被殻出血の症状と治療法|早期リハビリで後遺症を防ぐ方法
2024.06.28
被殻出血(ひかくしゅっけつ)は脳出血の中でも最も多く、脳出血の約半数を占めています。被殻だけの小さな出血であれば症状はほとんどありませんが、基底核部まで出血が及ぶと片麻痺や感覚障害が見られるようになります。
脳出血といっても症状や原因はさまざまで「被殻出血」についてあまり詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
まずは被殻出血の症状を知り、適切な治療やリハビリを行うことが大切です。今回は脳出血の中でも被殻出血に注目し、後遺症の傾向や脳出血後の生活期リハビリのあり方についても解説します。
目次
脳出血における被殻出血とは?症状や対応方法について
脳出血の中でも最も多いとされている被殻出血ですが、そもそも被殻がどの部分なのか、どのような症状が出やすいのか分からない方もいらっしゃると思います。
まずは被殻出血の原因や症状について詳しくみていきましょう。
被殻出血とは何が原因?どんな症状?
脳のほぼ中央にあたる大脳基底核に左右対称に位置しているのが「被殻」とよばれる部分です。被殻出血は被殻を通るレンズ核線条体動脈と呼ばれる血管が動脈硬化を起こすことで発症します。
被殻だけの小さな出血の場合は症状が出ない場合もありますが、出血が被殻の外側まで及ぶと片麻痺や感覚障害を伴うこともあります。また出血量が多かったり、出血の場所によっては意識障害や失語といった症状が現れることもあり、初期の出血量や出血場所により症状が大きく変わります。
被殻出血による後遺症の傾向とは
被殻出血の場合、出血が少なければ症状が出ない場合もありますが、出血量が多かったり他の部位にまで及ぶと後遺症の確率は高くなります。
特に、出血を起こした場所と反対側の半身の手足の運動麻痺が見られることが多く、同じように反対側の顔面の運動麻痺を伴うケースもあります。
また、優位半球である左側に出血が起こった場合は、失語症を伴うこともあり「言葉が理解できない」「思ったように言葉がでない」といった症状が現れます。
被殻出血にはどのような治療がなされるのか?
治療法は血腫量と意識レベルによって異なります。
<意識レベルを保ち、血腫が30ml未満>
手術は行わず保存的治療となります。患者さんによっては麻痺の症状がでる場合もありますが、被殻出血の場合は手術しても麻痺は残ります。麻痺の回復には集中的なリハビリが必要です。
<半昏睡状態で血腫が30ml~50ml以上>
意識が悪化する危険があり、手術の適応があります。血腫による脳の圧迫が意識障害を引き起こしている場合は、意識障害の改善を目的に手術を行います。血腫の増大が続いている場合は血腫を取り除くとともに出血点の止血を目的とした手術が適応されます。
<血腫があまりにも大きすぎる場合>
血腫が大きすぎて脳ヘルニアに至る恐れがある場合は手術をしても間に合わないこともあるので慎重に検討します。重症であるほど術後の状態も悪く、必ず救命できるわけではありません。一命をとりとめたとしても寝たきりや遷延性意識障害になる可能性が高いです。
被殻出血からリハビリまでの流れ…生活習慣の見直しも必要?
被殻出血が起こり、麻痺などの症状がでた場合はなるべく早くリハビリを開始するのが望ましいとされています。被殻出血後のリハビリの流れや生活習慣の見直しについてみていきましょう。
被殻出血はリハビリが必要?
被殻出血後、最も重要なのはその後のリハビリです。被殻出血を含む脳出血のリハビリは出血が止まり、全身状態が落ち着いてきたらすぐにでもリハビリを開始することが推奨されています。
特に急性期から半年以内に質の高いリハビリを受けることで予後が格段に良くなることがわかっています。リハビリは身体の機能回復だけでなく、心理的・社会的な回復を意味しています。患者さんが元の日常生活にスムーズに戻れるようにしていくことが大切です。
被殻出血のリハビリはどんな後遺症にアプローチすべき?
被殻出血の後遺症は主に発症したときの症状が、そのまま後遺症として残ることが一般的です。つまり、被殻出血では出血した部位と反対側の半身麻痺が主な後遺症となります。後遺症の程度は、出血量やご本人の年齢や身体状況によってさまざまです。
また優位半球で被殻出血が起こった場合は失語症になる場合もあり、コミュニケーションをとることが難しくなります。どのような後遺症が残ったとしても早期リハビリを行うことが大切なのは変わりません。後遺症の症状に応じた適切なリハビリを受けることが重要です。
脳出血は生活習慣の見直しも
被殻出血の予防や再発防止には肥満や喫煙など生活習慣病の管理が最も重要です。また、被殻出血の最大の危険因子は高血圧であるということもわかっています。
高血圧の原因となる生活習慣の例として以下のものが挙げられます。
- 塩分の摂りすぎ
- 暴飲暴食
- 過剰な飲酒
- 運動不足
- 喫煙
- 精神的ストレス
- ビタミン・ミネラル不足
まずはできることから日頃の生活を見直し、脳出血の予防と改善に取り組みましょう。
自費訪問リハビリという考え方|脳出血後のリハビリと生活期リハビリ
脳出血後に後遺症が残った場合、継続的なリハビリが必要になります。長くリハビリを続けることに心が折れてしまうこともあるかもしれません。被殻出血後の生活期リハビリへの向き合い方について考えてみましょう。
生活期のリハビリは目的と継続性が重要
生活期リハビリとは、医療機関から退院し自宅や施設に戻って生活を始める時期のリハビリです。患者さんの能力に応じた方法で歩行練習やトイレ動作・入浴動作など日常生活の動作を実施していきます。
「次はこれができるようになる!」と具体的な目的を持って取り組むことでリハビリ意欲も高まり持続できるようになります。患者さん一人ひとりにあった目標設定を行うことが大切です。
自費訪問リハビリも視野に入れよう
自費訪問リハビリの場合、回数に制限がなく患者さんが満足いくまでリハビリを受けることができます。また、慣れ親しんだ自宅で行える訪問型だと移動の負担もなく、よりリラックスした状態でリハビリに励むことが可能です。
「保険適用のリハビリだけでは物足りない…」
「ライフスタイルに合ったリハビリを行いたい」
「高品質なリハビリを受けたい」
このような思いを抱えていらっしゃる方は自費訪問リハビリを検討してみましょう。
被殻出血とは?リハビリ方法について|まとめ
被殻出血は脳出血の中でも最も多く、約半数を占めます。出血が少ない場合は症状がでない場合もありますが、出血が広範囲に及ぶと、麻痺や失語、意識障害などを引き起こします。
被殻出血は血腫量によって治療法も変わりますが、予後の機能回復のためにはリハビリは欠かせません。被殻出血後のリハビリは早期から行うことがとても重要なので、全員状態が落ち着いたらすぐにリハビリを開始しましょう。
もし被殻出血後に後遺症が残ってしまった場合は生活期のリハビリも考えなければなりません。生活期のリハビリは目標をもって継続することが大切です。より快適な環境で、自分に合ったリハビリを行いたい方はぜひ自費訪問リハビリを検討してみてください。