
【部位別】筋緊張を落とす方法として有効なリハビリ!自宅でできる方法も
2025.06.11

病気やケガによって筋緊張に問題が起こると、身体にさまざまな症状が現れ、日常生活に影響が出る方は少なくありません。筋緊張が高い状態が続くと事故や転倒のリスクも高まるため、適切な治療とリハビリが重要です。
この記事では、筋緊張を落とす方法として有効なリハビリと、自宅でもできる部位別のストレッチを紹介します。自宅でもリハビリができれば、より効率的な筋緊張異常の改善に期待ができるでしょう。
ただし、やり方を間違えると逆効果になる恐れもあるため、具体的な方法と注意点の確認が大切です。筋緊張に問題を抱えている本人だけでなく、家族や周囲の方も理解しておくことで、サポートがしやすくなります。
目次
筋緊張はどんな状態?落とす方法は?効率よくリハビリするために

筋緊張を落とす方法やリハビリを実践する前に、筋緊張とは何か、どのような症状があるのかの理解が必要です。まずは、筋緊張によって身体に起こる反応や関連する病気について、理解を深めていきましょう。
筋緊張とは…身体に起こる反応
筋緊張は、筋肉の緊張度合いのことで、筋が持続的に収縮して運動の準備や調整を行っている状態です。また、身体の姿勢保持や体温調整などにも深い関わりを持っています。
筋緊張に関係する身体の反応として、代表的なものは以下の2つです。
- 伸張反射:筋肉が引き伸ばされると、その筋肉が反射的に収縮して筋緊張が高くなる現象
- 姿勢反射:身体のバランスが崩れたときに、自動的に姿勢を戻そうとする反応
筋緊張は通常であれば脳や神経などによって制御されていますが、脳血管障害をはじめとする病気を発症すると、筋緊張の異常が現れることもあります。
筋緊張異常で起こること
筋緊張異常が起こると、身体にさまざまな症状が現れます。主な症状は以下の3つです。
- <痙縮>
筋緊張が異常に高まっている状態
症状:手指が握ったまま開きにくい、足先が足の裏側に曲がるなど
- <固縮>
筋緊張が常に高い状態
症状:カクカクした動きになる、転倒しやすくなるなど
- <弛緩>
筋緊張が低下している状態
症状:姿勢維持ができない、歩行困難になるなど
痙縮と固縮は筋緊張が高まる亢進、弛緩は逆に筋緊張が低下することで起こります。
筋緊張異常が関係する病気
筋緊張の亢進と低下は、さまざまな原因で起こるとされています。そのなかでも主な原因が、脳梗塞や脳出血をふくめた脳卒中、頭部外傷などです。その他にも、先天性疾患や老化なども原因になり得ると考えられています。
このような病変が起こることで筋緊張異常の症状が現れ、程度によっては日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
筋緊張を落とす方法!筋緊張をコントロールするリハビリテーション

筋緊張を落とす方法として有効なリハビリはいくつかありますが、まずはリラックスした身体状態作りが欠かせません。筋緊張が高まった状態が続くと症状の悪化にもつながるため、適切なリハビリを行うことが大切です。
筋緊張を調べる2つの検査
筋緊張を調べる際、主に以下の2つの検査が行われます。
- MAS:筋緊張の程度を6段階で評価
検査方法・・・仰向けに寝て関節を他動的に動かす
- 深部腱反射検査:伸張反射を利用して筋緊張の状態を6段階で評価
検査方法・・・筋肉の腱を小型ハンマーで軽く叩いて反応を見る
どちらもリラックスした状態で行い、評価結果をもとにリハビリ方針を決定します。
リラックスした身体状態作り
筋緊張が高まっている状態は、筋肉が緊張しすぎているということです。筋緊張を落とすためには、筋肉が緩みやすい状態にする必要があります。
振動刺激や呼吸法を取り入れ、リラックスした身体状態を作りましょう。自分で行う場合は、マッサージ機器の使用や深呼吸を行うのもおすすめです。
筋緊張を落とすためにストレッチやマッサージを行う場合もありますが、無理に動かすと逆効果になる可能性があります。まずは、リラックスした身体状態を作ることが大切です。
姿勢保持と運動の調整
筋緊張異常になると正しい姿勢の維持が困難になり、事故や転倒のリスクが高まります。また、身体を動かさない時間が続くと、症状がさらに悪化することも少なくありません。
正しい姿勢が維持できれば、筋緊張が緩和され、日常生活も送りやすくなります。筋緊張異常で身体が思うように動かない場合は、動作指導や装具療法を組み合わせて、運動の調整を行う必要もあるでしょう。
一人ひとりの状態によって必要なリハビリは異なるため、自分にあったリハビリができる施設を選ぶことがおすすめです。
筋緊張を効率よく落とす方法|自宅でできる効果的なリハビリ

筋緊張を効率よく落とす方法として、自宅でもできるリハビリを取り入れることが効果的です。ただし、無理に動かすと悪化する恐れもあるため、ゆっくりとできる範囲で行うようにしましょう。
薬物療法と装具療法も効果的
筋緊張を落とす方法として、薬物療法や装具療法を取り入れるのも一般的です。薬物療法では、ボツリヌス毒素療法やバクロフェン髄腔内投与などが挙げられます。また、姿勢保持や身体のバランスを保つためには、装具療法を取り入れるのもおすすめです。
筋緊張に関する治療法は現在も研究が続けられています。主治医や専門家と相談しながら、さまざまな治療法を活用することで、より効果的なリハビリを行えるでしょう。
上肢のストレッチ
自宅でできる手首・手指・肩周りのリハビリ方法を紹介します。
<手首、手指のストレッチ>
- 手を身体の横に置いて、指先を前または横に向ける
- 指を1本ずつゆっくりと伸ばす
<肩のストレッチ>
- 仰向けで両手を組む(麻痺がある場合は、麻痺側の手を包み込むようにする)
- 肘を伸ばして両手をゆっくりと頭の上まで上げる(勢いをつけない)
痛みや違和感がある場合は無理に行わず、できる範囲で取り組むようにしましょう。
下肢のストレッチ
自宅でできる下肢のリハビリ方法を紹介します。
<ふくらはぎのストレッチ>
- 立った状態で高めの台に手をつく
- 麻痺側の足を後ろへ引く
- 後ろへ引いた足の踵に体重を乗せて、ゆっくりとふくらはぎの筋肉を伸ばす
自宅に家族やサポートしてくれる方がいる場合は、一緒に取り組むのもおすすめです。
<足指のストレッチ>(介護者のサポート有)
- 介護者が片手で足首を支えて、もう一方の手でつま先を押す
- ゆっくりと足の指を伸ばす
ストレッチをサポートする際は、患者さんに痛みや違和感はないか、確認しながら行うようにしましょう。
まとめ|筋緊張を落とす方法とリハビリについて…やり過ぎに注意しよう

筋緊張というのは、筋肉がずっとかたくなってしまった状態のことです。とくに病気やけがのあとでは、力を抜こうとしても体がかたくなってしまい、思うように動かせなくなることがあります。
この筋緊張をゆるめる(落とす)方法は色々ありますが、まずは体と心をリラックスさせることがとても大切です。あせって無理にストレッチをしたり、強くマッサージをしたりすると、かえって筋肉がびっくりして、もっとかたくなってしまうこともあります。
筋緊張は、薬や治療ですぐに完全によくなるわけではありません。でも、リハビリや治療をコツコツ続けることで、少しずつ良くなっていくことが期待できます。
筋肉のかたさを効率よく落とすためには、病院での治療だけでなく、自分に合ったリハビリを見つけることもとても重要です。人によって体の状態や症状はちがうので、「これをすれば全員に効く!」という方法はありません。
そのためにも、主治医(いつも診てくれる先生)やリハビリ療法士とよく相談して、自分の状態に合ったリハビリを正しい方法とペースで続けることが大切です。
無理をせず、少しずつ自分のペースで取り組むことで、筋肉のかたさがゆるみ、体を動かしやすくなる日がきっとやってきます。