【脳梗塞】再発率は50代から増加するのか?年代別の再発率と予防策
2024.08.25
脳梗塞の再発は重症化するだけでなく、自身のライフスタイルも大きく変えます。また、再発する確率が非常に高い病気です。年齢別によって、脳梗塞の再発率は大きく異なり、年齢を重ねるたびに再発率は高くなります。
では、中間層の50代では脳梗塞の再発率がどのくらいになるのかと疑問に思う方もいるでしょう。これから、年代別に見た脳梗塞の再発率を説明します。
50代からの再発率を踏まえたうえで、脳梗塞再発に向けて予防策を行うことが重要になるでしょう。脳梗塞は突然発症する病気なので、自身の身体状況の把握を行うことが予防策の鍵になります。
脳梗塞再発率の低下を目指し、将来苦のないライフスタイルを過ごしましょう。
目次
脳梗塞再発率はどのくらい?50代から脳梗塞が増加するって本当?
50代から脳梗塞が増加すると言われる理由とは何か、発症率と原因を確認しましょう。
脳梗塞の発症率
脳卒中はくも膜下出血・脳出血・脳梗塞に分けられており、それぞれ発症率が異なります。
- くも膜下出血:74%
- 脳出血:18%
- 脳梗塞:4.5%
脳卒中における脳梗塞の割合は74%と非常に高いです。脳梗塞は発症率だけでなく再発率も高く、危機感を持つ必要があります。
再発予防のために脳梗塞の種類別発症率を把握することが重要です。
脳梗塞の種類別発症率の割合を確認しましょう。
【ラクナ梗塞】
- 1年再発率:7.2%
- 10年再発率:46.8%
【アテローム血栓性脳梗塞】
- 1年再発率:14.8%
- 10年再発率:46.9%
【心原性脳塞栓症】
- 1年再発率:19.6%
- 10年再発率:75.2%
種類別発症率を把握し、再発に対しての予防を行うことが大切です。
脳梗塞は50代から発症しやすい?
脳梗塞は、動脈硬化や血栓が原因で脳血管の一部の血流が遮断されて、脳細胞の損傷を引き起こす病気です。
脳梗塞を含む脳卒中は突然発症します。発症につながる要因は、これまでの生活習慣の乱れによって起こる生活習慣病です。他にも大きな要因として加齢や高血圧があります。
加齢に伴い、コレステロールや脂質が血管壁に付着し、血流が悪くなります。また、高血圧は血管にダメージを与え、動脈硬化を進行させる危険因子です。
加齢は高血圧の原因でもあり、これら2つが合わさる50代から発症率が急激に上がりやすくなります。体に違和感を感じたり、脳梗塞の前兆症状がみられた場合は、すぐに病院を受診しましょう。
脳梗塞は再発すると重症化する
再発率が高い脳梗塞は、再発をするほど危険な病気です。再発を繰り返すたびに、脳細胞の損傷範囲も広がるため、症状が悪化し改善されにくくなります。
再発によって身体的・精神的に負荷が大きく、治療に対してモチベーションが低下しやすいです。これにより、廃用性症候群による寝たきりや命の危険性が高まります。
これらを防止するためには、再発の原因を把握しておくことが大切です。
【脳梗塞再発の原因】
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 喫煙
- 心疾患
これらは生活習慣病が改善されない限り、脳梗塞発症につながる危険因子として残り続けます。再発防止を行い、身体症状の重症化を防ぎましょう。
脳梗塞再発率は年代によって異なる?50代以降の年代別再発率
脳梗塞再発防止において、若年層と高齢者で脳梗塞再発率がどのくらい違いがあるのかを把握することが大切です。それぞれの年代別と比較した50代の再発率を確認しましょう。
【年代別】脳梗塞の再発率
脳梗塞はほかの病気と比較して再発しやすい病気です。年齢別で脳梗塞の再発率は異なりますが、どの年齢層が再発しやすいのか確認しましょう。
【3年間で脳梗塞を初発・再発した年齢別発症率(人口10万対)】
年齢 | 初発 | 再発 |
0~19歳 | 5 | 2 |
20~39歳 | 44 | 6 |
40~59歳 | 620 | 101 |
60歳以上 | 3867 | 1424 |
50歳以上は、加齢や高血圧に伴う脳梗塞の再発を繰り返す可能性が高いです。初めて脳梗塞を発症した全年代のうち60歳以上が85.3%、再発での全年代のうち60歳以上が92.9%を占めています。
この結果、脳梗塞の再発率は若年層より高齢の方のほうが高いことがわかりました。加齢も脳梗塞再発率を高めますが、乱れた生活習慣の積み重ねも脳梗塞再発リスクを高めます。
50代以下は再発率が低い?
年齢層が高いほど脳梗塞再発率は高くなりますが、若年層でも脳梗塞の発症や再発を引き起こします。若年層が脳梗塞になることを若年性脳梗塞といい、若いうちに発症するからこそ
若年性脳梗塞の原因
- 抗リン脂質抗体症候群
- 奇異性脳塞栓症
- もやもや病
若年性脳梗塞の原因は不明な部分が多いですが、これらの疾患が関係しています。若年性脳梗塞の特徴は、自己免疫や元々の心臓や血管が、脳梗塞を起こしやすい状態になっていることです。
若年性脳梗塞の原因疾患は発症リスクや頻度が高いわけではありません。原因疾患以外の動脈硬化や生活習慣病が原因で起きる脳梗塞が多いです。
脳梗塞の再発は若年層の方も発症するため、「脳梗塞=高齢者の病気」ではありません。
脳梗塞再発率から見る|再発防止に50代から気をつけるべきこと
若年層と比較して高齢の方は脳梗塞再発率が高いです。そのため、再発防止を行う必要があります。50代から予防策を行う際に気をつけるべきことを確認していきましょう。
血栓を予防する
脳梗塞の主な原因は動脈硬化です。動脈硬化の進行により血栓が生じ、脳血管の一部が詰まることで脳細胞が損傷します。脳梗塞の再発防止として、血栓の予防を行うことが重要です。
血栓に対して、薬物治療と外科的治療が行われます。
薬物療法は内服薬と注射薬に分かれており、血液凝固防止・血栓溶解・血栓による閉塞防止を目的に行う治療です。薬を飲むのを途中でやめず、正しく服用することで、有効的な薬物療法が行えます。分厚くなった血管や血液粘液度などは、中長期的な治療が必要であるため、継続的に薬物療法を行いましょう。
外科的治療には血栓回収療法があります。脳梗塞の原因である血栓を、カテーテルを使用して摘出する治療です。傷跡や身体的負担も少ない治療で、脳梗塞再発防止につながります。
生活習慣を見直す
脳梗塞は脳そのものに原因があるわけでなく、体に悪い危険因子をもち続けることで発症する病気です。
脳梗塞発症の背景には、生活習慣病があります。長年に渡って生活習慣の乱れを続けることで、50代になると生活習慣病を発症する割合が増える可能性が高いです。
脳梗塞の再発率は非常に高く、身体状況の重症化を引き起こします。脳梗塞再発や重症化を防止するには、脳梗塞の危険因子である生活習慣病を予防することが重要です。
【生活習慣病の改善方法】
- 食生活の改善
- 禁煙
- 定期的な運動
- アルコール摂取量を減らす
- 薬による血圧のコントロール
他にも、生活習慣病予防健診があります。生活習慣の見直しを行い、脳梗塞再発を防止しましょう。
50代になったら脳ドックを受ける
脳は加齢に伴い老化し、脳梗塞のリスクを高めます。
脳萎縮(のういしゅく)や血管が硬くなることは老化に伴い起こるので、正常範囲内であれば心配はいりません。
しかし、老化が早い方や老化症状が重症の場合は、認知症や動脈硬化と診断されます。脳状態が正常範囲内であるか確認したい時は、50代から脳ドックを受け、脳状態を把握しましょう。
脳ドックを受けて、特に異常がない場合は2〜3年に一度の受診をおすすめします。少しでも血管リスクが見られた場合は、1〜2年に一度の受信を行いましょう。
定期的に脳状態を確認することで早期発見につながります。脳梗塞による体や生活への影響は大きいため、50代から脳ドックを受けて、自分らしさのある生活を送りましょう。
まとめ|脳梗塞再発率からみる50代以降の予防策
脳梗塞は、脳に直接の問題があるわけではなく、長い間不健康な生活を続けることで起こります。生活習慣を改善しないと、脳梗塞が重くなるだけでなく、再び起こる可能性も高くなるので危険です。
また、脳梗塞の原因は生活習慣病だけでなく、年を重ねることも関係しています。若い人に比べて、高齢の方は脳梗塞が再び起こる確率が非常に高いことがわかっています。50歳を過ぎたら、脳梗塞が再発しないように予防することが大切です。
生活習慣を見直したり、脳ドックで定期的に検査を受けたりすることで、脳梗塞が再発するリスクを減らすことができます。
自分らしい生活を楽しむためにも、脳の状態をしっかりと把握し、適切な予防をしていきましょう。