橋梗塞のリハビリ:症状とリハビリプロセスを理解し安心して始めよう
2024.04.19
橋梗塞は、脳の一部である橋の血流が障害されることで引き起こされる疾患です。この血流障害により、脳の機能的な損傷が生じ、日常生活に支障をきたす後遺症が現れることがあります。
橋梗塞からの回復と再発防止のためには、リハビリが不可欠です。リハビリは、失われた機能の回復や代償手段の獲得を目指す長期的なプロセスであり、患者さんにとって身体的にも精神的にも大変な取り組みとなります。
しかし、周囲の理解とサポートがあれば、患者さんはリハビリに専念することができます。家族や医療スタッフからの励ましや協力は、リハビリを乗り越える原動力になるでしょう。
橋梗塞のリハビリテーションの重要性と、リハビリまでの流れについて解説します。橋梗塞と診断された方やそのご家族にとって、有益な情報となれば幸いです。
目次
橋梗塞のリハビリを開始する前に…なぜリハビリが必要なのか原因や症状を解説
「脳梗塞や脳出血は聞いたことあるけど…」という方も多いでしょう。まずはそもそも「橋」という部分はどのような物なのか、梗塞が生じる時の原因を理解していきましょう。
「橋」梗塞?脳梗塞との違いは?
橋梗塞のリハビリを開始する前に、「橋」について理解していくことが大切です。
前提として「橋」は脳幹の一部を指します。
中脳と延髄の間に位置し、脳の重要な構造の一つです。橋は、脳と身体の間の信号伝達を調節し、呼吸、眼球運動、嚥下、姿勢の調整などの自律機能を制御する重要な役割を果たしています。また、橋は感覚と運動の情報を脳と身体の他の部分に伝達する経路の一部でもあります。
脳梗塞は脳の他の部分が血管で閉塞されることですので、特定の領域での血管閉塞が橋梗塞と理解しておくといいでしょう。
橋梗塞のリハビリ前に原因を知っておこう
まず主な原因としては
・高血圧
・高コレステロール
・肥満
・運動不足
・喫煙
・脳血管の病気
などが挙げられます。高血圧や糖尿病などの基礎疾患も原因の1つです。
橋梗塞の症状を整理
〈橋梗塞の症状〉
・運動や感覚の障害
・筋力低下
・平衡感覚の喪失
・吞嚥障害
などが挙げられます。
これは神経の伝導路に障害が起きることが原因として考えられます。重症の場合は四肢麻痺なども考えられるほど重要な部位に影響がでます。
橋梗塞はリハビリで後遺症にアプローチが必要…主な後遺症と対応策
橋梗塞のリハビリの流れを学んで行く前に治療法なども整理しておきましょう。後遺症も知ることでより理解度が上がります。
橋梗塞の急性期の治療法について
橋梗塞の治療法は、症状の重症度、原因、患者の健康状態などに応じて異なります。一般的な治療法には以下が挙げられます。
・急性期における対応…酸素療法、生命維持措置等。症状の安定化と管理を優先
・血栓溶解療法…急性期脳梗塞に対して行われる一般的な治療法。tPAという薬剤を8章から4.5時間以内に投与し血栓を溶かす作用があります。
・血管形成術(血管内治療)などの再循環療法…閉塞した血管を開通させ、脳への血流を回復させることを目的とする。
急性期に関しては急激な経過によって死に至ることもあるため、さまざまな処置が行われます。
参考:脳神経センター大田記念病院急性期再開通療法(tPA療法・血管内治療)
橋梗塞発症後にリハビリが必要な後遺症とは
基本的には何らかの後遺症が残ると考えられます。理由としては「橋」自体が脳幹を構成する一部だからです。脳幹には神経の伝達や中継だけでなく、自律神経反射中枢や脳幹網様体などの構造が存在します。
考えれるのは
・運動麻痺
・感覚障害
・眼球運動
・聴覚障害
・嚥下障害
などで、運動失調なども小脳との連絡がうまくできなることを原因に起こり得る物です。
参考:再生医療専門クリニックリペアセルクリニック・橋梗塞とは?症状、原因、治療法を医師がわかりやすく解説!
橋梗塞後のリハビリの流れ…安定化できたら身体機能の回復から!
橋梗塞は後遺症も生活に支障が出るものです。そのため、橋梗塞のリハビリは体調の安定化から回復に至るまで多くの専門家のサポートが必要になるでしょう。流れを理解するだけでなく、再発予防にも目を向けて取り組む必要があります。
初期治療を終えたら安定化と身体機能の回復へ
基本的なリハビリの流れとして、医師だけでなく理学療法士の専門家のチェックから始まります。そして初期治療から症状の安定化、身体の基本機能回復が優先されるわけです。
その後回復期リハビリという、一番回復が見込まれやすい時期に入りますが、後遺症の症状によって複数の運動や体操に取り組む必要があります。
例えば、運動失調の場合は筋肉の動きを調整する機能を取り戻すため、難しくなった運動に対してサポートが必要です。
リハビリから退院後も再発予防に努めよう
橋梗塞のリハビリは長期的な過程が必要になります。そのためには患者様自身だけでなく、家族や周囲のサポートと理解が求められるでしょう。一方で専門性も重要です。
生活期のリハビリは実際に生活をしながら行われます。回復期の段階から生活面を意識したリハビリは行われますが、実際に体験するのは違うものもあるでしょう。
例えば、自宅には段差や幅の問題、物が体に当たるなど怪我のリスクも高くなります。
また、最初予防のための健康管理なども重要ですので、サポートしてくれる方がいるのがベストです。
自費訪問リハビリという選択肢
橋梗塞のリハビリにおいてできる限り以前の生活に戻したいのであれば、自費訪問リハビリという選択肢もあります。基本的に生活期のリハビリではデイサービスなどに通所する形で継続します。この時点で医療保険の適用外であり、保険適用のリハビリは日数上限もあります。
したがって、自分が求める水準までの回復が見込めたとしても継続することが難しい可能性があるわけです。だからと言って自宅で自分だけの力では適当なリハビリができたとは言えないでしょう。
そこで自費訪問リハビリであれば、日数も内容も自分で選べることが可能です。もちろん料金は全額自己負担ではありますが、「日常生活を取り戻したい」「働くために後遺症を回復させたい」などのような目的がはっきり決まっている方にはフィットするでしょう。
プロの手で高いレベルのリハビリを受けられることもそうですが、自由度も高く、生活の質をあげるためにサポートしてくれます。いくつかの選択肢を抱えることでよりよりリハビリが可能です。
橋梗塞のリハビリ|まとめ
今回は橋梗塞のリハビリについて解説しました。橋梗塞の「橋」の部分は脳幹を構成する一部であるため、後遺症含め、体には大きな影響が残ります。
・運動麻痺
・感覚障害
・眼球運動
・聴覚障害
・嚥下障害
など、運動失調も考えられますので、専門家の判断のもと、適切にリハビリを行う必要があります。
重症度によってもちろん変わりますが、橋梗塞のリハビリは、プロセスを理解して周りのサポートをしっかり受けていくことが大事です。諦めずに日常生活を取り戻しましょう。