NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 片麻痺患者の亜脱臼予防と禁忌事項|意外と多い亜脱臼とはどんな症状?

片麻痺患者の亜脱臼予防と禁忌事項|意外と多い亜脱臼とはどんな症状?

片麻痺患者の亜脱臼予防と禁忌事項|意外と多い亜脱臼とはどんな症状?

脳卒中後の後遺症として肩関節の亜脱臼は多くの方が経験する身近な症状です。特に片麻痺がある方は肩関節に亜脱臼を発症しやすく、知らぬ間に禁忌動作を行ってしまう恐れがあります。

「片麻痺が原因で亜脱臼になるのはなぜ?」

「片麻痺患者が亜脱臼になった時の禁忌動作は?」

「亜脱臼になったらリハビリは必要?」

このような片麻痺患者さんの亜脱臼についての疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?今回は片麻痺が原因で起こる亜脱臼の原因や禁忌動作、リハビリの必要性についても解説します。

片麻痺が原因で起こる亜脱臼とは?禁忌を知るために症状をチェック

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脳卒中の後遺症で片麻痺を発症した場合、亜脱臼を起こしやすくなります。なぜ、片麻痺が生じると亜脱臼を起こすのか、亜脱臼の原因や片麻痺と亜脱臼の関係性について解説します。

肩関節の亜脱臼とは

亜脱臼とは簡単に言うと、肩関節が正常な範囲から少し外れた状態のことを言います。正常な肩関節は上腕骨が肩甲骨のくぼみに、はまっている状態でさまざまな方向に動けるようにわずかな隙間があります。

亜脱臼とはこの隙間が少しズレてる、もしくは隙間が広がっている状態です。亜脱臼した状態で運動を行ってしまうと、関節が安定せず、摩擦などの影響で痛みが生じる場合もあります。

片麻痺が原因で起こるのはなぜ?

亜脱臼は脳卒中後の片麻痺や感覚障害が影響して生じることがあります。麻痺の中でも弛緩性麻痺が大きく関係しています。弛緩性麻痺(しかんせいまひ)とは脳卒中発症後、間もないときに起こる状態で体を動かそうとしても筋肉を働かせることができず、常にダランとした状態のことです。

弛緩性麻痺になり、肩回りの筋肉が緩むことで、腕がぶら下がっているような状態となり亜脱臼が生じやすくなるのです。さらに、感覚障害や半側失認があると、肩が体の下敷きになったり、肩に負荷がかかっていることに気づかずに、亜脱臼を引き起こすこともあります。

亜脱臼と運動麻痺の関係

私たちは脳の指令が脊髄・筋肉へと伝わることで手を動かしています。脳卒中になり脳と精髄をつなぐ神経が損傷されると、指令が上手に伝わらなくなり、手足を動かせなくなってしまいます。この状態が運動麻痺です。

さらに肩に亜脱臼を生じると脊髄と筋肉の間でも指令が届きにくくなる可能性があると言われています。つまり、亜脱臼がある片麻痺の患者さんは、亜脱臼がない患者さんに比べて、腕の末梢神経の低下が起こり、動かしにくくなっている可能性があるのです。

参照:脳卒中患者における肩関節亜脱臼が末梢神経伝導と片麻痺上肢の機能に与える影響

片麻痺患者の亜脱臼の対処法|痛みがあるときの禁忌動作は?

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ここでは片麻痺患者の亜脱臼に対する対処法や禁忌動作について解説します。亜脱臼を生じた時に痛みがでる原因についてもみていきましょう。

亜脱臼に痛みはあるの?

亜脱臼は痛みがでる方もいますが、気づかずに生活を続ける方もいらっしゃいます。痛みの有無の差はあまりよくわかっていませんが、亜脱臼によって肩関節の筋肉が損傷することによって引き起こるのではないかと考えられています。

とはいえ、亜脱臼状態で放置すると、運動が制御され、間違った肩関節の動かし方を続けてしまい、さらなるケガにも繋がります。肩が動かしにくい、違和感があるといった症状があれば早めに主治医に相談しましょう。

痛みがある時の対処法

肩関節に亜脱臼が起こると、腕が垂れ下がった状態になります。この状態のままだと、肩周辺の筋肉や靭帯が伸び、痛みを伴うこともあります。

腕の重みで肩が垂れ下がった状態は肩関節にも負荷がかかってしまうので、肩が下がらない体勢を保持することが必要です。一般的には、アームスリングや三角巾を使って正常な位置に固定するといった処置が行われます。

しかし、長期間に渡り、腕を固定することでさらに筋肉が低下し拘縮を生じる可能性もあります。必要ない時は使用しないなど工夫が必要となるでしょう。

参照:J-stage「脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼」

片麻痺患者への禁忌動作

片麻痺を生じながら亜脱臼になった場合、肩関節や肩周辺の筋肉に負荷がかからないようにしましょう。

<肩関節亜脱臼の禁忌動作と注意点>

  • 痛みや骨がぶつかる感じがしたら運動を注意する
  • ボールを投げるような動作は行わない
  • 麻痺測へ重心を乗せたときに肩が下がらないようにする
  • (介護者や家族が)後ろから手を引っ張らない

片麻痺が生じると、姿勢が左右非対称になりやすいです。体の歪みが発生することで筋力が制限され、亜脱臼になる可能性も高まります。なるべく正しい姿勢を保てるように日常生活から意識することも大切です。

片麻痺患者の亜脱臼にリハビリは必要?必要なリハビリと注意点

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肩関節を安定させるためには、肩周辺の筋肉へのアプローチが重要になってきます。具体的にどのようなリハビリを行うかみていきましょう。

片麻痺患者の亜脱臼に対するリハビリ

  • <電気療法>

亜脱臼に対して、電気刺激を行うことは有効であると言われています。麻痺側の末梢神経と直接刺激することで、麻痺側の動作改善は痛みの軽減を行います。

  • <筋力トレーニング>

肩関節周辺の筋肉を強化することで、筋力低下を防ぎ、安定性を向上させます。肩を上下に動かすトレーニングなどを行いますが痛みや違和感を感じたら、すぐに中止しましょう。

  • <姿勢改善>

片麻痺や亜脱臼の痛みがあると、姿勢が左右非対称になりやすくなります。正しい姿勢を意識した運動や、正しい姿勢を取りやすいように補助装具を使う場合もあります。

参考:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023)」

片麻痺患者の亜脱臼リハビリの注意点

片麻痺患者さんへの亜脱臼のリハビリは、症状の程度や痛みの有無によってアプローチを変える必要があります。

亜脱臼により痛みや悪化の恐れがある場合は、亜脱臼に対するリハビリを積極的に行う必要があります。一方、軽度で痛みのない場合は、固定するなどの処置を施し、手の運動機能改善を行う方が後遺症改善により効果があるかもしれません。

亜脱臼治療にはさまざまなアプローチがあるので、主治医と相談し、患者さんの症状にあったリハビリを行いましょう。

まとめ|片麻痺患者の亜脱臼に対する禁忌動作

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片麻痺の患者さんが肩の痛みを訴えることは多く、最も多い原因の1つに肩関節の亜脱臼があります。

亜脱臼自体に痛みがないことも多いですが、放っておくと肩周辺の筋肉や靭帯を傷つける場合もあります。片麻痺患者さんが亜脱臼を生じた場合、禁忌動作を把握し、症状悪化防止に努めましょう。

片麻痺患者の亜脱臼に対する禁忌動作>
・痛みや違和感があるのに動かす
・ボールを投げるような動作
・麻痺側の肩に負担がかかるような姿勢
・手を後ろから引っ張らない

片麻痺患者さんの亜脱臼に対するリハビリには、さまざまなものがあります。患者さんご自身の症状に合わせた最適なリハビリを行うことが大切です。

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