
車椅子からずり落ちない工夫を解説|原因を理解して正しい対処を
2025.02.05

「車椅子からずり落ちそうになって危なかった」、「車椅子からずり落ちない工夫が知りたい」このような疑問を抱えている方に解説します。
車椅子に座っていれば一見安全に見えますが、姿勢が崩れてずり落ちそうになることがよくあります。もし高齢者がずり落ちてしまえば、骨折などの大けがにつながり、寝たきりの原因になることも。
危険な車椅子からのずり落ちを未然に防ぐために、ずり落ちる原因を理解して、正しい対処ができるようになることが重要です。車椅子からずり落ちない工夫をして、安全に利用していきましょう。
目次
転倒による事故を防ごう!車椅子からずり落ちる原因は?

車椅子からずり落ちる原因はどこにあるのでしょうか?ずり落ちる原因はいくつか考えられるため、しっかり理解する必要があります。意外と多い車椅子からずり落ちる原因について解説します。
長時間座ってることによる姿勢の崩れ
車椅子に長時間座り続けると、姿勢が崩れてずり落ちる原因になります。車椅子は普通の椅子に比べ背もたれも柔らかく、姿勢が崩れやすい構造になっています。
<注意したい姿勢の崩れ>
- いつもより円背姿勢が強くなっている
- 左右への傾きが強くなってきた
- 腰が丸くなってお尻が前にずり落ちそう
長時間座り続けると姿勢を保つ体力も消耗するため、少しずつ姿勢が崩れます。安定して座れているかしっかり観察してください。
車椅子が身体に合ってない
普通の車椅子が身体に合わないこともずり落ちの原因になります。通常の車椅子に座るためには、最低限の身体機能が必要です。使用する人の身体機能をしっかり評価して車椅子を選びましょう。
<通常の車椅子が合わない例>
- 後ろへのつっぱりが強い
- 覚醒が低く、傾眠傾向にある
- 下肢の関節が固く安定して座れない
「通常の車椅子が身体に合わないかも?」と思ったら周りの人と相談して車椅子を変更しましょう。
姿勢の修正ができない
加齢や病気が原因で自分の姿勢を修正することができない人がいます。そうなると、徐々に姿勢が崩れた時、修正できず前方にずり落ちてしまいます。姿勢の修正ができない人とはどのような人でしょうか?
<姿勢の修正ができない症状>
- 脳梗塞後の半側空間無視
- パーキンソン病による姿勢反射障害
- 重度の関節の変形(重度の円背など)
脳の病気を患うと、姿勢の崩れに気づかなかったり、自分で修正することが出来なくなります。関節の変形も同様です。車椅子からずり落ちることがないように、事前の情報収集が大事になります。
今日からできる車椅子からずり落ちないための工夫について

車椅子からのずり落ちを防ぐ事は簡単で、今日から実践できます。大事なことは車椅子を利用する人について深く理解する事です。そして、利用する人の身体機能に合わせて適切な工夫を施すことで事故を未然に防ぎます。車椅子からずり落ちない工夫をいくつか解説します。
安定した正しい姿勢で座る
車椅子からのずり落ちを防ぐために1番大事なことは「安定して座る事」です。不安定な姿勢で過ごすと、すぐに姿勢が崩れるため、事故の原因になります。安定して座るための方法について解説します。
<安定して座る工夫>
- 座面深くに座る
- 脊柱を伸ばして座る
- 左右に崩れる場合はクッションを挟む
- フットレストも含めて安定しているか確認する
前後、左右に姿勢が崩れてないかチェックしましょう。利用する人が楽に座れているのかも大事な視点です。姿勢に不具合がないか聴取する事をおすすめします。
車椅子で過ごす時間を決める
車椅子は歩けない人の移動手段であって、長時間腰掛ける道具ではありません。そのため、車椅子に座る時間を決めて、長時間の使用を避けるようにしましょう。ずり落ちる危険を減らすために、車椅子を利用する人と関わるときは、以下の項目を参考にしてください。
<車椅子で安全に過ごすための工夫>
- 車椅子で過ごす時間を決める
- 周りの人と確認するルールを作る
- 専門家に相談し、どれくらいの時間座れるか耐久性を評価する
車椅子を利用する人の状態をしっかり把握し、長時間の座位姿勢が続かないように配慮することでずり落ちを防ぐことができるでしょう。
身体に合った車椅子を使用する
ずる落ちる危険を減らすために、使用する人の身体にあった車椅子を選びましょう。病気や関節の変形が強い人は、リクライニング車椅子を使うことで姿勢が安定します。
しかし、「車椅子の選び方と言われても基準が分からない」という人もいると思いますので、その時はリハビリの専門家に相談しましょう。身体機能を評価して、最適のアドバイスをしてくれます。
身体機能の改善も重要|車椅子からのずり落ちを防ぐ

車椅子からのずり落ちを防ぐ工夫をいくつか紹介しましたが、環境を整える以外にも、身体機能を改善する方法もあります。
安定して座るためには、関節の可動域や、姿勢を保つ筋力が必要です。身体機能の改善でずり落ちを防げる理由について解説します。
関節可動域を広げ正しい姿勢を
前方へのずり落ちを防ぐためには安定して座る事が重要です。しかし、加齢や病気が原因で関節が固まってしまうと安定した座位姿勢が作れなくなります。ずり落ちを防ぐためにも身体を硬くしない工夫をしましょう。
<関節可動域を維持、拡大する方法>
- 寝る前に、膝や股関節を曲げる運動をする
- バンザイや背伸びで背骨を伸ばす
- 専門家によるリハビリを受ける
正しい姿勢で座るためには、背骨や股関節周りの柔軟性が必要です。自分で動かしたり、リハビリを受けて関節可動域を広げるようにしましょう。
姿勢を保つ、修正する筋力をつける
安定して座るためには体幹の筋力が必要です。逆に体幹の筋力が弱ければ、姿勢が崩れてずり落ちてしまう原因になります。体幹の筋肉はどのように鍛えればいいのでしょうか?方法をいくつか紹介します。
<体幹を鍛える方法>
- タオルや棒体操で背筋を伸ばす
- 前方、左右に上肢をリーチする(輪入れなど)
- お尻上げ(ブリッジ)やスクワット
普段から姿勢を意識するだけでも効果があります。崩れた姿勢は、ずり落ちる危険を高めるだけでなく、腰痛などの原因にもなるので、体幹を鍛える意識を持ちましょう。
感覚を再教育し姿勢を修正する
自分の姿勢の崩れに気づいてない人は、感覚を再教育するリハビリを行いましょう。鏡で自分の姿勢を見て、姿勢の崩れに気づくという方法が一般的です。感覚を再教育する方法は様々ありますので、興味がある人は、リハビリの専門家に尋ねてください。
まとめ|車椅子からずり落ちない工夫

車椅子から転んでしまう事故はよく報告されています。だから、まずずり落ちる原因を知ることが大切です。
車椅子に座るとき、なぜ体が安定しないのかを考えましょう。例えば、座る角度や体の位置、あるいは車椅子そのものの形が原因になっていることがあります。
原因がわかったら、ずり落ちを防ぐ工夫を始められます。たとえば、車椅子の形を調整したり、正しい姿勢を保つための運動をすることで、体がしっかり座れるようになります。
もし自分だけで対策を考えるのが難しい場合は、専門家に相談しましょう。専門家のアドバイスを聞くことで、もっと安全に車椅子を使う方法が見つかります。
このように、原因を知ること、対策を実施すること、そして専門家の意見を取り入れることが、転倒事故を防ぐためにとても重要です。