
高齢者が食べても痩せる原因は?痩せるリスクや体重減少を防ぐ方法も
2025.02.12

高齢者の方で食べても痩せてしまうと悩みを抱えている方もいるのではないのでしょうか。
高齢者は筋肉量が減ってしまうことや消化機能が低下することが原因で痩せてしまいます。それだけでなく、病気や薬の影響も痩せる原因です。高齢者の体重減少を防ぐには、これらの原因や影響を把握する必要があります。
高齢者が1日に必要な食事量と運動方法も説明しますので確認し、自身にあった方法を日常生活に取り入れて、痩せないように予防しましょう。
目次
高齢者が食べても痩せる原因|加齢やストレス・病気の可能性も

高齢者のなかにはしっかり食べても痩せてしまう方もいます。なぜそうなるのか原因や影響を把握しましょう。
筋肉量や消化機能の低下
高齢者が食べても痩せる原因は、2つあります。
- 1つ目の原因は、加齢が進行することで新陳代謝の低下に伴う運動不足による食事量の低下です。運動不足になることで、筋肉量が減ります。筋肉量が減ると空腹感も減少してしまうため、より一層食欲が沸かなくなってしまうのです。これらにより体に必要な食事量を摂取できなくなります。
- 2つ目の原因は、消化機能の低下による胃もたれや胃痛の症状が現れやすくなることです。加齢に伴って胃や腸の消化吸収機能が低下します。これにより、食べ物が消化されにくくなり、胃もたれや胃痛を発症しやすいです。
これらの2つが原因で、高齢者の食事量が低下し、食べても痩せてしまいます。
病気や薬の影響
しっかりと食事をとっているのに、高齢者の体重が増えにくかったり、痩せてしまう方は病気にかかっている可能性も考えられます。
痩せる原因となる病気はこちらです。
- 胃癌や膵癌
- 胃・十二指腸潰瘍
- 慢性膵炎
- 肝硬変
体重の低下だけでなく発熱・下痢・嘔吐・頭痛・嚥下障害などの身体的症状がでた場合は、速やかにかかりつけの医師に相談してみましょう。
上記の疾患以外では、アルツハイマー型認知症が考えられます。食事をとったか忘れて食事回数が減ることが痩せる原因です。それ以外にも内服している薬に食欲低下の副作用がある場合も考えられるため、薬の副作用をしっかり把握することも重要になるでしょう。
ストレスなど心理的要因も
身体的な問題だけでなく、ストレスなどの心理的要因も高齢者が痩せてしまう原因です。
ストレスを抱えることで食欲の低下につながり、痩せてしまうケースもあります。
高齢化社会のなか、独り身の高齢者が一人暮らしをする世帯が増えました。加齢に伴い、これまで関わってきた社会との接触が極端に減ってしまったという方も多いのではないのでしょうか。人と社会との関わりがなく孤独感からのストレスを感じる方もいます。
身体的に労働が難しく、年金での生活で経済的困窮による精神的負荷がかかってしまうことも原因です。また、これまでできていた事ができなくなるなどの喪失体験によるストレスも痩せてしまう要因になるでしょう。
高齢者の体重減少は危険?食べても痩せる状態が続くとどうなる?

高齢者が食べても痩せる原因はどこにあるのか…。高齢者の体重が減少することで体にどのような影響を与えるのか確認しましょう。
体力や免疫力の低下
高齢者は食事量に伴い体重が減少します。また、さまざまなリスクを引き起こす可能性も高いです。
- 1つ目のリスクは、痩せて筋力が低下すると、体力の低下とともに疲労感を感じやすくなります。疲労感は活動量の低下につながり、身体機能低下を引き起こすため寝たきりのリスクが高まるため注意が必要です。
- 2つ目のリスクは、免疫力の低下があることです。体重が減少することで免疫機能が低下し、ウイルスや細菌などに対抗する力が弱まり、感染症や病気にかかりやすくなります。感染症は免疫力や抵抗力が低いと、重症化するリスクが高いです。
体力や免疫力の低下により、生命維持の困難や危険性が高まるため、要注意して生活を送りましょう。
低栄養によるフレイルの発症
低栄養によってフレイルという症状が発症します。
フレイルとは、加齢の進行によってさまざまな身体機能が低下し、それに伴って介護が必要な生活を送るなどの健康状態の悪化に陥りやすい状態になることです。
簡潔にいうと健康な状態と病気発症の2つの間の身体状態のことをいいます。
病気かかかっていないが身体がフレイルの状態であると、病気を発症しやすく健康な状態を喪失する可能性が高いです。その影響で社会とのつながりが減り、生活や精神・栄養状態・口腔機能・身体機能と次々に影響を及ぼします。
フレイルを防ぐためには、バランスの取れた食事を摂取し予防することが大事です。
高齢者の食べても痩せる原因を解決するためにできること!

食べても痩せるという問題を防ぐために、運動の取り入れ方や食事に必要なポイントをおさえましょう。
エネルギーとタンパク質が重要
高齢者の体重を増やすのに必要なのは、エネルギーとタンパク質が重要です。
【推定エネルギー必要量(kcal/日)】
男性 | 女性 | |||||
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
65〜74歳 | 2,050 | 2,400 | 2,750 | 1,550 | 1,850 | 2,100 |
75歳以上 | 1,800 | 2,100 | – | 1,400 | 1,650 | – |
【タンパク質推進量(g/日)】
男性 | 女性 | |
65~74歳 | 60 | 50 |
75歳以上 | 60 | 50 |
高齢者が1日に必要なエネルギー量とタンパク質が定められています。
エネルギーは体力を保持する働き、タンパク質は筋肉量を維持する働きがあり、それぞれ健康な体を保つのに必要なものです。
体力や筋肉量の低下は食欲低下につながり、必要なエネルギーとタンパク質を確保できず身体に悪い影響を及ぼすため注意しましょう。
適度な運動
高齢者の体重を維持するには食事だけでなく、適度な運動を心がけることも重要です。
日常生活のなかに適度な運動を取り入れることで、筋肉量が維持され体力も保持することができます。また、運動をすることによって空腹感や食欲が増加するため、少しの運動でもやろうという気持ちも大切です。
いきなりプロの方が行うようなハードな運動は、逆に長く続かなかったり、体に負担をかけてしまいます。それだけでなく、筋肉が疲労をきたすことで痩せやすくなるため注意が必要です。
例えば、体操やウォーキング、軽いジョギングなどの自身の体に合った運動方法を取り入れることをおすすめします。
間食や楽しい食事を取り入れよう
高齢者の体重を維持するには、運動を取り入れて筋肉量を増やすのも大切ですが、楽しい食事や間食で栄養を補給することも重要です。
- タンパク質:肉類、魚介類、乳製品、大豆類
- 炭水化物:ご飯、パン、麺類
- ビタミン:野菜、果物、レバー、海藻
- ミネラル:牛乳、乳製品、レバー、魚介類、海藻
これらの4つの栄養素を意識したバランスの取れた食事や家族と一緒に楽しく食事をするといいでしょう。
また、少量でもカロリーの高い食べ物を間食として取り入れるのも1つの手段です。例えば、卵・チーズ・サバ缶・ツナ缶・プリンなどがあります。
糖尿病の方は摂取するものによって血糖値が上昇する危険性があるため、医師に相談して食事方法を考えましょう。
まとめ|高齢者が食べても痩せる原因とリスク

高齢者は加齢による身体の変化で痩せやすくなるといわれています。例えば、筋肉がおとろえて体力が低下しやすくなったり、食欲が落ちて十分な栄養を取りにくくなったりするからです。さらに、痩せることでさまざまな身体的症状や「緑旗」の発症につながる可能性があります。「緑旗」とは特定の症状や異変をあらわす言葉として使われており、早めに気づかないと体調が悪化するおそれがあります。
これらを防ぐためには、まず適度な運動を取り入れることが大切です。ウォーキングや軽い筋トレ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を毎日の生活に組み込みましょう。また、食事から十分なエネルギーをとるためには、肉や魚、豆製品、卵などのタンパク質を含んだ食事を意識して食べることがポイントです。タンパク質は筋肉をつくる材料になるので、食欲が落ちやすい高齢者にとってはとくに大切です。
こうした運動や食事の習慣を長続きさせるコツとしては、自分が楽しめる方法を見つけることが大切です。たとえば、好きな音楽を聴きながらウォーキングをしたり、友だちや家族と一緒に料理をしてみたりすると、続けやすくなります。
痩せないようにするためにも、今回紹介した方法やポイントをおさえて、あなたのライフスタイルに合った形で実践してみてください。もし「本当にこの運動でいいのかな」「どんな食事がいいかわからない」などの不安がある場合は、かかりつけの医師に相談しながら、自分に合った運動方法や食事の内容を考えてみましょう。医師や栄養士などの専門家と一緒に進めることで、より安全で効果的に健康を維持できます。