運動器疾患のリハビリの特徴を解説!前向きに健康寿命を伸ばすための乗り越え方
2023.09.08
加齢が進んでいくと、若い時のように身体をスムーズに動かせなくなってきたなと感じている人は多いのではないでしょうか。
特に身体に負荷がかかるようなことをしていなくても、身体を動かさないでいることで、身体の運動機能が衰退していくこともあります。若年層でも、スポーツや身体に負荷がかかる生活をしていると、運動器疾患を発症することもあります。
年齢関係なく患う可能性のある運動器疾患は、適切なリハビリをすることで症状を和らげることは可能です。今回の記事では運動器疾患のリハビリの特徴や乗り越え方を徹底解説します。
目次
代表的な運動器疾患とは?リハビリをする目的や特徴はある?
運動器疾患とは身体の動きに関わる部位や組織の障害のことです。高齢に伴う運動機能低下から、スポーツや事故による外傷によっても発症します。そんな運動器疾患のリハビリの特徴や目的はあるのでしょうか。
代表的な運動器疾患とは?リハビリ対象はある?
運動器疾患は
・骨
・筋肉
・靭帯
・関節
・脊椎
といった、身体を構成する組織や集合体の機能が低下している状態のことを言います。整形外科疾患とも呼ばれリハビリの対象になります。
これらの運動器の機能が低下している状態では、基本的な日常動作である「歩く」「立つ」という動作に障害が現れます。
代表的な運動器疾患は
・骨折
・脊髄障害
・関節リウマチ
・骨粗鬆症
・変形性膝関節症
・腰部脊柱管狭窄症
・神経・筋疾患
・スポーツ障害
等です。これらの運動器疾患によって移動機能の低下を来たした状態を「ロコもティブシンドローム(通称ロコモ)といい、特に高齢者は要介護のリスクが高まるとして、ロコモ予防に取り組む重要性が謳われています
【参考】運動器のリハビリテーション治療
運動器疾患のリハビリの種類と特徴
運動器疾患のリハビリは国家資格を有する理学療法士が、ひとりひとりに適切なプログラムを作成した上で行われます。
病院では医師の指示のもと行われるため保険適用になり、運動器リハビリは日数上限が150日以内といった定めがあります。訪問リハビリは実費のため全額自己負担ですが、日数や内容に関しても自分で選べるメリットがあります。
【参考】理学療法とは
【参考】第7部リハビリテーション通則1リハビリテーションの費用は、特に規定する場合を除き
運動器疾患のリハビリの3つの目的
運動器疾患のリハビリには主に以下の3つの目的があります。
・機能改善と再発防止
リハビリの最大の目的は機能改善です。リハビリはご自身の身体を動かしながら行うことが多く、筋肉や関節等の機能を高めて再発防止にも繋げていきます。
・日常動作の獲得と社会復帰
機能回復により日常を取り戻したり、前向きなモチベーションを創出することで、運動機能的には不完全であっても社会復帰・参加を目指します。
・スポーツ活動時の機能向上
リハビリをしてきると正しい身体の使い方を意識できるようになるため、スポーツをする際の機能向上が期待できます。
リハビリは競争ごとではないため、自分自身の中で課題を乗り越える必要がありますし、目的はひとりひとり異なります。リハビリ前に目的や目標設定をすることで効果的なプログラムやアプローチをすることができます。
運動器疾患のリハビリは3つのアプローチで機能回復を目指す
運動器は日常生活の動作そのものに関わるため、自己流ではなく専門家のアドバイスを受けながら正しい方法でのリハビリが必要不可欠です。
では、運動器疾患のリハビリはどんなアプローチでされるのでしょうか。
アプローチ①運動療法
運動療法はシンプルに「運動をして治療する」ことです。運動器疾患の程度に合わせて、ウォーキング等の有酸素運動や、筋力トレーニング等の無酸素運動を行います。
運動療法には以下の効果が見込まれます。
・生活習慣病を予防・改善
・四肢の可動域の維持・拡大
・寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行などの動作能力の維持・改善
・心肺機能の維持・向上
・ストレス発散・精神状態の安定
アプローチ②徒手療法
徒手療法は、理学療法士によって行う手を用いた治療です。診断や評価をした上で、患者の運動器疾患に最も適した手技を施すことで、機能改善を図ります。
具体的にはモビライゼーションやストレッチ、マッサージを取り入れることが多いです。
徒手療法の効果は以下の通りです。
・筋緊張の緩和による関節可動域の改善
・疼痛の改善
・血液・リンパ流の改善
・精神的ストレスの軽減
【参考】徒手的リラクゼーションとは?
アプローチ③物理療法
物理療法は電気や光線や超音波、お湯、水、熱などの物理的なエネルギーを利用し、治療をするものです。低周波治療器やホットパック、ウォーターベッドといったマシン等を使用します。
物理療法の目的は、
・疼痛の緩和
・リラクゼーション
・循環の改善
・運動療法を効果的にするための準備
運動器疾患のリハビリが辛い時は?焦らず自分のペースを心がけよう
運動器疾患は痛みを伴うことが多いため、リハビリが苦痛に感じることも多々あります。そんな時、どんなことに注意したり、工夫することでモチベーションを維持していけば良いのでしょうか。
リハビリの強度が苦痛に感じたらすぐ相談
運動疾患のリハビリは理学療法士による診断や評価をした上で行われます。そのため基本的には無理のない範囲で行われますが、痛みの強弱に関しては理学療法士は計り知れません。
キャパオーバーしてしまったり、痛みに耐えられない場合は我慢せずに理学療法士に相談しましょう。リハビリは続けることが重要なため、無理のない範囲で行うことを一番に考えた上で取り組みましょう。
停滞期は誰にでも訪れる
特に、若年層で回復後にすぐ社会復帰をしたい場合等は、リハビリの回復速度に焦りを感じる人がよく見受けられます。
しかし、多くの人に停滞期は訪れます。思うように回復が進まなくても、長いスパンで回復をさせていく計画をリハビリ初期にしておくことや、定期的に振り返りや目標設定や計画の調整をすることで焦りに対処できます。
適度に気分転換をしよう
リハビリは身体にも精神的にもストレスをかけるものです。適度に休みを挟むことで、心の整理や気持ちにゆとりができます。
趣味活動をしたり、親しい人とリハビリとは関係ない会話をするなど、楽しいと思えることをすることでモチベーションを維持することができます。
まとめ
運動器疾患は、身体を動かすために必要な運動器が障害されていることで、日常生活に大きな影響を与えます。運動器疾患を患っている場合、早期にリハビリに取り組むことが必要です。
病院等で行われる保険適用のリハビリや、実費の訪問リハビリ等、さまざまな形式でリハビリをすることは可能です。理学療法士とコミュニケーションをとりながら、時には気分転換を挟んで有意義なリハビリを進めていきましょう。
リハビリは辛いこともあるかもしれませんが、乗り越えることができれば必ずQOL(生活の質)は向上するはずです。