リハビリは150日超えたら終了する!?150日ルールの説明と解決策について
2025.01.20
2006年から、運動器疾患のリハビリは、150日を超えたら終了するという流れになりました。
現在リハビリを受けている人は、「期限までに状態がよくなるのか?」「完治しなくてもリハビリは強制的に終了となるのか?」このような不安を抱えている人もいるでしょう。
原則として、運動器疾患のリハビリは150日で終了となりますが、中には終了にならないケースもあります。
仮に症状が残ったままリハビリが終了となっても、リハビリを継続する方法があるので、解決策も踏まえてリハビリのルールについて解説していきます。
目次
なぜリハビリは150日超えたら終了する?標準的算定日数の解説
怪我や病気などのリハビリは医療保険が適応となりますが、リハビリできる日数に限りが設けられています。医療保険でリハビリを受けられる期限が過ぎた場合は、リハビリは終了してしまうのでしょうか。リハビリ期限が切れてもリハビリができるケースを解説します。
150日ルールとは?運動器疾患の上限
150日ルールとは、骨折や怪我などが対象になる運動器疾患のリハビリ日数のことです。リハビリが続けられる日数は原因となる疾患名で異なるので注意しましょう。
<疾患別のリハビリ日数>
- 心大血管疾患(150日)
- 脳血管疾患(180日)
- 運動器疾患(150日)
- 呼吸器疾患(90日)
ひと口にリハビリと言っても、疾患毎にリハビリの上限日数が違います。脳卒中など、脳の病気は180日間リハビリができますので覚えておきましょう。
150日超えてもリハビリはできるのか?
原則として、運動器疾患のリハビリは150日超えれば終了となりますが、以下のように例外となるケースもあります。
<標準的算定日数上限の除外対象患者の例>
・高次脳機能障害の患者(失語症、失認症など)
・重度の頚髄損傷患者
・頭部外傷及び多部位外傷の患者
・慢性閉塞性肺疾患の患者
・心筋梗塞の患者
・狭心症の患者
・その他、医師が必要と判断したケース
大事なことは「医師がリハビリを必要と判断する事」です。リハビリは医師の指示の元で行われる行為ですので、医師が継続の必要があると判断すれば、続けてリハビリを受けられます。
労災のリハビリの期限は?医療保険と異なる⁉
医療保険のリハビリは日数に期限がありますが、労災保険制度が適応となっている人には当てはまりません。医師が必要と判断すれば、期間を気にせずにリハビリができるのです。リハビリの継続希望があれば、主治医に相談して、必要性を判断してもらいましょう。
リハビリが終了する前に意識すべきこと!150日前に治す努力も必要
誰もがリハビリの期限切れが近くなれば心配になると思いますが、150日超える前に状態を改善させる意識も必要です。
リハビリの専門家に任せきりで、自分で努力しなければ、リハビリの効果も薄くなりますし、状態が改善しないまま期限切れになることも考えられます。
リハビリ通院中に自分でも意識するべき点について解説します。
期限内になるべくリハビリに通う
リハビリが始まったら病院が決める範囲内で、できるだけ積極的に通いましょう。週に2〜3回の頻度でリハビリを行うと、効果が高いといわれています。
また、リハビリは病気や怪我が発症してからすぐに行うと回復効果が高いです。150日を超えてもリハビリを継続できる方もいらっしゃいますが、処方されてすぐに高頻度で通うのが、症状回復の鍵となります。
自主トレでリハビリの効果を最大限に
リハビリの効果を最大限に発揮するためには、自主トレが重要です。週2〜3回のリハビリに加えて自主トレも行えば、筋力や柔軟性が改善し、痛みも軽くなります。
リハビリの現場では、自宅で行える運動も積極的に指導しています。まだ教えてもらってないという人は、担当のセラピストに自主トレ方法を聞いてみましょう。
生活習慣も見直して再発予防
リハビリが150日超える前に、生活習慣を見直す努力が必要です。身体の状態を改善するためには基盤となる生活習慣を整えましょう。
生活習慣を見直すことで、リハビリの効果も高くなります。
<正しい生活習慣>
- 1日3食しっかり食べる
- 栄養バランスの良い献立を意識する
- 最低7~8時間の睡眠をとる
- 適度な運動を心がける
- 湯船にゆっくり浸かる
- ストレスを貯めないようにする
生活習慣を正すことで、身体や心の不調を改善することができます。リハビリが始まったら、自身の生活習慣も見直すようにしてください。
リハビリ150日超えた人の解決策!介護保険と自費リハビリの選択
リハビリを続けたいけど、150日超えて期限が切れて終了になってしまったという人に、リハビリを継続する方法をお伝えします。医療保険のリハビリの期限がきても、継続してもらえる可能性があるのです。また、医療保険を利用したリハビリ以外の2つの方法を知っていると、選択肢が広がります。
医療保険の期限がきたら主治医に相談する
医療保険でリハビリができる期限がきてしまったり、リハビリ担当スタッフからそろそろ終了する旨を告げられたりしたら、まずは主治医に相談しましょう。
重度の高次脳機能障害や合併症があるなどの除外例にあたる場合は、医療保険を適用したリハビリが継続できるかもしれません。また、医療保険で定められている期限内では症状が改善しないと感じている医師もいるため、症状や回復状況によっては、継続の判断をしてもらえる可能性があります。
現在の状況や日常生活で困っていることや、リハビリの継続希望を主治医に伝えてみましょう。
医療保険のリハビリから介護保険のリハビリへ
主治医に相談しても、医療保険を適用したリハビリを継続できない場合は、介護保険のリハビリを検討します。
介護保険が適用される介護サービスを利用するには介護認定を受ける必要があり、利用できる人が限られるので注意しましょう。
<介護保険を利用できる人>
- 65歳以上で介護サービスが必要になった人
- 40歳以上65歳未満で特定疾病に罹患した人
特定疾病とは、要介護や要支援となる割合が高い病気の事を言います。65歳以上で介護サービスが必要と判断される人や、特定疾病に含まれる人は、医療保険のリハビリ期限が切れても、介護保険のリハビリが適応となるケースがあります。
自費リハビリの選択
現在、自費リハビリ、つまり保険適用外でリハビリを受ける方法もあります。
- 医療保険でのリハビリが終了してしまった
- 介護保険を利用したリハビリが適応とならない
- 現在のリハビリでは回数が足りない
このような方は、自費のリハビリサービスも検討してみましょう。自分の力だけでリハビリを続けるのは、運動が正しいのか不安になりますし、その答えをくれる人もいません。
自費リハビリを利用すれば、身体の調整だけでなく、専門家の目線で運動や生活のアドバイスを受けることもできます。医療保険のリハビリが終了して困っている人は、自費リハビリも選択肢に入れましょう。
参考:厚生労働省「リハビリテーションの標準的算定日数に関する関係団体への聞き取り調査(報告書)」
まとめ|リハビリは150日超えても選択肢がある
骨折や大きなケガをしたとき、病院やクリニックで行うリハビリテーションには、150日間という日数制限があります。つまり、ケガをしてから150日を過ぎると、原則として医療保険のリハビリは終了となります。これは、健康保険を使って受けられるリハビリ期間に決まりがあるためです。
しかし、もし150日を過ぎても痛みやしびれ、関節がうまく動かないなどの後遺症に困っている場合は、あきらめずに主治医に相談してみましょう。回復の状況や合併症(ケガの他に起こる病気や症状)がある場合などによっては、健康保険を使った医療保険での継続が認められる可能性があります。これは、あなたの身体の状態が十分に回復しておらず、さらに治療が必要と判断されるときに考えられる選択肢です。
もし医療保険の期限が来てしまっても、リハビリを続ける方法はほかにもあります。たとえば、介護保険や自費リハビリサービスなどを利用することができます。介護保険は、高齢者や障がいを持つ方を対象としたサービスが多いですが、条件を満たせば利用できる場合もあります。自費リハビリサービスは、保険を使わないため費用はかかりますが、自分に合ったプログラムを選びやすいというメリットがあります。
リハビリは、自分が普段の生活でどんな動作がつらいのか、どのようなサポートが必要なのかを知り、その困りごとを少しでも楽にするために行うものです。学校生活や部活動、通学など、あなたの生活スタイルに合わせてリハビリの方法を考えることがとても大切です。たとえば、階段を上るときにひざが痛い、体育の時間に走るのが難しいなど、具体的な困りごとをリハビリ担当の先生や医師に伝えると、より効果的なリハビリ計画を立ててもらいやすくなります。
自分の体の状態や生活スタイルに合ったリハビリ方法を選んで、日常生活の困り感をできるだけ早く改善していきましょう。困ったときやわからないことがあるときは、遠慮せずに医師やリハビリの専門家に相談するのがポイントです。