酒と脳梗塞の関係|飲酒による影響と回復後の注意点
2024.03.14
「酒は体に悪い」と言われ病気の発症後に辞める方も多いと思います。実際、脳梗塞とお酒はどのような関係なのか皆様はご存知ですか?
お酒が好きだったという方も脳梗塞の発症前後で、確かに飲み方も変わってくるでしょう。
一方で、まだ体の調子が良い方も「お酒」についてしっかり理解しておくことが大切です。普段飲酒される人も健康リスクを知っていることで、正しい飲み方に繋げられます。具体的にお酒のメリットデメリットを整理しながら、脳梗塞とお酒の関係性を解説します。
脳梗塞から復帰後の飲酒量・頻度についても抑えておきましょう。周囲に脳梗塞後にお酒を飲もうとしている方がいれば適切な知識を提供してください。
目次
「酒は百薬の長」ではない?飲み方次第であなたの体を蝕む訳
今回は脳梗塞に対してお酒はどのような影響を持つのか、というテーマですが、お酒自体が悪いわけではありません。メリット・デメリットを事前に整理しながら見ていきましょう。
飲酒ってどんなメリットがあるの?
病気と酒の関係性を調べると「悪い部分」だけに目がいきがちです。しかし、飲酒自体は昔から「酒は百薬の長」とも言われ、メリットが多く存在します。例えば、
・ストレスの解消
・血流改善
などのように、体を温めて日頃のストレスの解消、リラックス効果を得られます。また、コミュニケーションの場にも役立ち、職場の人や友人、恋人との会話を楽しむことにもつながるでしょう。
ちなみに適量の赤ワインは、心臓血管系にいいとされており、白ワインは血糖値の上昇を抑えるなど、お酒の成分によってもさまざまなメリットがあります。
デメリットは「飲み方」も影響する
お酒から連想される大きなデメリットといえば「健康に対するリスク」「依存性」と行ったところでしょうか。
まず、健康リスクを考える上で、心臓病や生活習慣病、動脈硬化、脳卒中などさまざまな病気の可能性が高まります。血圧が上がるなどもあるため、週に1回〜2回。純アルコール換算で90g程度が望ましいとされています。
また、お酒が好きな方の中には飲み過ぎから繋がる依存症なども。飲酒運転や暴力にも繋がるため「飲み方に注意を払う」ことを忘れず、お酒を楽しむ必要があるでしょう。
脳梗塞に対するお酒がもたらすリスク…脳梗塞の原因を理解しよう
脳梗塞は、脳の血管が閉塞されることで起こる病気であり、さまざまな原因が関与します。以下に脳梗塞の主な原因をまとめます。
脳梗塞とは何が原因で起きるのか
脳梗塞はさまざまな要因が重なることによって生じます。その大きな部分が動脈硬化です。
動脈壁の中にコレステロールやその他の脂質が蓄積し、血管が狭窄したり、動脈壁に血栓が形成されることがあります。これが動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)と呼ばれる状態で、血管の閉塞を引き起こし、脳梗塞となります。
脳梗塞の三大原因としては…
ラクナ梗塞…細い血管が複数、多発的に閉まる形
アテローム血栓性脳梗塞…動脈硬化との原因が強く高血圧や糖尿病の人に多い
心原性脳塞栓症…原因の多くに心房細動などの不整脈が現れる
などが考えられます。アルコールは血圧上昇作用があることから、普段飲まないかたと比較するとリスクが上がるのは当然のこととなります。
脳梗塞による主な症状やリハビリが必要になるケース
脳梗塞は重症度によって後遺症の具合も変化します。
症状としては突然の強い頭痛、言葉が出てこない、ものをつるっと落とす、軽い麻痺などが見られます。すぐに身の回りにいる人に声をかけて病院で適切な処置を行うことが必要です。
発症後すぐは身体の安静化が優先されますが、以降は後遺症が残る可能性が高いです。もちろん重症度によりますが、片麻痺や麻痺といった後遺症は脳梗塞後に見られ、嚥下障害、感覚麻痺、言語障害、高次脳機能障害など、脳の血管が閉塞された部分によって、体の一部に何らかの制限が生じます。
そのため正しいリハビリを行うことが求められるでしょう。
脳梗塞=酒が原因なのか?
脳梗塞のメカニズムや症状を見ると「血管」が重要になります。そのため、血管に関する病気や症状に密接な関係を持つ飲酒は、脳梗塞が起きるようなリスクをあげることは明白です。
アルコールにして300~449g/週以上摂取すると病気のリスクが高まると言われています。過度な飲酒から睡眠不足に陥り出血性の症状を起こす、などが考えられるでしょう。
脳梗塞の原因にもあげた高血圧、糖尿などは少なからず飲酒量が多い方に現れる症状なので注意が必要です。
とはいえ、脳梗塞とお酒は必ずしも「=」で結ばれるわけではなく、可能性が高まるという部分もあるため健康なうちは適度に楽しむことが望ましいでしょう。
参考:がん対策研究所予防関連プロジェクト・飲酒と脳卒中発症との関連について
再発予防の観点も忘れず!脳梗塞後のお酒との付き合い方を整理
飲酒という行為は脳梗塞の発症リスクをあげる要因の1つということは理解できました。ですが、好きなお酒を我慢するのものストレスに繋がり反動で不健康な暮らしをしてしまうのでもいいことではありません。最後に脳梗塞後のお酒との付き合い方を知っておきましょう。
脳梗塞後の飲酒はどのタイミングから?
大前提として「退院後の飲酒は再発のリスク増加につながる」ということを頭に入れておきましょう。とはいえ、脳梗塞による後遺症が軽く、日常生活に戻ると付き合いであったり趣味のお酒は身近に存在します。
飲酒は血圧の上昇に影響が大きいので、発症から2ヶ月〜3ヶ月はあけるように徹底してください。
脳梗塞の治療自体が約3ヶ月ほどで節目を迎えるからです。治療中は「絶対に」飲まないようにしてください。
適量の飲酒にも注意が必要
生活期に入り、自宅で生活が送れるようになったとはいえ、飲酒量は制限が必要でしょう。
飲酒は血圧の上昇による脳梗塞再発リスク増加が考えられるだけでなく、以下のようなリスクも挙げられます。
・軽い麻痺や運動失調の残る身体でも自宅で飲酒後に「ふらつき」「転倒」などが考えられる
・外出して飲酒した際には歩行や移動に影響をもたらす
・判断力や集中力が低下
簡単にいえば「怪我」という二次被害が怖い部分です。特に在宅に切り替わってからも不便に感じることは多いでしょう。ただでさえ暮らしに不便さを感じているのであれば、飲酒はそこに拍車をかけ、転倒や怪我につながることが大いに考えられます。
適量よりも「少量」を心がけ、体調面や環境設定も十分に行った上でお酒は楽しんでください。
まとめ|脳梗塞とお酒の関係について
今回は脳梗塞に対してお酒がどのような影響をもたらすのか、脳梗塞の原因や後遺症を整理していきました。確かに脳梗塞の発症リスクに酒の存在はあります。ですが、全く一概には言えず、喫煙や生活習慣、糖尿や高血圧などさまざまな原因が複雑に関係しているものです。
発症後の飲酒に関しては治療中は決して飲んではいけません。また最低でも3ヶ月程度あけてからでは飲酒は再発リスクを高めることになるでしょう。加えて、脳梗塞が落ち着いても酒の量は以前より控えるようにしましょう。適量よりは「少量」を心がけるようにしてください。
断酒することで脳梗塞の再発リスクを下げられるので望ましいですが、ストレスにつながるケースもあるのできちんと考え、医師のアドバイスを受けて摂取判断をしましょう。