
脳梗塞が一週間が山といわれているワケ|早期治療の重要性と治療の流れ
2025.04.30

脳梗塞は「一週間が山」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
脳梗塞を発症してから一週間の期間は症状が急激に変わることもあり、予断を許さない状況が続くこともあるので、一週間が山といった表現が用いられます。
しかし、この期間に適切な治療を受けることで、後の回復に大きな影響を与えるのも事実です。治療が早いほど、後遺症の影響も少なく、症状の改善が期待できます。
今回は脳梗塞の原因や、一週間が目安となる早期治療、山を超えた後のリハビリ法について解説します。
目次
脳梗塞は発症から一週間が山って本当?脳梗塞の原因と早期治療

脳梗塞の症状は刻一刻と進んでいき、治療が遅れるほど重度の後遺症が残る可能性が高くなります。脳梗塞がどう進行していくのか、原因を確認しながら治療法についてもみていきましょう。
脳梗塞の原因
脳梗塞とは、脳動脈に血栓が詰まったり、閉塞したりすることによって、脳細胞に血液が行き届かなくなり脳が壊死してしまう病気です。
片側の手足の麻痺やしびれ、呂律が回らない、めまい、意識障害など様々な症状が突然出現し、後遺症が残る可能性も高い疾患です。
脳梗塞の大きな原因の1つは動脈硬化です。動脈硬化は血管が硬くなって弾力が失われた状態のことをいい、老化や生活習慣病が大きく影響しています。
脳梗塞は時間との勝負
脳梗塞の状態が長くなればなるほど、脳の壊死が進み命の危険を伴うこともあります。
また、一度壊死した脳細胞は二度と元通りにはならないので、処置が遅れると重篤な後遺症が残ってしまう可能性が高くなります。しかし脳梗塞の発症後、すぐに適切な処置をうけることができれば、回復も見込める病気です。
脳梗塞の治療は発症からの経過時間で、受けられる治療が変わってきます。早ければ早いほどさまざまな治療がうけられるので、発症後すぐに病院を受診することが大切です。
24時間以内の超急性期治療
発症から24時間以内にできる治療法は以下の2つです。
- <t-PA療法>
発症から4.5時間以内の患者さんに対して行われる治療法です。t-PAという血栓溶解剤を点滴で投与し、血管を再開通させます。米国での臨床試験ではこの治療を行った約4割の人がほぼ後遺症を残さないレベルに回復しました。
- <カテーテルによる血管内治療>
発症から24時間以内の患者さんに行われる治療です。脳の太い血管に血栓が詰まった場合に用いられます。足の付け根からカテーテルを挿入し、脳血管につまった血栓を回収する方法です。傷も少なく患者さんの身体的負担が少ない治療なので、高齢者にも有効です。
脳梗塞発症から一週間が急性期!山を越えるためにできること

脳梗塞発症から一週間程度の時期は急性期と呼ばれており、山場と言われるのもこの時期です。脳梗塞の治療は発症からの経過時間で変わります。
脳梗塞の「急性期」「回復期」「生活期」の3つの時期にわけて治療法を解説します。
急性期の治療と早期リハビリの重要性
脳梗塞発症から2週間までを「急性期」といいます。急性期の治療は脳の損傷を最小限に抑えることが目的です。血栓をできにくくする薬や脳を保護する薬を使用する薬物療法が主な治療です。また、超急性期に治療できなかった場合や薬物療法で改善しなかった場合は外科手術を行うこともあります。
脳梗塞の後遺症を最小限に抑えるためには、適切な治療に加え、リハビリを開始することも重要です。早期にリハビリを開始することで、廃用症候群の予防や回復期のリハビリの効果を高めることができます。
回復期は後遺症回復のゴールデンタイム
回復期は発症から3〜6カ月頃のことを指します。回復期は急性期からの薬物治療を続けながら、リハビリ施設などで本格的にリハビリを行っていく時期です。
病態や血圧が安定してきたら症状に応じたリハビリを開始します。基本的には、日常生活を行う上で必要な動作訓練を行います。
脳梗塞発症後の6カ月以内が脳機能の改善が大いに見込まれる時期と言われており、集中的にリハビリを行うことで退院後の生活に大きな影響を与えます。
自宅や施設で行う生活期リハビリ
回復期を経て、在宅や施設で成果する時期に行うリハビリが生活期リハビリです。生活期リハビリは維持期リハビリとも呼ばれ、回復期で得たリハビリの成果を維持する目的があります。
最近ではリハビリテーションの技術進歩により維持目的だけではなく、機能障害の改善や生活の質の向上についても大きな役割を担っています。本人が日常生活を送りやすいように、より生活スタイルに合わせたリハビリを行います。
【脳梗塞から1週間】山を超えても後遺症が残る可能性はある

脳梗塞は後遺症が残る可能性が高い疾患です。一週間が山と言われ、頑張って山を超えたとしても、後遺症が残ることも考えられます。
後遺症が残った場合に本人や家族ができることは何かを考えていきましょう。
継続的なリハビリが必要
脳梗塞を一度患うと、約7割の人が後遺症を残すと言われています。また、脳梗塞は再発の可能性もあるので、再発防止や機能改善のために、継続的なリハビリが必要になるでしょう。
脳梗塞が起きた部位や重症度によっても後遺症の出方は変わりますし、後から発覚することもあります。できるだけ早期治療、早期リハビリを心がけ、継続してリハビリを行うことが大切です。
リハビリと一口にいっても病院や施設で行うリハビリや訪問リハビリ、自費リハビリなどさまざまです。本人の意思に見合ったリハビリを選ぶことで無理なく継続できるでしょう。
国や地域のサポートを調べておこう
ご家族が突然脳梗塞で倒れて後遺症が残ったと言われたら、とても戸惑いますよ。いきなり介護生活になってしまうと本人だけでなく、ご家族の負担もとても大きくなります。
まずは家族だけで抱え込まないように、国や地域のサポートにどのようなものがあるか知っておくことも大切です。
介護保険の利用が可能になったり、地域によってさまざまなサポートを行っている場合もあります。お住まいの地域包括センターなどに相談してみましょう。
まとめ|脳梗塞は一週間が山

脳梗塞は、発症してから一週間くらいがとても大事な時期だと言われています。これは、病気になった直後は、急に症状が悪くなることがあるからです。
この一週間のあいだに、どれだけ早く、適切な治療を受けられるかで、その後の体の回復に大きな差が出るとされています。
脳梗塞になったときは、1分1秒でも早く治療を始めることがとても大切です。
「なんだか手足が動かしにくい」「言葉がうまく出ない」「顔がゆがんでいる」など、いつもと違うおかしな感じがしたら、すぐに病院に行きましょう。ためらっている時間が長いほど、体に後遺症が残るリスクが高くなります。
また、もし一週間を無事に乗り越えたとしても、脳梗塞は後遺症が残る可能性が高い病気です。手足の動きが悪くなったり、話す力や考える力が弱くなったりすることがあります。
そうならないためにも、できるだけ早くリハビリを始めることが大切です。
リハビリは、あきらめずに続けることがポイントです。そして、リハビリを続けやすいように、国や地域のサポートを上手に活用して、環境を整えることも大事です。
脳梗塞から体を守るためには、早めに動くこと、そしてコツコツとリハビリを続けることがとても重要です。