小脳性運動失調症の症状と改善法:効果的なリハビリとは?
2024.10.30
身体が思うように動かなくなる「運動失調症」は、誰にでも起こりうる病気です。その中でも「小脳性運動失調症」は、小脳の不調が原因で発生する身体の不具合です。
この病気になると、普段何気なく行っていた日常の動作がうまくできなくなり、生活に支障をきたします。もし小脳性運動失調症になったときのために、どのように対処すべきかをあらかじめ知っておくと安心です。
今回は、小脳性運動失調症とはどのような病気かを解説します。また、症状を改善するためのおすすめのリハビリ方法や、専門家への相談の重要性についてもご紹介します。ぜひ、小脳性運動失調症に備えて知識を深めておいてください。
目次
小脳性運動失調症とは?脳の疾患を起因とする運動失調は他にもある
小脳性運動失調症とは、そもそもどのような病気でしょうか。運動失調症には他にも種類がありますが、小脳性運動失調症ならではの主な特徴について解説をします。
そもそも小脳の役割とは?
小脳性運動失調症について解説をする前に、そもそも小脳とはどのような役割を担っているのか解説をします。小脳の主な役割は、全身の運動の制御です。視覚や触覚など外から得た様々な情報と、脳から筋肉に向かう運動指令を司り、身体がスムーズに動くように働いています。
また、近年は認知機能にも深く関与していることがわかってきています。小脳が正常に働くおかげで、身体全体が正常に動くと考えて差し支えありません。小脳の不具合により、運動失調が発生するのも納得できることでしょう。
小脳性運動失調症の特徴
小脳性運動失調症を発症すると、手足をスムーズに動かせなくなってしまいます。目の前にある物に触ろうとすると、思ったよりも大きく手を伸ばし過ぎてしまったり、大きく手を振る動作になってしまったりしてしまいます。
また、場合によっては体幹の不安定にもつながってしまいます。常に酔っ払いのようなふらふらした状態になってしまったり、無意識に大股で歩いてしまったりする症状が見られます。
他の脳疾患による運動失調の種類
小脳性運動失調症以外にも、運動失調をきたしてしまう病気はあります。例えば、脊髄性失調症は主に下肢に不具合が起こる病気です。無意識に足を高く上げてばたばたとした歩き方になってしまうケースが見られます。
また、前庭迷路性失調というものもあります。耳の内部にある、平衡感覚を司る前庭の不具合によって起こる運動失調で、寝ている状態から起き上がる際にバランスを保てなくなるなどの不具合が発生します。身体の不具合の種類を見極めることで、身体のどの部位が不調であるのか確認すると良いでしょう。
小脳性運動失調症に効果のあるリハビリを紹介!自宅でも取り組める簡単な動作
小脳性運動失調症からの改善を図る際には、リハビリの実施がおすすめです。リハビリと一言で言っても様々な手法がありますが、小脳性運動失調症に特に適している方法を以下に3例紹介します。
ドローイン
ドローインは、体幹安定のために欠かせない基本的なリハビリ動作です。小脳性運動失調症においては、体幹の筋力が低下するケースが多いため、姿勢の安定に欠かせない体幹を鍛えるドローインが有効です。
膝を立てた状態で仰向けに横になり、腹式呼吸によりできるだけお腹をへこませます。それ以上へこまない状態を10~30秒程度保ちます。この動作を5回で1セット、1日3セット実行しましょう。
座ってできる運動
小脳性運動失調症の対策として、座ってできる運動もあります。両足に不具合があっても取り組めるリハビリであるため、様々なケースで広く利用されている方法です。
バスタオルを丸めてロール状にし、床に置いてその上に座ります。身体は曲げずまっすぐな状態を保ち、左右への重心運動を行いましょう。左右5回ずつ、計10回程度実施します。上肢及び下肢に不安が合っても取り組めるリハビリであるため、運動失調に陥った場合は積極的に実施しましょう。
手足上げ運動
比較的自由に上肢と下肢が動かせる場合は、四つん這いによる手足上げ運動を試しましょう。「バード&ドッグ」とも呼ばれる動作で、体幹の内部にあるインナーマッスルを鍛えるのに有効な方法です。
四つん這いになって、顔は前を向いた状態にします。肩関節と股関節がともに90度になる程度に広げます。一方の手と、その反対側の足を上げて5秒間キープしましょう。左右の手足を入れ替えて再度5秒キープします。両側3回ずつで1セットとし、1日3セット実施すると良いでしょう。
小脳性運動失調症の改善は自力では難しい?リハビリの専門家に相談するのが一般的
以上で、比較的簡単に取り組めるリハビリの方法を紹介しましたが、効果的な運動を実施するのは自力では難しいです。小脳性運動失調症の症状改善を効果的に進めるため、リハビリは専門家の指導のもと実施しましょう。
正しいリハビリの継続実践は難しい
正しい動作でリハビリを継続して実施するのは、実は難しいです。前述で紹介した、簡単なリハビリにおいても、人によって適切な強度や回数には違いがあります。
無理をして過剰な強度でリハビリを行うと、逆に身体に必要以上の負荷がかかってしまい、かえって症状を悪化させてしまいかねません。取り組むリハビリの種類も、自己判断をするのは危険です。効果的な正しいリハビリを継続して実践するのは、自己判断では難しい面が多いでしょう。
専門家に相談して効果的なリハビリを
小脳性運動失調症の改善のためのリハビリを実践する際は、専門家に相談をしながら、指導の下で実践するのがおすすめです。専門のクリニックで定期的に問診を受けながら、適切なリハビリを継続しましょう。
また、近年はリハビリ専門の事業所も増えています。最寄りの専門事業所で適切な指導を受けながら、治療を進められるのが理想的です。決して自己判断をせず、専門家の指導を受けながら実践しましょう。
まとめ:小脳性運動失調症の改善にはリハビリが有効
小脳性運動失調症という病気になると、自分の体を自由に動かすことが難しくなり、普段の生活で困ることが多くなってしまいます。小脳は、私たちの体の動きをなめらかにするためにとても大切な部分です。そのため、小脳に問題が起こると、その影響は全身に及び、日常生活にも大きな支障をきたします。
この病気を改善するためには、リハビリテーションがおすすめです。たとえ手や足の動きがうまくいかなくても、簡単なリハビリから始めることができます。大切なのは、あせらずに根気よく続けることです。
また、効果的なリハビリを行うためには、専門家のサポートが欠かせません。リハビリの専門クリニックや病院を利用して、専門の先生から適切なアドバイスをもらいながら続けましょう。そうすることで、より効果的に体の機能を回復させることができます。
さらに、家族や友人のサポートも大切です。一人で頑張るのではなく、周りの人に協力してもらいながら、前向きに取り組んでいきましょう。