変形性股関節症でやってはいけない日常動作と対策法!股関節を守るための生活習慣とは?
2024.09.30
変形性股関節症は股関節に痛みが生じる病気で、初期段階であれば動いたときに痛みが生じる程度ですが、症状が悪化すると日常生活に支障をきたしてしまったり、痛みで動けなくて外出することができなくなることもあります。
痛みを防いだり、症状を悪化させないためには、なによりも日常生活において股関節に負担をかけないことが大切です。そこで変形性股関節症になったときに「やってはいけないこと」と「やるべきこと」を解説します。
普段の生活の動きというのは無意識に行なっていることが多く、すぐに取り入れることは難しいかもしれませんが、症状が悪化する前に意識して取り組んでいきましょう。
目次
変形性股関節症のやってはいけないことを知る前に…原因や治療法
日本で400~500万人が患っているといわれる変形性股関節症。その症状と発症する原因を詳しく解説します。
変形性股関節症とは
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減って、炎症を起こしたり骨が変形したりすることで痛みが生じる病気です。
股関節は骨盤と大腿骨頭(だいたいこっとう)のつなぎ目の関節で、大腿骨頭を寛骨臼(かんこつきゅう)が包み込む構造をしています。それぞれの骨の関節部分には軟骨があり、この軟骨はクッションの役割と関節の滑りをよくする役割があります。
参考:NHK「股関節の痛み変形性股関節症の原因と症状とは?発育不良も関係」
軟骨がすり減ってしまうことで、足の付け根の痛みや違和感といった症状があらわれます。そのほか、おしりや太もも、ひざに痛みがあるように感じることもあり、股関節の病気だと気づかない人も多いです。
変形性股関節症を引き起こす原因
変形性股関節症は、股関節の発育不全によるものが最も多い原因です。骨盤のカップ状になった寛骨臼が浅く小さいことで、ボール状の大腿骨頭が十分に覆われません。そのため骨と骨が接する面積が小さく、負荷が集中して軟骨がすり減りやすくなってしまうのです。
また年齢とともに筋力や体力が低下することも原因の一つです。男性に比べて筋肉量が少ない女性の方が特になりやすく、40〜50歳で発症することが多いと言われています。
そのほかに、肥満や重労働で股関節に負荷がかかったり、スポーツなどによる外傷も軟骨がすり減る原因になります。
変形性股関節症の治療法
変形性股関節症の治療は主に「薬物療法」「運動療法」「手術療法」の3つがあります。初期段階であれば、痛みを緩和するために鎮痛剤を用いながら運動療法を行ないます。
それでも痛みが改善されない場合や症状が悪化している場合には、「関節鏡手術」「骨切り術」「人工股関節置換術」などの手術療法が検討されます。
参考:NHK「変形性股関節症の治療手術(関節鏡手術・骨切り術・人工股関節置換術)について」
しかし変形性股関節症は一度発症すると進行し続け、治療を行なっても完全に治ることはありません。さらに日常生活の動作が負担になって徐々に悪化する原因となります。そのため生活の中で股関節にかかる負担を可能な限り軽減することが、なによりも一番大切です。
変形性股関節症になったら日常生活でやってはいけないこと
日常生活において股関節に負担がかかる動きは意外と多いです。特に痛みを感じないときは、負担がかかっている自覚がないかもしれません。具体的にやってはいけないことを把握して、痛みがないときにも避けるように心がけましょう。
やってはいけない日常動作
- 立ち仕事や長時間の歩行
立ちっぱなしや長い時間歩き続けることは、股関節へ大きな負担となります。立ち仕事であれば、休憩中だけでも意識して椅子に座るようにしましょう。また散歩や買い物などで歩く時間が長くなるときには、途中で休んだりゆっくりとしたスピードで歩きましょう。
- 重いものを持つなど
重いものを持つときに腰をかがめる動きや、股関節を曲げる動きが負担となります。無理に持とうとせず、家族や周囲の人に頼ることも大切です。また片手ではなく両手で持つ、荷物はリュックで背負うといった工夫で負担を軽減できます。
やってはいけない姿勢
- 正座やあぐら
正座やあぐらの姿勢は、股関節が捻られることにより負担になります。床に座るのはできるだけ避けて、椅子を使うように意識しましょう。
- 足を組む
足を組む姿勢は、正座やあぐらと同じように股関節の捻りにつながります。姿勢が悪くなり体の歪みにもつながるため、椅子だからと安心せず正しい姿勢を意識しましょう。
- しゃがむ動作(和式トイレ、草むしり)など
しゃがむときには股関節を深く曲げ、さらに立つときには体重の10倍もの負担が股関節にかかります。そのためトイレは洋式を使ったり、長時間しゃがむ姿勢を続けるのは避けましょう。
痛みがあるなら運動も控える
- 過度な運動やストレッチ
股関節周りの筋肉の緊張を和らげて関節を柔らかくしたり、筋力をつけるために運動は大切です。しかし過度に行ってしまうと痛みが増す可能性があります。運動やストレッチは適度に行ない、痛みが強いときには無理せず安静にしましょう。
- 股関節に負担のかかるスポーツ(バレーやサッカーなど)
走ったり体の動きが大きいスポーツは、股関節への負担も大きくなります。こまめに休憩して股関節を休めたり、痛みがあるときには激しいスポーツを控えるようにしましょう。
【変形性股関節症】やってはいけないことがわかったら…やるべきこと
変形性股関節症になったらやってはいけないことと合わせて、やるべきことを把握して、症状の軽減につなげましょう。
股関節に負担のかからない生活様式に
やってはいけないことでも少し説明したように、床に座ったり布団で寝るという日本古来の生活様式は、股関節に大きな負担がかかってしまいます。椅子に座る、ベッドで寝る、洋式トイレを使うなど、自宅や外出先でもできるだけ西洋式を取り入れることをおすすめします。
最近は家の造りやお店なども西洋式のスタイルが多い傾向にあるので、意識すれば取り入れるのはそう難しくはありません。
体重のコントロールも大切
体を直接支えている股関節に負担をかけないためには、適正な体重を管理することも大切。特に変形性股関節症を発症しやすい中高年は、基礎代謝が低下して太りやすいため、肥満にならないよう食生活に気をつけましょう。
普段食べすぎてしまうという方は、ゆっくりとよく噛んで食べることで満腹中枢が働き、食べすぎを防ぐことができます。また、たんぱく質の多い大豆製品や乳製品、食物繊維の多い野菜や海藻、きのこ類などを意識して摂ることで、栄養バランスが整い肥満の予防につながります。
まとめ|変形性股関節症のやってはいけいないこと
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)という病気を知っていますか?これは、足と体をつなぐ「股関節(こかんせつ)」という部分で、骨と骨の間にある「軟骨(なんこつ)」がすり減ってしまい、痛みが起こる病気です。軟骨はクッションのような役割をしていて、これが減ると骨同士が直接こすれ合ってしまいます。
この病気は、股関節がうまく成長しない「発育不全(はついくふぜん)」が原因で起こりやすく、誰にでも起こる可能性があります。でも、特に40歳から50歳くらいの筋力が少ない女性に多く見られます。筋肉が弱いと股関節への負担が大きくなるからです。
治療法はいくつかありますが、完全に治すことは難しい病気です。そのため、普段の生活で股関節に負担をかけないようにすることが大切です。例えば、長い時間立ちっぱなしにならないようにしたり、歩き続けないようにこまめに休憩を取ると良いでしょう。また、床に直接座るのではなく椅子に座ったり、布団ではなくベッドで寝るなど、西洋式の生活スタイルを取り入れることもおすすめです。
さらに、股関節は体を支える大切な部分なので、体重が重いとそれだけ負担がかかります。適正な体重を保つことで、股関節への負荷を減らすことができます。変形性股関節症になってしまうと、痛みで運動が難しくなることもあります。そのため、バランスの良い食事など、食生活を中心に健康管理を心がけましょう。