NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 撓骨遠位端骨折はリハビリで合併症を防ぐ! リハビリ方法や効果を紹介

撓骨遠位端骨折はリハビリで合併症を防ぐ! リハビリ方法や効果を紹介

撓骨遠位端骨折はリハビリで合併症を防ぐ! リハビリ方法や効果を紹介

高齢者が手のひらを床や地面に突くようにして転倒したときに起こりやすい「撓骨遠位端骨折」は、手首にある2本の骨のうち太いほうの骨である「橈骨」が骨折して発生します。

この骨折の治療では、骨折部のズレを整復するためにギプス固定を行いますが、固定中または固定後に適切な運動を行わないと合併症を併発してしまう可能性があるので、リハビリなどで握力を鍛えたり関節の可動域を広げることが大切です。

今回は、橈骨遠位端骨折のリハビリで効果的な方法やどのような合併症があるのかについてご紹介します。

撓骨遠位端骨折後のリハビリで手首の浮腫や指先のしびれを防止

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比較的幅広い年齢層で起こる橈骨遠位端骨折は、骨折の種類を理解して、症状に合ったリハビリを行うのが効果的です。

幅広い年齢層で起こる撓骨遠位端骨折

撓骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)は、転倒や転落時に手をついたさいに受傷する骨折で、小中学生くらいの子供から中高年以降の年配の女性など幅広い年齢層で起こります。特に骨粗鬆症になりやすい中高年の女性の場合は、軽く転倒しただけでも骨折することがあります。

前腕にある2本の骨のうち親指側にある骨を「橈骨」と言いますが、橈骨が手首のところ(遠位端)で骨折するため、橈骨遠位端骨折と呼ばれるリハビリが重要な骨折です。

骨折すると手首に強い痛みが出て、腫れたり、関節可動域に制限が起こります。怪我の仕方で違いがありますが、フォークを伏せて置いたような変形が見られたり、手根管(しゅこんかん)症候群により神経麻痺を合併する場合もあります。

橈骨遠位端骨折の種類

撓骨遠位端骨折の種類には「コーレス骨折」「スミス骨折」があります。骨折の種類によってリハビリの方法も異なってきます。

「コーレス骨折」は、手のひらを強く突くことで手首の骨が手の甲側にズレる骨折で、「スミス骨折」は、手の甲を強く突くことで手首の骨が手のひら側にズレる骨折です。

コーレス骨折やスミス骨折の治療法は、主に腕や静脈に麻酔をして痛みを取り除いてから、手を引っ張ってずれた骨片を元の位置に戻す徒手整復を行い、ギプスで固定する方法や、手術による創外固定が行われる場合もあります。

リハビリでむくみやしびれを防ぐ

撓骨遠位端骨折のリハビリは、一般的に2か月程度行われます。手術後なら約3週間後、保存療法であれば4〜6週程度ギプス固定を行った後にリハビリが開始します。

リハビリの目的は、痛みや腫れが引いていく過程で関節の動きや筋力の機能を改善したり、ギプス固定によるむくみやしびれが長引くのを防ぐことです。

撓骨遠位端骨折で起こりうる合併症とは|早めの治療がおすすめ

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橈骨遠位端骨折の合併症にはいくつかあり、手関節や手の動きに違和感がある場合は合併症を併発している可能性があります。痛みは軟骨の変性が進んでいる場合もあるので早期に手外科専門医へのご相談がおすすめです。

指が伸びなくなる伸筋腱断裂

骨折の転移(ずれ)や、手をついたさいの衝撃で親指を伸ばす腱が断裂して起こる「伸筋腱断裂」は、撓骨遠位端骨折の合併症でリハビリが必要です。

主な症状は指が伸びなくなることで、保存治療中のギプスの中で発症に気づくこともあります。橈骨遠位端骨折を起こしている50代以上の中高齢者の3%程度で腱断裂が生じているので、傷より指先のしびれや冷えを感じる場合は、早期に医療機関を受診しましょう。

女性に多い手根管症候群

撓骨遠位端骨折のリハビリが必要な合併症に「手根管症候群」というものがあります。手根管症候群になると、親指、人差し指、中指、薬指の半分にしびれが出て、手を振ると少し楽になる特徴があります。

妊娠・出産期や更年期の女性に多く生じるほか、撓骨遠位端骨折などの怪我、仕事やスポーツでの手の使いすぎで起こることもあります。

手根管は、手のひら側にあり、正中神経と呼ばれる神経と、指を曲げる腱が通っている管のことで、骨折などで手根管が圧迫されて痛みが出ます。手を動かすことで循環が良くなるので、治療後の日常生活ではしびれを気にせずに積極的に手を動かしましょう。

全体の機能障害につながるTFCC損傷

TFCCとは、三角線維軟骨複合体の略で、手の甲側の小指側にあるぐりぐりのところあたりにある軟部組織です。

正常状態で手首の小指側の安定性や指示性を与える役割やドアノブを回すなど手首をひねったさいに、力の伝達・分散・吸収する役割があるため、撓骨遠位端骨折などが原因で損傷すると手全体の機能障害につながる可能性もあり、リハビリが必要になる場合が多いです。

TFCC損傷は、手関節を形成している尺骨(手関節の小指側にある骨)と橈骨の間の靭帯が断裂して起こるので、治療は断裂した靭帯の縫合など外科的な処置が必要になることもあります。

【参考:Mindsガイドラインライブラリ「(旧版)橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2012」

撓骨遠位端骨折のリハビリ|ギプス固定中にできるものも紹介

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撓骨遠位端骨折の治療後にギプスをしたら、ギプス固定中や除去後に適切な運動を行いましょう。適切な運動を行うことで、関節の動く範囲が狭くなったり手首の握力が弱ってしまうことを防ぐことができます。

ギプス固定中にできるリハビリ

撓骨遠位端骨折のリハビリは、ギプス固定中に行うことも重要です。ギプス固定中にできる骨折した手のむくみを軽減させるリハビリを紹介します。

①骨折した手を心臓の高さより上で保持し、そのまま指を「グーパー」と握ったり開いたりを繰り返します。指のむくみが強く握れない場合は、指先から指の付け根に向かってマッサージするのもおすすめです。

②肘を曲げ、肘を肩の高さまで上げ、そこから肘を伸ばして腕を耳の横につけます。そして指を握ったり、閉じたり、親指を他の各々の指につけます。

ギプスが外れたらできる手首のリハビリ

ギプス除去後にできる手に負荷をかけ過ぎない撓骨遠位端骨折のリハビリを紹介します。

①テーブルに腕をのせ、手首を手のひらの方向から手の甲の方向にゆっくりと動かします。

②テーブルに腕をのせたままで、手の平を上、下に脇をしめながら動かします。

少し負荷をかけて行う手首や指の筋トレ

ギプス固定が外れて時間が経てば、負荷のかかる撓骨遠位端骨折のリハビリを少しづつ行いましょう。

①手のひらを胸の前で合わせ、ゆっくり肘を上げます。次に手の甲をふともものあたりで合わせて手首部分を胸の前に上げていきます。

②両手を組んで脇をしめ、手のひらが天井側、床側に交互に向くように動かします。

これらの運動は、医師に相談しながら1回に10〜20回程度、1日に3〜4回程度行いましょう。

まとめ

橈骨遠位端骨折のリハビリ方法や効果についてご紹介しました。撓骨遠位端骨折が高齢者に起こった場合は、合併症を併発してしまう可能性が高いので、早期に医師の診断を受けたうえでリハビリを開始することが重要です。

撓骨遠位端骨折は、更年期の女性または仕事などで手を酷使している人に起こりやすい骨折です。ギプス固定中にできるリハビリなど自分に合う方法を取り入れ合併症を予防して、社会復帰したり生活の質を上げていきましょう!

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