在宅リハビリのメリット・デメリット|対象者や保険制度の活用方法まで徹底解説
2025.11.10
「外出が難しい」「リハビリの際に周りの目が気になる」という方に注目されているのが、自宅でリハビリを受けられる在宅リハビリです。介護・医療保険制度を利用すれば、経済的負担を抑えながら、継続的にリハビリを行えます。
今回は、在宅リハビリのメリット・デメリットと保険制度の活用方法、自費リハビリという選択肢まで解説します。自身の暮らしに合った方法を選択できるように、在宅リハビリの仕組みを理解しておきましょう。
目次
【在宅リハビリを賢く活用!】この記事の5つの結論

1.自宅で専門家のリハビリを受けられるサービス
理学療法士の専門家が自宅を訪問し、日常生活動作の維持・回復をサポートします。
2.実践型リハビリが可能
自宅環境でリハビリを行うため、実際に使用している廊下や手すりの位置に合わせた歩行訓練が可能です。
3.介護保険・医療保険を利用できる
介護保険または医療保険の対象者であれば、経済的負担を抑えて、退院後も自宅でリハビリを継続できます。
*自己負担割合は所得によって異なる(1〜3割)
*地域や施設によって単価が異なるため確認が必要
4.自費リハビリなら時間や回数の制限なし
保険適用よりも費用はかかりますが、時間や回数、リハビリ内容を自由に設定して質の高い訓練が可能です。
*事業所ごとに料金に幅があるため要注意
5.利用する際は必ず主治医へ相談を
保険適用サービスは、主治医の指示が必須です。自費リハビリで主治医の診断が必要ない場合も、相談すると安心です。
在宅リハビリでできることとは…目的や訪問リハビリとの違いは何?

「通院や通所が難しい」「自宅でリハビリを続けたい」という方に注目されているのが、在宅リハビリです。まずは、在宅リハビリでできることや目的、訪問リハビリとの違いをわかりやすく解説します。
在宅リハビリの目的
在宅リハビリの主な目的は、日常生活の自立と社会への参加を促し、QOLを向上させることです。また、本人に対する援助だけでなく、家族や介護者の負担を軽減する精神的サポートも含まれます。
具体的には、歩行や着替えなどの基本動作の獲得、生活環境に合わせた機能訓練などです。家族に向けては、心理的サポートとあわせて動作指導や介助方法の助言なども行います。
参考:厚生労働省「在宅ケアにおけるリハビリテーションの役割」
在宅リハビリと訪問リハビリの違い
在宅リハビリは、「自宅で行うリハビリ」という広い意味を指します。つまり、訪問リハビリは在宅リハビリのサービス形態の一つです。
<在宅リハビリ>
- 自宅でのリハビリ全般を指す
- 生活環境に合ったリハビリを行い、社会参加の促進やQOLを向上させるのが目的
- 訪問リハビリや通所リハビリなどの形態がある
<訪問リハビリ>
- リハビリの専門家が自宅を訪問して行うリハビリサービス
- 外出が困難な方や自宅でのリハビリを希望する方が対象
在宅リハビリでできること
在宅リハビリは自宅環境で行うため、実際の生活に即した訓練が可能です。具体的には、以下のようなリハビリを行います。
- 日常生活動作の練習
- 身体機能の維持、向上
- 言語や嚥下訓練
- 自宅環境や住宅改修のアドバイス
- 家族への介助方法の指導
このように、在宅リハビリでそれぞれの生活に適した「実践型リハビリ」を行えるのが特徴です。
在宅リハビリを利用した方が良い?メリット・デメリットを紹介

在宅リハビリは、生活環境に適した訓練ができる一方で、施設や病院で受けていたようなリハビリができない可能性があります。ここでは、在宅リハビリを利用するメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
生活動作に直結した訓練が可能
在宅リハビリは、理学療法士などのリハビリ専門職が自宅を訪問して実施するサービスです。自宅環境でリハビリを行うため、生活に直結した訓練を受けられます。
例えば、自宅の廊下や段差、手すりなどの位置に合わせた歩行訓練が可能です。また、自宅内だけでなく買い物や近所への散歩など、より活動的な生活を送るためのリハビリを行います。
このように、実生活に直結したリハビリを行えるのは、在宅リハビリの最大のメリットといえるでしょう。
通院の負担が軽減される
在宅リハビリは、セラピストが自宅を訪問して行うため、通院する必要がありません。通院にかかる時間や手間、交通費が不要になることで、体力だけでなく精神的負担も軽減されます。
また、在宅リハビリなら、通所が難しい方や寝たきりの方でもリハビリを受けることが可能です。住み慣れた環境で受けられるため、周りを気にせず自分のペースでリハビリに取り組めます。
通院や通所の送迎を家族が行っている場合、家族の負担軽減にもつながります。体力的にも精神的にも安心してリハビリを継続できるのが、在宅リハビリのメリットの一つです。
高度なリハビリは難しい
自宅で行う在宅リハビリは、使用できる道具や機器が限られています。そのため、高度な訓練や検査は難しいことを理解しておきましょう。また、自宅内という限られたスペースで実施するため、病院や施設で行っていたようなリハビリはできない可能性もあります。生活に直結したリハビリ訓練メインとなります。
在宅リハビリを利用する際は、このようなデメリットを理解したうえで、自分に合った方法を選択することが大切です。
在宅リハビリの費用は?保険制度の活用方法と自費リハビリの選択肢

介護・医療保険の対象者であれば、比較的安く在宅リハビリを利用できます。「対象外になると利用できない」ということはありません。保険適用サービスよりも費用はかかりますが、より質の高いリハビリを受けられる「自費リハビリ」という選択肢があります。
自分に合った方法を選択するために、保険制度の活用方法と自費リハビリの特徴を理解しておきましょう。
介護保険の費用と対象者
介護保険で在宅リハビリを利用できるのは、以下の3つの条件を満たす方です。
- 要支援1・2または要介護1〜5に認定されている
- 主治医からの指示がある
- 自宅、もしくは特定の高齢者向け住宅に住んでいる
介護保険適用であれば1〜3割負担で利用可能ですが、実際の費用は地域や事業所によって異なります。1単位=10〜11円前後で区分されており、要支援1・2の場合は298単位、要介護の場合は308単位と設定されています。
例えば1単位=10円で1割負担の場合、「308単位×10円=3,080円」「3,080円×1割=308円」となり、自己負担額は308円です。
医療保険を利用する条件
医療保険での在宅リハビリの利用は、以下の方が対象です。
- 65歳未満または65歳以上で要介護認定を受けていない
- 40歳未満
要介護認定を受けている方は、介護保険が優先されます。原則として、介護保険と医療保険の併用はできません。
医療保険を利用する際の費用は、以下のとおりです。
- 70歳以上75歳未満:原則2割負担(所得によって異なる)
- 75歳以上:原則1割負担(所得によって異なる)
- 70歳未満:原則3割負担
自費リハビリでの利用も可能
在宅リハビリは、公的保険適用外の自費リハビリでも利用できます。自費リハビリは、保険適用サービスよりも費用はかかりますが、期間や回数などに制限がありません。
また、リハビリ内容も自由に設定できるため、より個別性の高いオーダーメイドのリハビリを受けられます。もちろん、公的保険との併用も可能です。「保険制度内でのリハビリでは満足できない」「より高い目標設定がある」という方は、自費リハビリを検討するのも良いでしょう。
ただし、自費リハビリ施設はスタッフの能力の幅が広く、なかには専門知識を持たずにサービスを提供しているケースもあります。施設を選ぶ際は、施術者が資格を保有しているかを確認し、信頼できる施設を選ぶことが大切です。
FAQ|在宅リハビリに関するよくある質問

Q:在宅リハビリはどんなサービスですか?
A:理学療法士などのリハビリ専門職が自宅に訪問し、日常生活に必要な動作の維持・改善をサポートするサービスです。また、家族への介助方法の指導や心理的サポートも行います。
Q:在宅リハビリではどんなリハビリができますか?
A:歩行訓練や立ち上がり動作の練習、筋力トレーニングなど、身体機能の維持・回復を目的としたリハビリを行います。さらに、入浴や着替えなどの生活動作の練習、家の中で安全に過ごすための環境調整も可能です。
Q:在宅リハビリを始めるにはどうすれば良いですか?
A:介護または医療保険の対象となる方は、まずはケアマネジャーに相談し、主治医に訪問リハビリ指示書や診療情報提供書などの必要書類を作成してもらいましょう。自費リハビリでは指示書が不要なケースもありますが、事前に主治医に相談しておくと、より安心です。
Q:在宅リハビリはどのくらいの頻度で受けられますか?
A:保険制度の利用状況や利用者の体調、目標などによって異なりますが、一般的には1〜3回、1回20〜40分程度が目安です。回数や頻度は、ケアマネジャーや主治医と相談し、無理なく継続できるように計画を立てることが大切です。自費リハビリは1回60~90分程度が目安。
まとめ|在宅リハビリを賢く活用してQOLを向上させよう!

在宅リハビリとは、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職が自宅に訪問し、生活に合わせた訓練を行うサービスです。病院や施設のような一般的な環境ではなく、実際に生活している家の中でリハビリを行うため、「できる動き」をそのまま日常生活につなげやすいという大きなメリットがあります。
たとえば、廊下の幅や段差の高さ、手すりの位置など、自宅の環境は一人ひとり違います。在宅リハビリでは、その人の家の構造に合わせて、転倒を防ぐ動作練習や、階段の上り下り、トイレ・お風呂の動き方などを実際の環境で訓練できます。こうした「生活に直結した練習」ができる点は、施設でのリハビリにはない魅力です。
また、利用者本人だけでなく、家族への介助方法の指導や、介護に伴う不安やストレスへの心理的サポートも行われます。家族が安心して介助できるようになることも、在宅リハビリの大切な目的のひとつです。
利用の際には、介護保険や医療保険が使える場合がありますが、それぞれに対象者や利用回数の制限があります。たとえば「週に2回まで」「一定期間を過ぎると終了」などの条件が決まっていることもあります。
もし、「もっとリハビリを続けたい」「保険内の時間では物足りない」と感じる場合は、自費リハビリという選択肢もあります。自費リハビリでは、時間や回数の制限がなく、自分のペースや目的に合わせたリハビリを受けられるのが特徴です。
在宅リハビリと自費リハビリ、それぞれにメリットと注意点があります。制度や特徴をしっかり理解したうえで、自分の生活や目標に合った方法を選ぶことが、リハビリの成果を最大限に高める第一歩です。









