末梢神経障害は治るのか?リハビリ方法を抑えて適切な自主トレを行おう
2024.12.06
手や足がしびれる、思うように力が入らない、お尻や太ももの裏が痛い――こんな悩みを抱えていませんか?
これらの気になる体の症状は、末梢神経障害の可能性があります。末梢神経障害は、詳しい検査と専門的な治療が必要ですが、自分でリハビリを行う方法もあります。
「自分でも症状を楽にする方法が知りたい!」という方も多いと思います。それでは、一緒に末梢神経障害についての理解を深めてみましょう。
目次
末梢神経障害のリハビリ方法を知る前に…原因と症状を整理しよう
末梢神経障害はリハビリが適応になるケースと、適応にならないケースがあります。末梢神経障害の原因、症状を知り、リハビリが適応となるのはどのような病態か理解しましょう。
末梢神経障害の原因
末梢神経障害の原因は2つに分けられ、全身の末梢神経に影響を及ぼすものと1つの末梢神経に影響を及ぼすものとがあります。
<末梢神経障害の原因>
- 多発性末梢神経障害(糖尿病などの代謝疾患、中毒疾患や感染性疾患、自己免疫疾患)
- 単末梢神経障害(靭帯、骨、腱、腫瘍による圧迫)
多発性末梢神経障害は病気が元になるので、内科で治療する必要があります。単末梢神経障害は筋骨格系に問題があることが多く、整形外科での治療が主になるでしょう。
症状は原因や部位で異なる
末梢神経障害は原因や障害される部位によって異なる症状が現れます。末梢神経には3つの神経があり、それぞれ違う働きがあります。
<末梢神経障害の症状>
- 運動神経障害(筋力低下、筋肉がやせ細る)
- 感覚神経障害(痺れや痛み、感覚が鈍くなる、感覚が遠く感じる)
- 自律神経障害(手足の発汗障害、痺れなど)
多発性末梢神経障害は両方の手足など、広く症状が出現します(手袋靴下型)。それに比べて単末梢神経障害は「右の脚だけ痺れる」、「左の手だけ力が入らない」など症状が限局するのが特徴です。
診断や治療法とは
末梢神経障害は病気や加齢が原因になるなど原因は様々です。細かい検査をもとに診断する必要があります。
<末梢神経障害に対する検査>
- 神経伝導検査(電気刺激を使って神経の伝わり方に障害がないか調べる)
- 血液検査、髄液検査(末梢神経障害の原因となる疾患がないか調べる)
- 画像検査(超音波、CT、MRIなど。末梢神経を圧迫している場所がないか調べる)
末梢神経障害の治療は病気によって大きく異なります。薬による治療から始まり、場合によっては外科的手術を行うこともあります。
専門家が行う|末梢神経障害を改善する効果的なリハビリ方法とは
末梢神経障害に対する治療は投薬とあわせてリハビリを行うことがあります。専門家が行う効果的なリハビリ方法を解説します。
関節や筋肉の訓練
末梢神経障害を改善するために、関節可動域を広げたり、弱った筋力を強化するリハビリを行います。
<関節可動域を広げる理由>
- 筋肉の柔軟性が改善し、血流が良くなる。
- 筋肉の緊張が和らぎ、力が入りやすくなる。
<筋力強化の目的>
- 運動神経の障害で生じた筋力低下を改善する。
- 筋肉の収縮を再教育する。
筋肉の柔軟性や血流が悪くなると、痺れや痛みの原因になるのでリハビリが必要です。運動神経障害によって弱った筋力も専門家の元で改善させましょう。
感覚の再教育が必要
末梢神経障害によって感覚神経が麻痺した場合、感覚の再教育が必要です。感覚の再教育とは、鈍った感覚を視覚や触覚で取り戻すリハビリの方法の事を言います。
<感覚に対するリハビリの例>
- 開眼した状態で物をつかみ、大きさ、形状、硬さなどを認識する。
- 次に閉眼した状態で同じものをつかみ、視覚情報がない状態で物の形状を認識する。
他にも関節の位置感覚を改善するリハビリなどがあります。感覚障害もリハビリによって改善する余地があるので、専門家のアドバイスを聞いてください。
物理療法も効果がある
末梢神経障害の「痺れ」や「痛み」に物理療法が効果的です。物理療法とは、電気刺激や温熱療法で症状を改善する方法の事を言います。
<末梢神経障害に効果的な物理療法>
- 電気刺激療法(痛みの減少、循環改善、関節可動域改善、筋拘縮改善)
- 渦流浴(痛みの減少、循環改善、関節可動域改善)
末梢神経障害に物理療法は効果的ですが、リハビリと合わせることで効果が最大限発揮されます。物理療法だけで満足しないようにしましょう。
自宅で末梢神経障害を改善するリハビリ方法はある?注意点も紹介
専門家によるリハビリは毎日受けることができません。末梢神経障害を改善するために、自分でできるリハビリもありますので、リハビリ方法と注意点を解説します。
日頃から取り入れたい習慣
末梢神経障害を改善するために、生活習慣を見直す必要があります。生活習慣が乱れていると、糖尿病などの代謝疾患を引き起こす原因にもなるので注意しましょう。
<日頃から取り入れたい生活習慣>
- バランスの良い食事を意識する(高脂肪、高糖質に注意)
- 適度な運動を取り入れる
- 十分な睡眠時間を確保する
- ゆっくり入浴する
上記のような生活習慣を意識すれば、血流がよくなり末梢神経障害の予防、改善に役立ちます。少しずつ取り組むことで体が楽になるでしょう。
できる範囲で運動・ストレッチを行う
運動不足は筋肉や関節が硬くなり、痛みや痺れの原因になります。簡単な運動でいいので運動する習慣を身につけましょう。
<おすすめの運動>
- 散歩(10分からでOK)
- ストレッチやラジオ体操
- スクワットなどの筋トレ
継続するために、運動の強度や難易度は低めのものを選択しましょう。「心地いい」と感じる程度の強度がおすすめです。
感覚障害がある場合の自主トレの注意点
末梢神経障害改善のために運動が大事になりますが、注意点があります。感覚神経に障害があると、体に強い負荷をかけすぎてしまう恐れがあります。
「感覚が鈍い」、「思うように動かせない」など感覚に障害がある場合は、リハビリの専門家に自主トレ方法を教わりましょう。症状によってリハビリの方法が変わってくるので、専門家のアドバイスを聞くのが確実です。
まとめ|末梢神経障害のリハビリ方法を知る
今回は、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)のリハビリ方法について説明しました。末梢神経障害とは、手や足などにある神経が傷ついたり弱くなったりして、しびれや痛み、力が入りにくくなる病気です。その原因や症状、そしてそれぞれに合ったリハビリ方法を確認しました。
リハビリをするとき、特に普段の生活で行うリハビリでは、強い負荷をかけすぎないように注意することが大切です。無理をして重いものを持ったり、長時間同じ運動を続けたりすると、体に負担がかかりすぎてしまいます。
たしかに、リハビリには自分で行う練習(自主トレ)が必要で、お医者さんや専門の先生からも自主トレをすすめられるでしょう。でも、しびれや痛み、筋肉が弱くなっているときは、ちょっとした不注意でけがをする恐れもあります。たとえば、足がもつれて転んでしまったり、無理な動きで筋肉を痛めたりすることがあります。
そのため、リハビリを進めるときは、自分のペースで無理なく行うことが大切です。最近では、オンラインでリハビリの指導を受けることもできます。オンラインリハビリを利用するなどして、自分の目標に合わせてリハビリを進めましょう。