脳出血の半身麻痺は治るの?後遺症へのアプローチや効果的なリハビリ
2023.06.23
脳出血の後遺症で運動麻痺が起こることは少なくありません。なかでも、損傷した脳の反対側にだけ障害がおこる半身麻痺や片麻痺は代表的な症状です。多くの患者さんがリハビリをおこないますが、脳出血による半身麻痺がどこまで治るか知っておくことは大切です。
そこで今回は、脳出血の半身麻痺は治るのか、つらい後遺症に対してどんなアプローチができるのかご紹介したいと思います。また、半身麻痺への効果的なリハビリ方法も、ぜひご参考ください。これまでの日常生活を取り戻しましょう。
目次
脳出血の半身麻痺は治るのか?おもな症状やメカニズムとは
脳出血による半身麻痺は治るのか、気になる患者さんは多いはずです。ここでは、まず後遺症がおこるメカニズムや具体的な症状をみてみましょう。
脳出血でなぜ半身麻痺がおこるのか
左右の脳は、それぞれ反対側の身体の動きをコントロールする機能を備えています。しかし、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中を発症してしまうと、脳の神経細胞にダメージをあたえます。損傷したのが右側の脳なら身体の左側に、左側の脳に障害があれば身体の右側に運動麻痺の症状があらわれるのです。
また、軽く頭を打ちつけただけでも、じわじわと脳内に血栓がたまり、時間が経ってから片麻痺の症状が出ることもあります。
後遺症半身麻痺のおもな症状
脳出血による半身麻痺の症状は、右麻痺と左麻痺と共通のものと、異なるものがあります。共通の症状としては、片側の手足や顔半分の麻痺や痺れ、視野の欠損、構音障害などです。構音障害では、発音がしにくかったり、呂律が回らなくなったりします。
【右麻痺の場合】
論理的思考や言語をつかさどる左脳の損傷により、失行や失語症の症状がみられます。失行とは、じゃんけんの動作を思い出せなかったり、最初の一歩が出せなかったりなど、目的にあった動きができなくなります。また、失語症は、話す・聞く・読む・書くといった言葉をうまく使えなくなる症状です。
【左麻痺の場合】
右脳には、空間を認識したり、感情をコントロールする機能が備わっています。障害がおこると、失認や性格変容の症状があらわれます。失認とは、左半分の空間を認識できないため、左にある障害物にぶつかったり、左に書かれているものを見落としたりします。
また、感情のコントロールができず、今まで穏やかだった人が、急に怒りっぽくなってしまうこともあります。
脳出血の半身麻痺は治るの?
脳出血による半身麻痺の症状は、軽度のものから重度のものまでさまざまです。また、これまでの生活習慣や持病の有無などによっても、回復のスピードに影響してくると考えられます。
じっさいに、運動麻痺の後遺症に悩んでいた患者さんが、自宅を自由に歩き回れるようになったり、杖での歩行ができるようになったりする事例はたくさんあります。
脳出血の半身麻痺が治ることは難しい?アプローチの方法
これまで脳出血の半身麻痺が治ることは難しいとされてきました。ここでは、いちど発症してしまった患者さんが後遺症に対して、どのようにアプローチしていくべきなのかみてみましょう。
早期にリハビリを開始する
発症から6ヶ月を過ぎてしまうと脳自体の回復は難しいといわれています。寝たきりを防ぐためにも、早期にリハビリを開始することが大切です。また、最近ではリハビリによって損傷した脳周辺の神経細胞に、新たな神経回路ができることが分かっています。脳の可塑性(かそせい)といい、繰り返しリハビリをおこなうことで得られます。
残された能力をアップさせる
また、リハビリには、上記のように損傷部分の回復という目的のほか、残された能力の維持や強化のねらいもあります。たとえば、半身麻痺の症状でも、健常な半身をうまく使って車いすに移動したり、手で車輪を操作したりする訓練も同時におこないます。回復の見込みが難しくても、自立した生活や行動範囲を広げることができるようになるでしょう。
後遺症に対する再生医療も進歩
脳卒中などの後遺症に対する治療として、最近新たに注目されているのが再生医療のひとつ幹細胞治療です。人体のさまざまな細胞になることができる幹細胞を活用することで、損傷した細胞にかわって機能を回復させるのです。あるいは、幹細胞が分泌するサイトカイン物質を利用する治療法もあります。
脳出血の後遺症半身麻痺への効果的なリハビリ方法って?
では最後に、脳出血の半身麻痺に対する効果的なリハビリ方法をみてみましょう。脳出血の発症後、急性期と回復期、生活期リハビリテーションを経て、日常生活がスムーズにおこなえる程度までの回復を目指します。
急性期リハビリテーション
急性期リハビリは、出血した部分の治療が終わり血流が安定した後、入院している病院でおこないます。ベッドから起きる・立つ・座るといった無理のない動作や、関節が固まらないようなストレッチが主な内容です。できるだけ早期に始めると、損傷した部分の回復が早まり、後遺症の症状も軽度ですみます。
回復期リハビリテーション
回復期リハビリは、リハビリ専門の病院でおこないます。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などと連携して、患者ひとりひとりの症状に合わせたプログラムをこなしていきます。施設によって、リハビリスタッフの人数やサービス内容が異なるため、自分の目的にあった施設を選びましょう。
生活期リハビリテーション
生活期リハビリは維持期リハビリともいわれ、施設に通院する通所リハビリと、在宅まで訪問してもらう訪問リハビリがあります。急性期・回復期リハビリで得た成果を維持することと、可能な限り自分の力で日常生活を送ることが目的です。
食事や入浴、トイレなど生活に必要な動作訓練だけでなく、「復職したい」「ひとりで出掛けたい」など、その人が目指す生活の質をあげることも課題となります。
脳卒中専門の自費訪問リハビリネクストステップスでは、脳血管障害による半身麻痺などの回復・状態の維持に必要なリハビリサービスを提供しております。後遺症の症状や、患者さまの目的にあわせて、完全オリジナルのプログラムを作成し、ご自宅までリハビリスタッフが伺います。一度ぜひご相談ください。
まとめ
脳出血の後遺症として代表的な症状に半身麻痺があります。脳出血の半身麻痺が完全に治ることは難しいかもしれません。しかし、早期にリハビリを開始すれば、損傷した細胞周辺の神経細胞が活発になるといわれています。近年みられる医療の進歩は目覚ましく、幹細胞による治療法も期待できるでしょう。
また、残された能力を訓練するリハビリや、再発を防ぐ生活習慣の改善も重要です。脳出血の半身麻痺で悩む患者さんが治るという事例も少なくありません。諦めずにリハビリを続けることが自立した生活への近道になります。