NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 片麻痺でも車椅子で快適に過ごしたい…ポジショニングの必要性と方法

片麻痺でも車椅子で快適に過ごしたい…ポジショニングの必要性と方法

片麻痺でも車椅子で快適に過ごしたい…ポジショニングの必要性と方法

脳卒中の後遺症として片麻痺があります。歩行が不安定な片麻痺の患者さんは車椅子を使用して過ごす場合が多いですが、既製品の車椅子にそのまま座ると姿勢が崩れてしまうかもしれません。

この記事では、片麻痺患者さんが安定して車椅子に座れるポジショニングをご紹介します。家にあるものでできるポジショニング方法や効果も知っておくと、今すぐに取り入れられるでしょう。

車椅子で安定して座れるようになったら、活動時のポジショニングを行うのもオススメです。車椅子に座った状態でできることが増やして、生活の質を向上させましょう。

片麻痺で車椅子座位が崩れる…ポジショニングの3つの必要性とは

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運動麻痺がある片麻痺患者さんは、車椅子を利用する場合があります。しかし、座り方を誤ると全身の機能が低下するかもしれません。ポジショニングとは体の機能を最大限に引き出しながら、安全で快適な姿勢を保つことです。片麻痺で車椅子を利用している方のポジショニングの効果を解説します。

褥瘡(じょくそう)を予防できる

車椅子で適切なポジショニングができると、褥瘡(床ずれ)を予防できます。車椅子で過ごす時間が長く、ずっと同じ部位に体重がかかっていると血流が悪くなって褥瘡ができる恐れがあるのです。

褥瘡を放っておくと傷の治りが悪くなるだけでなく、感染症にかかるリスクも高まります。片麻痺で車椅子を利用している方が、適切なポジショニングをすると、体重がかかる部分を分散できる効果があるのです。

体の機能の偏りを防ぐ

車椅子座位をとる時に、適切なクッションがあれば座圧の偏りが解消されるという報告があります。片麻痺の方は麻痺側の感覚障害や運動障害により、左右どちらかに体が傾きやすいです。体に負担がかかる座り方を続けていると、拘縮が進む可能性もあります。

車椅子でポジショニングを取り入れると体幹の機能が向上し、バランス・リーチ活動が改善する効果も報告されています。

呼吸や食事がしやすくなる

偏った姿勢を取り続けていると、呼吸がしにくくなったり、食事の時に誤嚥しやすくなったりします。適切なポジショニングを行うと、気道が確保されやすくなり、肺の機能も向上します。

食事のときにポジショニングを行うと、喉の位置を正常に保ち、首・喉の筋肉が使えるようになる効果があるのです。誤嚥は肺炎を引き起こすかもしれません。長時間座る時に加えて、食事の時間にもポジショニングは大切といえます。

参考:脳卒中片麻痺者の車椅子座圧の特性

参考:回復期脳卒中後片麻痺患者に対する車椅子調整が車椅子座位および端座位姿勢・座圧分布,体幹機能・バランス能力に与える効果

片麻痺患者さんが車椅子で取り入れたい基本のポジショニング

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片麻痺の程度により車椅子でのポジショニング方法は個人差があります。しかし、車椅子座位をとる場合に取り入れたい基本のポジショニングをおさえておくと、生活がしやすくなりますよ。車椅子座位で体の偏りが気になる方は、以下の3つの方法を試してみましょう。

座面にクッションを置く

片麻痺患者さんは体が傾きやすいため、座面にクッションを使用しましょう。非麻痺側に負担がかかりすぎている場合は、非麻痺側のお尻の下から背中にかけてクッションを置きます。

麻痺側に体が傾きすぎている場合は、骨盤の高さが左右同じになるように麻痺側のお尻の下にクッションを置くと良いです。左右のお尻や太ももにかかる体重を均等に近づけましょう。

車椅子の座面の素材によっては、お尻が前に滑る場合があります。お尻が前に滑り、骨盤が倒れると猫背になって呼吸が浅くなったり、移乗動作がしにくくなったりするのです。お尻が前に滑ってしまう場合は、滑り止めを使用すると良いでしょう。

麻痺側の腕を支える

麻痺側の腕は運動麻痺や感覚障害により、力が入りにくく、ぶら下がりやすくなります。この状態のまま放置すると、体幹が麻痺側に倒れたり、麻痺側の腕が脱臼したりするかもしれません。

両方の肩の高さが同じになるように、麻痺側の腕の高さをクッションやタオルで調整するのが大切です。

足裏をフットサポートにつける

足裏で体重を支えられないと、骨盤が前方に滑りやすくなったり、ねじれた姿勢になったりします。両方の足裏がフットサポートについた状態が理想のポジショニングです。フットサポートに足がつかない場合は、高さの調整や車椅子自体のサイズを再検討しましょう。

【活動別】片麻痺の方が車椅子でより快適に過ごすポジショニング

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片麻痺患者さんの車椅子の基本のポジショニングを行うだけでも、姿勢を保ちやすくなり、体の全体の機能が改善されます。しかし、車椅子に座って活動をする方も多いでしょう。基本のポジショニングに加えて、活動別にポジショニングを行うと、さらに体を使いやすくなります。

長時間座る必要がある場合

長時間車椅子に座っている場合、体重がかかる部分が変わらないと血流障害が起こる可能性があります。体圧分散ができるクッションを座面に敷くのが良いでしょう。また、背もたれに背中全体でもたれかかれるよう、背中の空いている部分にクッションや畳んだバスタオルを入れるポジショニングが有効です。

クッションなどがあっても長時間同じ姿勢をとり続けると、褥瘡(じょくそう)になるかもしれません。少しでも動ける方は、座り直しをするのがオススメです。

座って行う活動をする場合

座って机上活動・趣味活動をする場合は、少し前傾姿勢になると手が使いやすくなります。骨盤を立てられるようにお尻の後ろに畳んだバスタオルを入れましょう。

フットレストに足をのせると膝が上がってしまう場合は、フットレストから足をおろして座ります。フットレストを使用しないと、足裏が床から離れる場合は足台を使用するのがオススメです。

食事を摂りやすくするポジショニング

ご自分で食事ができる方は机の高さを調整しましょう。肘が90度程度に曲がる高さだと手が使いやすいです。

食事介助が必要な方は、首・喉が安定するようにヘッドサポートを使用します。ヘッドサポートと首の間には隙間がないようにし、首周りの緊張をとると飲み込みやすくなります。

まとめ|片麻痺による車椅子利用を快適に…ポジショニングとは?

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片麻痺の患者さんは、手や足の動きが不自由なため、車椅子を使うことがあります。ですが、片麻痺で車椅子を使うときは、座る位置や姿勢(これを「ポジショニング」と言います)がとても大切です。

例えば、正しいポジショニングをすることで、次のようなことが改善されます:

  • 褥瘡(じょくそう)の予防:褥瘡とは、同じ場所に体重がかかり続けることで皮膚が傷ついてしまうことです。正しい姿勢を保つことで、これを防ぐことができます。
  • 体のバランスを保つ:片麻痺では体の片側が弱いため、姿勢が崩れやすいですが、ポジショニングを工夫することで体のバランスを整えることができます。
  • 呼吸や食事が楽になる:正しい姿勢にすることで、息をしやすくしたり、食べ物を飲み込みやすくしたりする効果もあります。

このように、ポジショニングを工夫することで、生活の質が良くなります。しかし、片麻痺の程度や体の状態は人それぞれ異なるため、最適なポジショニングも一人ひとり違います。自分に合った座り方を見つけるために、リハビリの専門家やサポートを利用して、より快適な生活を目指しましょう。

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