ほぐして緩ませるだけでも効果は出ます。
まずは頭板状筋、頸板状筋といった首の伸筋群と、首を支える僧帽筋や肩甲挙筋といった肩から背中にかけての筋肉を鍛えていきましょう。
座って、上を見上げる状態を1分間キープしたり、うつ伏せで寝て背中を反らしオットセイのような姿勢で上を見上げる姿勢を1分間キープしたり…と、比較的低強度の訓練で構いません。
また、マフラーやタオルを首に巻いて、前を向く状態に慣らすことも効果的です。
首下がり症候群のリハビリをする上で気をつけたいポイント3つ
首下がり症候群は、正しいリハビリをすると効果が顕著に現れます。リハビリを効果的にするためにも、以下のことを気をつけながら、リハビリライフを送りましょう。
首の筋肉を温める
筋肉は冷えると縮こまってしまうため、お風呂につかったり、ドライヤーで温風をあてる等、家にあるものでできる方法で首を温めましょう。筋肉がほぐれることによって頸椎が元の正しい位置に戻りやすくなります。
特に気圧が低い日や冬は、筋肉が硬くなり血流も悪くなるため、肩や首、頭が痛くなりやすいです。温めるだけでも改善されることがありますし、リラックス効果が期待できるので、意識して取り入れてみましょう。
首だけのアプローチでは不十分
首は肩や背中の筋肉、骨盤にも支えられて成り立っています。首に原因があったのに、骨盤まわりの筋肉や骨を調節するだけでも症状が和らぐことといったことが多々あります。
このように、全身のバランスを整えることも念頭に入れるのが、首下がり症候群の改善の近道です。
どの筋肉を鍛えたら良いか、骨を調節すれば良いかと、ご自身で安易に決めず、専門的なリハビリスタッフの指導を受けることをおすすめします。
栄養バランスの取れた食生活を
筋肉を鍛える、血流を良くするといったことが、リハビリの根本となる首下がり症候群。これらのために栄養バランスの取れた食事をすることもリハビリの一部です。
特に筋肉や血等の身体の素となるタンパク質を意識的に、その他のビタミン等の栄養素も、バランスよく摂ることを心がけましょう。
まとめ
首が下がってしまうのは、腰が曲がるのと同様で高齢者の特徴の一つと考えてしまいがちかもしれません。しかし、これらは日常生活に大きな影響を及ぼし、生命の危険にも繋がってしまう可能性は十分にあります。
筋力低下だけでなく、さまざまな病気が原因となり発症するため、まずは原因をつきとめて然るべき治療を開始しましょう。そして専門的なリハビリスタッフのもとで正しいリハビリを行いましょう。