
脳梗塞後にリハビリの目標を決めるポイント!ゴールは客観性が大事
2025.06.25

脳梗塞後、入院してリハビリを始める前に、退院に向けて目標を設定します。入院期間中は、設定した目標に向かって必要なリハビリを行い、ゴールを目指します。患者さんがモチベーション高くリハビリを継続するためにも、リハビリの目標を決めることが重要です。
リハビリの目標を最短で達成するためには、「具体性」と「数値化」が大切で、進捗状況を客観視することで患者さんの状態を正確に把握できます。
今回は、リハビリの目標の決め方やメリット、注意点について解説します。自宅退院を実現するために、患者さんや家族、医療チームが連携して同じ方向を向いてゴールを目指しましょう。
目次
脳梗塞後のリハビリは目標をどう決める?種類とメリットを解説

脳梗塞後はリハビリの目標をどのように決めたらいいのでしょうか?目標設定はリハビリ効果を高めるために、患者さん自身やセラピストにとって重要な項目です。目標の決め方と、目標を決めるメリットを解説します。
目標設定の種類
目標設定には短期目標と長期目標の2種類があり、それぞれ内容が異なります。
<短期目標のポイント>
- 長期目標を達成するためのステップ
- 期間は3ヶ月程度
例:「100m歩けるようになる」「杖なしで歩けるようになる」
<長期目標のポイント>
- 長期目標は最終的に達成したい状態のこと
- 期間は6ヶ月程度
例:「家の中で自由に動ける」
短期目標は、長期目標を達成するために必要な目標を設定します。脳梗塞は入院期間が長くなるケースも多く、中間の目標を決めることで、高いモチベーションを維持してリハビリを行えるようになるでしょう。
リハビリに対する目標設定の決め方
リハビリの目標は、患者さんと家族、医療チームで話し合って決める必要があります。患者さんと家族の希望を聴取して方向性を決めますが、実現できる目標になるように医療チームの意見を聞くことも大切です。
双方の意見をすり合わせて同じ方向性を向くことが最適な治療につながり、目標達成が可能になるでしょう。
目標を決めるメリット
なぜリハビリの目標を決めるのでしょうか?脳梗塞後のリハビリを行う前に目標を決めることで、患者さんと医療者双方にメリットが得られます。
<目標設定のメリット>
- 患者さんの動機付け
- リハビリのモチベーション向上
- 進捗状況を把握しやすい
- 患者さんの自主性が促進できる
脳梗塞後は最大6ヶ月入院するケースもあるため、方向性を決めることで患者さんのモチベーションを保ちやすくなります。目標に具体性がないと、思うようなメリットが得られないので注意が必要です。
参考:なぜ目標設定するの?目標設定するメリット・手法について紹介します!
【脳梗塞後】リハビリの目標設定時のポイントは?具体性と客観性

脳梗塞後リハビリの目標を決める際は、「具体的で数値化できるもの」にする必要があります。
目標が抽象的なものだと、患者さんも医療者も方向性を見失う恐れがあるため、注意が必要です。「具体性と数値化と言われてもイメージがわかない」という方もいますので、具体例を挙げながら解説します。
目標に具体性を持つ
リハビリの目標は具体性を持つ必要があります。漠然としたゴールでは、目標達成に必要なものが把握できません。例えば「自宅に帰る」だけでは具体性に欠けるので、「自宅内を杖なしで移動する」という目標にします。
「杖なしで移動する」という具体性を持たせることで、リハビリのプラグラムが変わるのです。最短距離でゴールに向かうために、目標は具体的に決めましょう。
数値化しやすい目標にする
リハビリの目標は、数値化して客観視できるものにしましょう。目標を数値化することで、方向性が明確になり、モチベーションも高まります。数値化の具体例は以下のようなものがあります。
<リハビリで数値化できる目標>
- 歩行速度
- 連続歩行距離
- バランス評価の点数
数値化された目標があれば、患者さんと医療者がリハビリの進捗状況を正しく把握できます。また、定期的に身体機能を測定すればリハビリのプログラムを再考でき、ゴールへの方向修正が可能です。
適宜見直しも必要
リハビリの目標は適宜見直しと修正を行います。医療者による予後予測は確実ではなく、麻痺の回復も症例によって異なります。
リハビリの進捗状況によってゴールの修正が必要になるため、入院期間中に一度は見直しを行いましょう。目標の見直しを的確に行うためにも、ゴールの具体性と数値化が重要です。
脳梗塞後のリハビリの目標を達成させる3つのコツ|自主トレが重要

脳梗塞後のリハビリ目標はどうすれば達成されるのでしょうか?自宅退院を目指すのであれば、自立した移動手段が必要です。他にも、安全に生活するためには認知機能も重要になり、高次脳機能障害に対するリハビリを行います。リハビリの目標を達成するためのポイントを抑えましょう。
身体機能を向上させ安全な移動手段を獲得
リハビリは長期目標が「在宅での生活」になる方が多いため、安全な移動手段の獲得が重要です。特に、脳梗塞後は後遺症を抱えるため、必要に応じて移動手段の補助を検討して在宅復帰を目指しましょう。
<移動手段の補助>
- 杖、歩行器の使用
- 手すりの設置
- 段差解消
リハビリの進捗状況や患者さんの身体機能の残存レベルによって、適切な補助具や住宅整備を行い、在宅復帰を可能にします。
社会復帰には認知機能も重要
自宅退院や社会復帰を目指すとき、身体機能の回復だけでは不十分で、認知機能も重要になります。脳梗塞後は高次脳機能障害を患うこともあり、社会復帰を困難にさせるケースが多いです。
<高次脳機能障害の例>
- 注意障害
- 記憶障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
高次脳機能障害は、認知訓練や生活訓練を通じて改善を目指します。認知機能は完全に治る症状ではないので、家族や周囲の方に理解をしてもらい、適度な補助を受けながら生活する必要もあるでしょう。
参考:医療法人社団三喜会「高次脳機能障害とリハビリテーション」
リハビリ以外の時間に運動する
リハビリの目標を達成するために、自主トレーニングを行うのも重要です。入院中のリハビリ回数には限りがあるため、早期の目標達成には自分で運動し、筋力や体力向上を図る必要があります。
自主練習の内容は人によって異なるので、リハビリの担当者に相談し、一人でも安全にできるものを教えてもらいましょう。
まとめ|リハビリ目標の決め方と社会復帰に向けた具体的方法

脳梗塞を経験したあとのリハビリでは、「目標をしっかり決めること」がとても大切です。目標があると、気持ちが前向きになり、長い入院生活もがんばって続けることができます。
目標を立てるときには、「何を・どこまで・いつまでにできるようになるか」をはっきりさせることがポイントです。たとえば、「5メートルを手すりなしで歩けるようになる」など、具体的で数字が入っている目標にすると、今どれくらいできているかを正確に確認できます。
また、本人や家族の希望と、病院の先生やリハビリのスタッフの考えを話し合って、みんなで目標を決めていくことが大事です。ひとりで考えるより、いろんな人の意見を取り入れることで、自分にぴったりのリハビリプランができあがります。
リハビリの最終的な目標は、「自宅に帰ること」や「元の生活に近づくこと」という人が多いです。そのためには、体の動きをよくするトレーニングや、ものごとを考える力(認知機能)をきたえる練習も必要です。
でも、入院中にできるリハビリの時間には限りがあるので、リハビリの先生と相談しながら、空いている時間に「自主トレーニング」をするのがおすすめです。無理なく、安全に行うことが大切です。
そして、脳梗塞のあとの入院は、長くかかることもあります。そのときは、体の状態をもう一度よく調べて、目標を見直したり、やり方を変えたりすることも必要です。自分にとって一番いいゴールをめざして、リハビリを続けていきましょう。