視床梗塞(視床出血)の症状|後遺症がでた場合はどのようなリハビリが必要か
2024.12.16
視床梗塞や視床出血は、脳の主要な中継基地ともいわれる視床で出血が起こり、全身にさまざまな症状があらわれます。出血の量や範囲によっては、その症状が後遺症として残ることも少なくありません。
そのため、視床梗塞や視床出血が起こった場合、止血が完了し症状がある程度落ち着きしだい早期にリハビリを開始することが重要です。理学療法や作業療法を行うことで、機能の改善に期待ができます。
リハビリを途中でやめてしまうと、一度回復した機能が低下してしまうかもしれません。そのため、毎日長期間継続することが大切であることを理解しておきましょう。
目次
視床梗塞とは?症状・原因・検査方法について…命の危険も?
視床梗塞などによって視床に障害が生じると、感覚情報や運動機能などにさまざまな症状が起こる可能性があります。
視床梗塞(視床出血)の死亡率は、一般的に14〜52%と報告されていますが、出血の程度や基礎疾患の有無などによっては命の危険があることを理解しておきましょう。
視床とは?役割や脳のどの部分かを理解しよう
視床は脳の中央に位置しており、脳の構造のうち間脳の一部を占める部位です。感覚情報や運動機能の調節など、脳の主要な中継基地の役割を担っています。
主な役割は、嗅覚以外の視覚・聴覚・味覚・痛覚などを大脳に送る中継所、運動機能調節の補助機能などです。
視床梗塞(視床出血)の症状
視床梗塞や視床出血が起こると、いくつかの症状が組み合わさることもあります。
- 意識障害
- 運動障害:手足が動かしにくくなる
- 感覚障害:痺れや感覚過敏など
- 眼球障害:上方注視麻痺や内下方視など
起こりうる症状は、出血の範囲や程度によってさまざまです。上記にある全ての症状が起こりうるわけではないことを理解しておきましょう。
視床梗塞(視床出血)の原因や検査方法について
視床梗塞や視床出血の原因は、高血圧による動脈硬化です。出血源となる血管は極めて細い穿通枝と呼ばれる血管で、そこが破綻し出血が起こります。
検査方法は、頭部CT検査です。視床部位の出血の程度や、脳室内出血の有無などを判定し、治療方法や予後予測の参考とします。
また、MRIでの検査も可能ですが、メリットが少ないためCT検査が行われることがほとんどです。
視床梗塞(視床出血)の症状から後遺症生じる理由と予後について
視床梗塞や視床出血の症状が起こった場合、主に点滴や栄養管理などによって治療が行われます。とくに、体力や免疫力の低下を防ぐためにも栄養管理が大切です。
また、後遺症が生じることの多い視床梗塞(視床出血)は、早期からリハビリを開始することも重要となります。
視床梗塞(視床出血)の症状がでた…後遺症とは
視床梗塞や視床出血の後遺症は出血量や程度によって異なります。多くみられる症状は、感覚障害や手足の強い痛みや痺れです。手足の強い痛みや痺れは視床痛と呼ばれ、鎮痛剤の効果がありません。
また、出血が大きい場合は片麻痺の症状が起こりやすいため、後遺症として片麻痺が残る可能性もあります。
後遺症が生じるメカニズム
視床は脳の中央にあり、感覚情報や運動機能の調節など重要な役割を担っている部位です。そのため、視床で出血などが起こると視床の機能が障害され、感覚障害や運動麻痺などの後遺症が生じることがあります。
とくに、出血の程度が大きい場合や水頭症を発症している場合は、片麻痺や意識障害などの後遺症が生じる可能性があるでしょう。
初期症状からどのような対処が行われるのか
視床梗塞や視床出血そのものに対して、基本的に手術は行われません。治療の中心は、点滴・栄養管理・リハビリが中心となります。
これは、脳の奥深くにある視床には重要な神経が多く集まっているため、手術を行うことで視床の機能にさらにダメージを与えてしまう可能性が高いからです。ただし、出血の程度や水頭症により命の危険がある場合などは、手術が行われることもあります。
視床梗塞の症状から生じた後遺症…どのようにリハビリを進めていくのか
視床梗塞で起こった症状は、後遺症として残ることが多くあります。そのため、視床の機能を改善し日常生活を送りやすくするためにも、リハビリが必要です。ただし、リハビリは長期的に行うことが大切であることを理解しておきましょう。
視床梗塞の症状から生じた後遺症にリハビリはなぜ必要なのか
感覚障害や運動障害の後遺症が生じることの多い視床梗塞は、とくに感覚麻痺を伴った片麻痺の後遺症が多くみられます。そのため、日常生活で不便に感じることも多くなるでしょう。
そこで、早期からリハビリを開始することで機能の改善に期待ができます。止血が完了し、ある程度落ち着きしだい、リハビリを開始することが大切です。
リハビリの選択肢や流れについて
視床梗塞においてのリハビリは、理学療法や作業療法などが行われます。
理学療法は、歩行の練習や姿勢を保持するなど、日常生活を送るうえで必要な動作の練習がほとんどです。作業療法では、麻痺側の手を中心に動かし、日常生活を送るうえで必要な作業の練習が行われます。
まとめ|視床梗塞(視床出血)の症状や後遺症の危険性
視床(ししょう)は、脳に入ってくる情報をさまざまな場所に伝える大切な中継点のような役割を持っています。そのため、視床がダメージを受ける「視床梗塞」や「視床出血」が起きると、体の感覚がわかりにくくなったり(感覚障害)、ぼんやりしてしまう(意識障害)、思うように体が動かせなくなる(運動障害)といった症状があらわれやすくなります。これらの症状は、出血の量や状態によって変わるので、一人ひとりで異なることを理解しておくことが大切です。
たとえば、視床梗塞によって後遺症として片側の手足に力が入りにくくなる「片麻痺(かたまひ)」や、感覚がにぶくなる症状が残ることがあります。このような状態になれば、日常生活に支障が出る可能性が高まります。そのため、できるだけ早い段階からリハビリを始めることが重要です。リハビリを続けることで、少しずつ体が動きやすくなったり、感覚が戻ったりすることが期待できます。
さらに、体力や免疫力(病気への抵抗力)を落とさないために、栄養バランスのとれた食事をとることも心がけましょう。適切な栄養をとることで、リハビリに取り組む体力がつき、回復をよりスムーズに進めることができます。