歩行リハビリ|歩けるようになるまでに行うリハビリと歩行困難になる原因
2024.07.20
ケガや病気が原因で歩行困難になってしまうと日常生活に不便さを感じ、歩けないことで大きなストレスを感じる方も少なくないでしょう。
リハビリは歩けるようになるまでの治療の一環として欠かせません。リハビリ開始から歩けるようになるまでの期間は患者さんの病気やケガの具合にもよりますが、1歩ずつリハビリを頑張ることで歩けるようになった方もたくさんいらっしゃいます。
「リハビリを頑張って歩けるようになりたい」と思っている方に歩けるようになるまでにどんなリハビリを行う必要があるのかご紹介します。
目次
リハビリで歩けるようになるまでを目標にしたい人が知るべきこと

リハビリを行ってから歩けるようになるまでの道のりや期間がどのくらいかかるかは、患者さんの体の状態や歩行困難になった原因によっても異なります。
まずは歩けなくなる原因やメカニズムについてお伝えします。
歩けなくなる原因
歩行障害とはケガや病気が原因で歩行に必要な身体の部位が障害され、歩行困難もしくは全く歩けない状態のことです。
歩くという行為はただ単に足の筋肉を使うだけでなく、脳の命令を神経が伝える働きが必要です。そのため、脳や血管、脊髄などさまざまな原因で歩行障害が起こります。脳梗塞や脳出血などもその1つです。
歩行障害には足全体が正常に動かせない場合と膝や足首など特定の部位の動作ができない場合があり、それぞれの症状にあったリハビリを行う必要があります。
ケガと病気でリハビリは異なる?
骨折などのケガが原因の場合も、脳血管障害などの病気が原因の場合もなるべく早くリハビリを開始するのが望ましいとされています。
ケガや病気の治療後、安静にする期間が長くなるとその分筋力も低下します。筋力が低下すると、以前のように歩けるようになるまでに時間がかかってしまうので、なるべく早くリハビリを始めることが大切なのです。
しかし、ケガや病気の程度や部位によってリハビリ開始時期は異なります。自己判断で始めてしまわず、必ず主治医の指示に従って行いましょう。
歩けるようになるまでの期間
歩けるようになるまでのリハビリの期間は患者さんの状態や目標によって大きく異なります。原因となるケガや病気の種類、重症度、手術の有無などで必要なリハビリの期間が変わるのです。
例えば、大腿骨の骨折の場合は手術後翌日からベット上で座る練習をはじめて、早い段階でストレッチ、筋力強化運動などを行います。数日以内に平行棒を使った立位や歩行の練習を始めます。退院までは通常1~2ヵ月程度で退院となりますが、自宅に戻ってからもリハビリの継続が必要です。
対して、脳卒中の場合は麻痺の程度や認知機能の回復具合によってリハビリ期間が大きく左右されます。発症後早期から集中的なリハビリを行い、2~3ヵ月で歩けるようになる方もいれば、半年以上かかる方もいらっしゃいます。
【リハビリ】歩けるようになるまでのリハビリの進め方とは

歩行困難な状態から歩けるようになるまでにはリハビリが必要です。リハビリは患者さんの身体の状態を見ながら少しづつ進めていかなくてはなりません。ここでは歩行リハビリの進め方をご紹介します。
STEP1可動域維持のストレッチ
体を少しずつ動かせるようになった段階で、筋力低下を最小限にし、歩行に必要な筋肉を取り戻すようストレッチやマッサージを行います。
足首や膝関節、股関節周りの筋肉は特に固まりやすく、放っておくと歩行のリハビリを始める時に十分に筋肉を動かすことができなくなるので、早い段階でリハビリを開始する必要があるのです。
主に理学療法士による他動訓練で関節の可動域の維持、拡大するために「股関節を回す」「膝の曲げ伸ばし」「足首の曲げ伸ばし」などを行います。
STEP2平行棒を利用する
回復期の歩行訓練の初期段階では平行棒や手すりを使用したリハビリを行います。
一般的に骨折の場合、術後すぐに骨折した足に体重を乗せることは禁忌であり、経過とともに荷重していく必要があります。そのため、平行棒を用いて体重の負荷をコントロールしながらリハビリを行うのです。
一方、脳卒中で片麻痺による歩行障害が生じた場合は早期に歩行訓練を始めることが重要です。そこで補助的な役割として平行棒や手すりを利用して訓練を行います。平行棒を使うことで歩行や姿勢の改善の他に筋力トレーニング、バランス改善にも効果的です。
STEP3補助具や装具を用いる
補助具や装具を用いることでより歩行の自由度を上げるリハビリが可能になります。主に歩行リハビリで使用される器具に以下のものがあります。
- 歩行補助杖(T字杖・4点杖・ロフストランドなど)
- 歩行器・歩行者
- 下肢装具
補助具や装具を使用することで介助なしで歩行が可能になったり、転倒のリスクを減らすことができます。補助具や装具は一時的なリハビリで使うだけでなく、将来的にも常に使用する可能性もあります。そのため、リハビリの中で自分で装具を装着する訓練も同時に行われることが多いです。
リハビリは歩けるようになるまでで終わり?リハビリのゴールは?

リハビリを頑張って歩けるようになったら、もうリハビリは終了するのでしょうか?リハビリにゴールはあるのでしょうか。
リハビリのゴールは患者さん一人ひとりの目標によっても異なりますし、症状が改善したらすぐリハビリ終了というわけでもありません。最後に歩行リハビリの考え方についてお伝えします。
リハビリのゴールとは
結論からいうと、歩行リハビリに明確なゴールがありません。一度歩けるようになっても、筋力や体力の維持・向上のために、継続的な運動が必要です。特に高齢の方は、リハビリを終了すると歩行能力がすぐに低下してしまう危険もあります。
リハビリを頑張って歩けるようになった能力を維持するためにリハビリを継続する必要があるのです。歩けるようになったからといってリハビリをやめるのでなく、自主トレなど生活の中で運動を取り入れる工夫をしましょう。歩き続けるために、とても大切なことです。
信頼できるパートナー選びを
リハビリの効果を高めるためには「患者さん自身が自分の体を理解すること」「目標までの距離を知ること」そして「そのために今なにをすべきかを体現すること」が大切です。
そのため、今の状況を的確に説明してくれて、困りごとの相談もしやすい理学療法士や施設を選ぶといいでしょう。歩行リハビリは長期的になるかもしれません。自分に合った環境で自分に合ったリハビリを選ぶことが大切です。
歩行リハビリに関する5つのFAQ(よくある質問)

Q1: 歩行リハビリを始めるべきタイミングはいつですか?
怪我や病気の治療後、なるべく早くリハビリを開始することが望ましいとされています。安静期間が長引くと筋力が低下し、回復に時間がかかるためです。ただし、自己判断せず、必ず主治医の指示に従って適切な時期に始めましょう。
Q2: 歩けるようになるまでのリハビリ期間はどれくらいかかりますか?
原因となる怪我や病気の種類、重症度によって大きく異なります。例えば、大腿骨の骨折は数日〜1ヶ月程度で歩行練習を始め、退院まで1〜2ヶ月が目安となることが多いですが、脳卒中の場合は麻痺の程度により半年以上かかる方もいます。
Q3: 歩行リハビリは具体的にどのような流れで進められますか?
主に3つのステップで進められます。
- STEP 1: 早期にストレッチやマッサージで関節の可動域を維持・拡大します。
- STEP 2: 平行棒や手すりを利用し、安全に体重負荷をコントロールしながら、姿勢や歩行の改善訓練を行います。
- STEP 3: 歩行補助杖や装具などの補助具を用いて、歩行の自由度を高め、転倒リスクを減らす練習を行います。
Q4: 一度歩けるようになったら、リハビリは終了してもいいですか?
一人ひとり、歩行リハビリに明確なゴールはなく、一度歩けるようになっても筋力や体力の維持・向上のために継続的な運動が必要です。特に高齢者の場合、リハビリを終えると歩行能力がすぐに低下する危険があるため、自主トレーニングなどを生活に取り入れる工夫が大切です。
Q5: 歩行困難はなぜ起こるのですか?
歩行は足の筋肉だけでなく、脳の命令を神経が伝える働きによって行われます。そのため、骨折などの怪我だけでなく、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害など、脳、神経、脊髄の様々な部位の障害が原因で起こります。
まとめ|リハビリで歩けるようになるまで

歩行リハビリの道のりは、一人ひとり違います。
まず、どれくらいで歩けるようになるか、どんなリハビリが必要かは、骨折なのか、脳梗塞なのかといった病気や怪我の種類、そして体の状態によって全く異なります。
ただ、共通して言える大切なことがあります。それは、「できるだけ早く始めること」です。早くリハビリを始めることは、単に筋肉が衰えるのを防ぐだけでなく、「また歩けるようになるんだ」という心の支えにもなります。
リハビリは、無理せず、あなたの体に合わせながらゆっくり進めていきます。最初は関節を柔らかくするストレッチや軽い運動で準備を整え、徐々に筋力をつけたり、バランスを鍛えたりする訓練を加えていきます。焦りは禁物です。「自分のペースで、一歩ずつ」進めていくことが何よりも大切です。
そして、この長い道のりを支えてくれるパートナー選びも重要です。あなたの状況を深く理解し、寄り添ってくれる理学療法士や、家族、友人といった周りの支えは、リハビリを成功させる大きな力になります。
リハビリの目標は、ただ「歩く」ことだけではありません。再び歩けるようになることで活動範囲が広がり、あなたらしい生活の質(QOL)を取り戻すことにつながります。どうか前向きな気持ちで、一歩一歩、着実にリハビリに取り組んでください。




