
指関節が固まる原因と改善するリハビリとは?痛みを緩和し生活を楽にする
2025.08.20

「だんだん指が曲がらなくなった」「動かすと痛みが出る」このような手指に関する悩みを抱えていませんか?
加齢や生活習慣などが原因で指関節が固まる方が多く見られます。動かすたびに痛みを感じたり細かな作業が行いづらくなったりするなど、日常生活に支障をきたすこともあるため、リハビリによる改善が必要です。
早めに病院を受診し、適切な治療とリハビリを受けることで、指関節が変形によって固まるのを予防・改善できます。また、専門家によるリハビリ以外に、自分で運動を行うのも効果的です。
関節の変形が進行しないためにも、正しいリハビリの知識を身に着け実践していきましょう。
目次
指関節が固まる原因は?リハビリ前に病態を把握し適切な方法を

指関節が固まる原因はさまざまあるため、病態に応じたリハビリの選択が必要です。手指が固まる主な原因としては、脳卒中後遺症や関節リウマチ、外傷などが挙げられます。それぞれ治療が異なるため、指関節が固まる病態や治療方法の違いを理解しておきましょう。
脳卒中による手指の痙縮
脳卒中によって筋肉が過剰に緊張すると「痙性」が起き、指が伸びにくくなります。脳卒中発症後は、時間の経過と共に麻痺症状と一緒に現れるのが特徴です。この状態を放置すると、関節が固まる「拘縮」を引き起こす恐れがあるため、注意する必要があります。
脳卒中が背景にある場合は、関節可動域を広げるよりも、麻痺した手を意図的に動かすようなリハビリが効果的です。余分な緊張を取り除くようなリハビリを行うことで、力が入りすぎてしまう状態の改善を目指せるでしょう。
参考:手足のつっぱり痙縮情報ガイド「脳卒中の後遺症痙縮とは?」
関節リウマチによる手指の変形
関節リウマチとは、関節の炎症が原因で軟骨や骨が破壊され、指先や指関節などが変形する病気です。症状としては腫れや激しい痛みがあり、程度によっては安静時にも痛みを感じるケースもあります。
「朝起きて手が開きにくい」「関節が動きにくい」などの症状が特徴的です。これらの症状に当てはまる方は、早めにリウマチの専門医を受診しましょう。
手指の外傷や腱鞘炎
骨折や脱臼、ねん挫などが原因で関節が硬くなったり、指の腱鞘が炎症を起こして指の曲げ伸ばしが困難になったりするケースがあります。これらのケースは、症状が改善したとしても、固まった関節の可動域は回復しません。そのため、適切なリハビリを行う必要があります。
やみくもに関節を動かすと炎症が悪化する可能性があるため、主治医の指示に従いながら適切な時期にリハビリを行いましょう。
指関節が固まる状態を改善する具体的なリハビリ方法とは?

指関節が固まる症状を改善するには、ストレッチやマッサージなどのリハビリが必要です。固まった筋肉や関節を積極的に動かして血流を促進させ、可動域を改善させましょう。ここでは、指関節が固まる症状を改善するための具体的なリハビリ方法を紹介します。
固まった筋肉と関節をストレッチ
指関節が固まったら、ゆっくりとストレッチするのがおすすめです。片方の手を使い、30~60秒時間をかけて筋を伸ばします。痛みを我慢すると逆に硬くなる恐れがあるため、「痛いけど気持ちいい」ぐらいの強度を意識しましょう。
ストレッチ効果を高めるためには、リハビリ前に患部を温めるのもおすすめです。入浴中や入浴後など、患部が温まっている状態でストレッチをすると痛みが和らぎ、可動域が広がる効果も期待できるでしょう。
マッサージで血流促進
固まっている筋肉があれば、マッサージでほぐす方法も効果的です。マッサージによって血流が改善すると、筋肉の緊張がほぐれたりストレッチ効果が高まったりなど、メリットが多くあります。
母指球や小指球、前腕の筋肉をほぐすと、指関節の動きの改善に期待できます。反対の手を使ったりゴルフボールなどの道具を使ったりして、マッサージを行いましょう。
筋力強化で拘縮を防ぐ
指関節が固まったら、指を伸ばす筋肉を強化する方法も効果的です。指を握る筋肉の緊張が強すぎると、筋肉のバランスが悪くなり、関節も固まりやすくなります。この状態は、拘縮を引き起こす要因になるため、早期の対応が必要です。
拘縮を予防するためには、指関節を伸ばす筋肉を鍛え、筋肉のバランスを改善する方法があります。始めは負荷をかけず、手指を自分の力で最大限伸ばす運動から始めましょう。
指関節病変に対する生活の工夫!固まるのを防ぐ自主リハビリ

指関節が固まる状態を防ぐために、生活の注意点や自主リハビリの方法を理解しておく必要があります。症状改善には、医師や理学療法士による治療やリハビリだけでなく、自己管理も重要です。ここでは、リハビリ効果を高める日常生活の注意点を解説します。
手指の使いすぎは変形を悪化させる
仕事や家事などで手指を使いすぎると、関節が摩耗し、変形の原因になります。関節の変形以外にも、指の腱に負荷がかかると腱鞘炎になりやすく、痛みや関節可動域の低下の原因となるのです。
指の変形は高齢女性に多く見られ、ホルモンバランスが影響しているという報告もあります。このことから、手指の使いすぎに注意し、日頃から手指のマッサージやストレッチで手を労ることを習慣化しておくのがよいといえるでしょう。
痛みや違和感は早めの病院受診を
痛みが長く続く、身体の不調を繰り返すというときは、早めに病院を受診しましょう。自己判断で症状を放置すると、指の変形が強くなり、関節が固まる恐れがあります。
もし関節リウマチが原因であれば、安静にしていても状態は改善しません。指関節の不調は病気が隠れている可能性もあるため、違和感がある場合は早期受診を心がけましょう。
自主リハビリで可動域を維持・改善する
指関節が固まる症状を改善するために、自分でリハビリを行うのも効果的です。症状の改善を目指すにあたって、理学療法士の治療だけでは不十分の場合もあるため、自分でもストレッチや関節を動かす運動を行いましょう。
固まった筋肉の柔軟性を改善するには、伸ばす刺激を増やす必要があります。自主リハビリを習慣化し、固まった指関節の可動域を回復させましょう。
まとめ|指関節が固まる状態はリハビリで改善して拘縮を防ごう

年をとったり、毎日の生活習慣、または病気の影響などで、指の関節がかたくなってしまう人がいます。そうなると、日常生活の中で不便を感じることが増えてしまいます。
たとえば、「指が思うように動かせない」「細かい動作がむずかしい」といったことが起こり、ボタンをとめたり、字を書いたり、箸を使うといった当たり前の動きがやりづらくなる可能性があります。そのままにしておくと、関節が変形して動かなくなってしまうこともあるので、早めのリハビリが大切です。
指関節の動き(可動域)を広げるには、ストレッチやマッサージで血の流れをよくして、筋肉をやわらかくしてあげることが効果的です。特に、お風呂の中やお風呂上がりなど、体があたたまっているときにリハビリを行うと、より効果が出やすいです。
また、リハビリを受けているとき以外でも、指にできるだけ負担をかけない生活を意識することや、家でもできる簡単な体操(自主リハビリ)を続けることが、回復への近道になります。
指の関節が少しずつ動かせるようになると、生活の中で感じていた不便やストレスも減っていきます。無理せず、コツコツと取り組んで、自分のペースで元気な指を取り戻していきましょう。