
外出の不安を軽くしたい方必見!すくみ足とは何か…精神面のアプローチ方法
2025.03.12

すくみ足とは、急に歩行ができなくなってしまう状態です。外出時に急に歩くのが止まってしまうと、誰しも焦ることでしょう。人の目が気になったり、動けないことへの不安を感じたりして、「もう外出はしたくない」と思うかもしれません。
すくみ足が出る原因には、身体的なトラブルに加えて、精神面も関係しているのです。この記事では、すくみ足とは何かを解説しながら、精神面が原因となる理由や治療法をご紹介します。
すくみ足にとらわれずに外に出たい方は、外出時に注意したいことにも取り組んでみましょう。
目次
すくみ足とは何か?症状・原因を知ると解決の1歩を踏み出せる

すくみ足とは、歩き始めや方向転換のさいに、急に足が前に進まなくなる症状です。動けなくなるのが不安で、外出を渋ってしまう方もいらっしゃいます。適切な対応ができるよう、すくみ足の症状や原因となる病気を知っておきましょう。
すくみ足の症状
すくみ足の症状は、意思とは関係なく起こります。本当は前に進みたいと思っていても、足が地面に張り付いたような状態となり、一歩を踏み出せなくなるのです。足が動かなくなるのが原因で、バランスを崩して転倒する可能性もあります。
すくみ足の原因疾患
すくみ足は、パーキンソン病の患者さんに多くみられます。パーキンソン病では、体の動きを調整する神経伝達物質が不足するため、動作が緩慢になったり、意図しない動きが出てしまったりするのです。
パーキンソン病以外でも、脳血管障害や正常圧水頭症、加齢によってもすくみ足が起こる可能性があります。
すくみ足の身体的なリハビリ
すくみ足の症状を改善するには、身体的なリハビリが必要です。すくみ足に対する身体的なリハビリ内容は、次の通りです。
- バランス能力と筋力の維持・向上
…すくみ足が出ても転倒しないよう、バランスを崩した時に立て直す能力やそれを支える筋力を鍛えます。
- 歩行練習
…すくみ足には、動作を開始するきっかけが重要です。すくみ足の歩行練習では、大きく腕を振ったり、大きく足を振り出すなど、歩き始めのきっかけを作ります。また、テンポ良く歩くために、メトロノームに合わせて歩いたり、床のレーザーポインターを追うようにして歩いたりする訓練も行われるでしょう。
不安・焦りから生じるすくみ足とは?精神面への治療も必要

すくみ足は、神経伝達の異常によって引き起こされるほかに、精神的な要因がきっかけとなって症状が出る方もいらっしゃるのです。不安や焦りから生じる、すくみ足とは何かを治療法と併せてご紹介します。
ネガティブな感情が誘引となる可能性も
不安・焦り・緊張などの感情が誘引となって、すくみ足の症状がさらに悪化する場合があります。特に外出時は「途中で止まったら動き出せないかもしれない」「横断歩道の途中で止まったらどうしよう」などの思考が原因で緊張感が増すのです。
外出時の不安・焦りから、すくみ足が起こり、それが原因で外出機会が減るという悪循環に陥るかもしれません。
すくみ足には認知行動療法も有効
すくみ足に関して、不安や焦りが強い場合は精神的なアプローチが必要です。特に、外出時にすくみ足が出て周囲に迷惑をかけてしまったと感じたり、恥ずかしいと思ったりする経験がある場合は、外に出るのが怖くなるでしょう。
すくみ足には、認知行動療法が効果的だといわれています。不安や落ち込みなどの思考を客観的に振り返り、現実的な考え方に変えて、気持ちや行動を改善する方法です。
認知行動療法には次のような例があります。
- 思考を記録する
…すくみ足について感じた不安や焦りについて、いつ・どこで・どのように起きたかを書きます。次に、その時に浮かんだ考えを書き出してみるのです。考えに対して「証拠はあるのか」「他の視点からみるとどう感じるか」などを問い直します。結果、すくみ足に対しての思い込みに気づけるのです。
- 暴露療法
…不安や焦り、恐怖を感じる状況や行動を段階的に体験してみる方法です。外出時にすくみ足が怖いと感じるならば、遠出はせずに短距離の散歩をしてみます。その結果「すくみ足が出ずに意外と大丈夫だった」「1人で行って帰って来られた」と成功体験を積み、できることが増えていくのです。
すくみ足とは精神的な面からも解決ができる!外出時の心構え

すくみ足とは、身体的なリハビリの他に精神面からもアプローチをすると、改善がみられる可能性が高いです。突然のすくみ足が怖い方向けに、外出時の心構えを3つご紹介します。外出をもっと楽しむために、できるところから取り組んでみましょう。
余裕が持てるスケジュールにする
焦るとすくみ足が出やすいため、外出時は余裕が持てるスケジュールにしましょう。いつもよりも10〜20分早く出発するだけでも、時間的な余裕が生まれ「すくみ足が出て遅刻したらどうしよう」という不安から解放されます。
また、予定していたスケジュールを1つ減らしてみましょう。一度に用事を済ませようとすると、予定が詰まったスケジュールになります。予定は1〜2つ程度にしたり、予定の間に休憩時間を作るのがオススメです。
動くタイミングを言葉にする
外出時にすくみ足が出てしまったら焦る方が多いです。その場合は、一旦深呼吸をし、動くタイミングを言葉にしてみます。「1・2・1・2」「せーの」と言葉にすると、一歩を踏み出すきっかけとなるでしょう。
視線を前方へ向けてみる
行動の目的があると、すくみ足は起こりにくくなるため、前方の目標物に視線を向けて歩くのも効果的です。前方を見るようにすると、周囲の状況を確認でき、通りたいルートの確認もできるでしょう。
もし、歩行中にすくみ足で動けなくなった場合も、近づきたい目標物をみつけると、動くきっかけとなります。
参考:内的リズム形成課題により歩行継続時のすくみ足歩行の改善を示した進行期パーキンソン病患者の一症例
まとめ|すくみ足とは?

すくみ足とは、足が動かなくなってしまい、動き始めるのが難しくなる症状のことです。一度症状が出てしまうと、自分の力だけで治すのはとても難しいとされています。もともとは、パーキンソン病の患者さんに多く見られる症状として知られていますが、脳血管障害(脳梗塞など)や高齢化など、さまざまな病気や状態が原因ですくみ足が起こることもあります。
「本当に危険なの?」「リハビリすべきなの?」と迷っている人もいるかもしれませんが、この症状を甘く考えてしまうと、足が動かないせいで転んでしまったり、大きなケガにつながったりする危険があります。実際に、歩き出そうとしても足が動かず、バランスを崩してしまうケースがあるのです。
このように、すくみ足は身体的なリハビリをしっかり行う必要がある症状です。まずは、なぜすくみ足が起こっているのかを突き止めるために、専門医に相談しましょう。原因がわかれば、それに合わせたリハビリやトレーニング、生活上の工夫を行うことで、症状の悪化を防ぎやすくなります。自分一人で悩まず、医師やリハビリスタッフといっしょに、改善に向けて取り組んでみてください。