脳卒中後のリハビリに必須!装具を使う理由と効果を知ろう
2024.09.23
脳卒中による運動障害や筋力低下がある場合、装具を用いることがあります。特に下肢装具を用いることが多く、リハビリ現場でも目にする機会が多いのではないでしょうか。
脳卒中後に装具をつける理由は後遺症で麻痺が残るなど、歩行や日常生活に支障がでた場合にそれらの困難を軽減する役割があります。しかし、いざ装具をつけるとなるとずっと使うことができるのか、はずせる時はくるのかなどさまざまな疑問もわいてくるでしょう。
今回は装具をつけるメリットや理由、装具をつける際の注意点などを解説していきます。
目次
脳卒中後に装具をつけるのはなぜ?装具をつける理由とメリット
脳卒中後に麻痺などの運動障害が残った場合に、装具をつけることがあります。装具をつける理由や装具をつけるメリットを知り、装具への理解を深めていきましょう。
なぜ必要?装具の役割
装具とは病気や怪我により身体機能の低下した場合に失われた機能を補ったり、回復の補助、変形の防止、運動のサポート、幹部の保護などさまざまな目的で装着します。
脳卒中の場合は麻痺した足につける短下肢装具や、麻痺した上肢を補助するアームストリングなどが用いられます。脳卒中の全ての患者さんに同じものが用いられるというわけでななく、発症後の身体の状態や経過に合わせて装着する装具も変わるので、自分に合った装具を作成してもらうのが一般的です。
装具をつける理由は?
装具をつける目的は大きく分けると2つです。1つは「治療用装具」として、麻痺で機能低下した部分を装具で補い治療そのものとして一時的に使われます。
もう1つは「更生用装具」として、治療を負え、後遺症として障害が残った場合に日常生活の向上を目的として使用します。中でも、脳卒中後に退院して自宅で使用する場合は「短下肢装具」を使われる方が多いです。
短下肢装具は足首の動きを制限し、固定・動揺・拘縮などを目的に使用するための装具でさまざまな種類のものがあります。
装具を付けるメリット
身体にあった装具をつけることで必要な動作を安全に行うための補助の役割を果たしてくれます。下肢装具の場合だと、転倒予防、姿勢保持、安定した歩行が可能になります。
具体的な下肢装具のメリットは以下のものが挙げられます。
- つま先が床にひっかかることを防ぐ
- 反張膝・内反・拘縮の予防
- 長時間の歩行が可能
身体の状態や、使用場面に合わせた装具の使用は多くのメリットをもたらします。
装具をつける時の注意点!定期的なメンテナンスが必要な理由とは
装具をつけることで生活の質の向上や治療を円滑にすすめることができますが、使用方法を間違えると適切な効果を得ることが難しくなります。装具をつける時の注意点やメンテナンスが重要な理由も知っておきましょう。
身体にあっているかチェック
下肢装具を使用する場合は以下の点を確認してみましょう。
- 立位、歩行時に装具がきちんと床についているか
- 装具の中に足の裏がきちんとつき、踵がおさまっているか
- 使用中に痛みがなく、装具を脱いだ時に赤みや傷はないか
- プラスチックや金属支柱が変形したり割れたりしていないか
- マジックベルトが切れたり、ほつれたりしていないか
正しい装着ができていないと、足を傷つけてしまったり、歩きにくくなり転倒するリスクも高まります。安全に使用するためにも毎日点検を行いましょう。
耐用年数は1年~3年
装具は種類ごとに耐用年数が定められている消耗品です。例えばプラスチック製の短下肢済装具だと1.5年、支柱付きの短下肢装具で3年ほどです。
耐用年数とは、同じ種類の装具を購入する際に補助を受けられない期間を意味するので、耐用年数期間中に装具が破損した場合は原則「修理対応」となります。
また、耐用年数を過ぎたからといってすぐに壊れるわけではありませんが、耐用年数を超えて使用している場合は特に不具合がなくても一度義肢装具制作会社に点検を依頼しましょう。
定期的なメンテナンスの必要性
装具は消耗品なので、経年変化によりヒビが入る・ネジが緩む・ベルトがつけにくい・スベル止めがはがれるなど、よく見るとさまざまなメンテナンスが必要になります。
装具の状態を良好に保つことで、装具をつけている体の状態も良好に保つことができるので、日常生活を快適に過ごすためにも定期的なメンテナンスはとても大切です。
また、義肢や装具も日々技術革新が進んでいます。改めて装具の見直しを専門の技師の方に相談する中でより効果的で革新的な装具に出会うかもしれません。定期的にご自身の装具について考えてみましょう。
装具をつけるデメリットはある?装具を外したいならリハビリを
装具をつけるメリットや理由について解説してきましたが、デメリットはあるのでしょうか。また、装具をつけずに生活ができるようになるのは可能なのかも気になりますよね。装具のデメリットや装具を外すためにできることについて解説します。
装具をつけるデメリット
装具をつけるデメリットとして以下のものが挙げられます。
- 重さや目立つ見た目
- 可動域制限
- 長期装着による固定部の筋肉の活性低下
- 装具への依存
- 不適切な装具の使用による代償
見た目や装着の煩わしさもありますが、装具を長時間装着することによって可動域制限や固定部の筋肉の活性低下が出現します。
また状態にあっていない装具を使用することで痛みがでたり他の症状を誘発するリスクも上がってしまう可能性があります。
家の中や外出時で使い分ける、座っている時は装具を外すなど状況によって装具を使い分けるなど工夫するといいでしょう。
装具を外したいならリハビリを
装具をつける大きな理由は「生活に必要な機能を補うため」です。そのため、装具を外したい場合は生活に必要な機能を獲得することが重要です。
脳卒中などで失われた機能回復にはリハビリが欠かせません。装具をはずすことを希望する場合は、かかりつけ医や理学療法士に相談し適切なリハビリを受けることをおすすめします。
また、自己判断で装具を外したり、自己流でリハビリを行うことは悪い動きを覚えてしまったり、転倒や更なるケガにつながる可能性があり大変危険です。必ず専門家の指導のもと正しいリハビリを行ってください。
まとめ|装具をつける理由とは
脳卒中の後に装具(そうぐ)をつけると、良いことがあります。装具をつける理由は、失った体の機能を助けたり、治療や生活をよくするためです。
脳卒中の後によく使われる足の装具は、膝(ひざ)が逆に曲がるのを防いだり、関節が固くなるのを防いだり、転ばないようにしたり、姿勢(しせい)をよくするのを手伝ってくれます。これによって、長く歩けるようになります。装具は自分の体に合ったものを使うことが大切です。だから、毎日手入れをしたり、体の変化や状況に合わせて装具を選びましょう。
もし装具を外したいと思ったら、装具が必要なくなるように体の機能を回復させる必要があります。そのためには、専門家のもとでリハビリをしましょう。