腰痛や歩行障害に悩む人必見!トーマステストの目的や方法・効果的なストレッチ
2023.06.09
仰向けで寝ていると腰が痛くなったり、歩いてると最近つまづきやすくなったりすることはありませんか。もしかすると筋肉の低下や、筋肉の障害が原因かもしれません。原因をつきとめるため多くの整形外科やリハビリテーションでは、トーマステストという検査をおこないます。
そこで今回は、トーマステストがどんな検査方法なのか、検査が陽性の場合に考えられる疾患についてご紹介したいと思います。また、症状の緩和や回復にむけた効果的なストレッチ・専門スタッフによるリハビリ方法も、ぜひご参考ください。
目次
筋肉の評価ができるトーマステストとは?陽性の疾患も
トーマステストとはどのような検査なのでしょうか。ここでは、具体的な方法とどんなことが分かるのかみてみましょう。
一般的なトーマステストの方法
一般的なトーマステスト(TT)の方法は次の通りです。
①ベッドの上で仰向けになる
②片方の膝を抱えて胸に近づけていく
③もう片方の伸ばした膝が曲がってくると陽性
この場合、腸腰筋の拘縮が原因です。腸腰筋は、大腰筋と小腰筋、腸骨筋からなっており、股関節を曲げるなどの屈曲動作に関わる筋肉です。この筋肉が固まると股関節が伸びにくくなってしまいます。
トーマステスト変法もある
このほかにも、施術ベッドの端とお尻の位置をあわせて、両膝を抱えた状態から検査したい方の下肢をおろしていくトーマステスト変法もあります。この場合は、おろした膝の角度や、つま先・膝の向きによって筋肉のどこに障害があるのかがわかります。
【膝が股関節より高い】
重力によって床方面に膝がおろせないのは、股関節が伸びないことが原因なので、腸骨筋の障害と判断されます。
【膝の角度が90度をこえる】
本来なら90度になるはずのおろした膝が曲がりきらないということは、膝の曲げ伸ばしに関わる大腿四頭筋の拘縮が原因です。
【つま先が膝より外を向く】
大腿部の外側にある大腿筋膜張筋が拘縮していることによって、膝から下の外旋、大腿部の内旋(ニーイントゥーアウト)がみられます。
【膝が股関節より外を向く】
大腿部が外旋および外転するのは、腸骨から膝の内側にかけて長くつく縫工筋の拘縮が原因です。
トーマステストが陽性に…効果的なストレッチ・筋トレとは?
トーマステストで陽性になるということは、つまり筋肉の拘縮を意味しています。ここでは、股関節や膝が動かしづらくなってしまう原因や、効果的なストレッチ・筋トレの方法をみてみましょう。
股関節や膝が硬くなってしまう原因
股関節や膝が動かしづらくなる原因はさまざまです。デスクワークなどで長時間座ったままの姿勢や、身体に負担のかかる運動をよくするなど習慣的なもの、あるいは加齢が影響していることもあります。また、思わぬ病気が隠れている可能性も否定できません。
以前よりもちょっとした段差につまづいてしまう、バランスを崩しやすい、腰痛になりやすいなど、日常生活に少しでも変化を感じることがあれば、いちど検査をしましょう。
腸腰筋を鍛えるメリット
トーマステストでは、腸腰筋・大腿四頭筋・大腿筋膜張筋・縫工筋の拘縮をチェックすることができます。なかでも腸腰筋はインナーマッスルで、体幹と下肢をつなぐ重要な筋肉です。腸腰筋を鍛えることで、次のようなメリットが得られるでしょう。
・美しい姿勢を保てる
・基礎代謝があがる
・便秘の解消
・肩こりや腰痛の予防
・スムーズな歩行
効果的なストレッチや筋トレ
腸腰筋を鍛えるには、ストレッチや筋トレがおすすめです。長時間同じ姿勢をとったと感じたときなど、簡単に取り組むことができます。
【仰向けストレッチ】
①仰向けになる
②左足を伸ばした状態で右膝を両手で抱える
③右膝を胸に引き寄せ20秒キープ
④ゆっくり戻して左右5回ずつおこなう
【片膝立ちストレッチ】
①膝立ちの状態から左膝を90度に出す
②両手を左ももにのせて右の股関節を伸ばし10秒キープ
③左右2~3回ずつおこなう
【バイシクルクランチ】
①仰向けになり膝を90度にもちあげる
②頭の後ろに手をそえて肩と頭は床から浮かす
③左膝を胸に引き寄せ、上半身を捻って右肘と左膝を引き寄せる
④反対側も同様に左右10回を3セットおこなう
【レッグレイズ】
①仰向けになり両足を床から浮かせる
②両手は床につけてバランスをとる
③ゆっくり足をあげて3秒キープ
④左右10回ずつを3セットおこなう
トーマステストが陽性ならリハビリスタッフによる指導も
トーマステストで陽性と判断されたら、やはり専門のスタッフによる指導が必要です。ここでは、リハビリテーションでできることや、施設の選び方をみてみましょう。
リハビリテーションでできることとは?
リハビリの目的は、日常生活をスムーズにおこなうための基本的な動作を回復することです。ひどい腰痛で歩行が困難である、歩行時にバランスを崩しやすいなどの症状があれば、リハビリスタッフの指導のもと、リハビリをおこないます。
一般的には、ケガや加齢が原因で筋力が低下した際には、理学療法士が運動機能を回復させる訓練やトレーニングをします。
リハビリテーションの選び方
リハビリテーションの病院を選ぶときには、次のようなポイントを重視しましょう。
・施設基準
回復期リハビリテーションでは、リハビリスタッフや看護士の人数や重症患者の割合、1日に受けられるリハビリの数は、入院1〜5までに分類されます。
・立地
一般的には、リハビリテーションに入院あるいは通院することになります。自分や家族の通いやすさはどうか考慮しましょう。
・得意とする診療
トーマステストで陽性ならば、筋力低下や腰痛、股関節疾患などを専門にしているリハビリテーションが適しています。
通院が難しいなら自費訪問リハビリも
また、通院が難しい場合には、自宅でリハビリスタッフが指導をおこなう自費訪問リハビリを選択することも可能です。他人の目が気になる人や、自宅でリラックスしてリハビリをおこないたい人に向いています。また、保険適用外なので、リハビリ内容に制限がなく、自分の目的にあったプログラムをこなせるメリットもあります。
まとめ
トーマステストでは、腸腰筋と大腿四頭筋、大腿筋膜張筋、縫工筋の障害を検査することができます。最近歩行中につまずきやすかったり、すぐ腰痛になったりする場合はいちど検査するとよいかもしれません。陽性になる原因としては、長時間同じ姿勢をとることや、過度な運動習慣、加齢によるものが考えられます。
普段から股関節や膝のストレッチをこまめにおこなうことも大切ですが、トーマステストで陽性と判断されたら、専門の病院でリハビリをおこなうことも検討してください。ご自身の症状にあったプログラムを組んでもらうことができます。