
肩関節周囲炎のリハビリに効果的!振り子運動のやり方と注意点を解説
2025.08.22

「肩の痛みには運動が必要と聞いたけれど、具体的に何をすればいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
五十肩(医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれます)は、痛みや動かしにくさが特徴で、放置すると悪化する恐れがあります。改善には適度なリハビリが必要で、そのなかでも自主トレに簡単に取り入れられるのが「振り子運動」です。
今回は、リハビリに振り子運動が効果的である理由や正しいやり方、注意点をわかりやすく解説します。肩の痛みに悩む方は、ぜひ毎日のセルフケアに取り入れてみてください。
目次
リハビリに効果的な振り子運動|五十肩におすすめの理由とは?

五十肩のリハビリには振り子運動が効果的です。自宅で手軽に行えるうえ、肩の筋肉や関節を柔らかくし、痛みや炎症の軽減にもつながります。ここでは、振り子運動が五十肩におすすめの理由を詳しく解説します。
肩関節のこわばり改善や可動域を拡大する
振り子運動は、腕をゆらすように動かすことで肩関節の動きをなめらかにする運動です。
肩まわりの筋肉や関節は、動かさないとますます硬くなります。振り子運動でやさしく刺激を加えると、肩関節だけでなく、肩甲骨や上腕骨など周辺の関節も動きやすくなる効果が得られます。
こわばりをやわらげ、関節の可動域を広げることで、日常の動作もスムーズに行えるようになるでしょう。
炎症や痛みの悪化を防ぐ
振り子運動は、肩の筋肉をリラックスさせて関節にゆとりを持たせることで、軟骨や靭帯への圧力を軽減します。その結果、痛みの緩和が期待できのです。
例えば、洗濯物を干すときや髪をとかす動作で「ズキッ」と痛む場合、肩の関節内で組織同士が擦れたり圧迫されたりしている可能性があります。振り子運動で関節まわりがほぐれると、こうした動作も少しずつ楽になっていくでしょう。
また、上半身の力を抜いて行うため、肩に余計な力が入らずこわばりや炎症の悪化を防ぐ効果も期待できます。無理なく続けられることも、振り子運動の大きなメリットです。
血流が促進される
振り子運動によって肩の筋肉がほぐれると、血流が促進されます。
血行がよくなると、炎症のもととなる物質や老廃物が体外に排出されやすくなり、痛みの緩和につながります。また、酸素や栄養が患部に届きやすくなり、組織の修復がスムーズに進むため、回復も早まるのです。
血流の改善は筋肉の柔軟性にも関係し、動かしやすくなることで「使わないことによる悪化」の予防にもなります。日常生活で少しでも肩を動かせる時間を増やすためにも、振り子運動が有効です。
参考:豊洲整形外科リハビリクリニック「肩関節周囲炎(40、50肩)」
自宅でできるリハビリ振り子運動|正しいやり方と痛みがあるときの注意点

振り子運動は、自宅で手軽に行えるがゆえに無理して行ってしまう方もいるかもしれません。無理に行うと症状が悪化する恐れがあるため、注意が必要です。ここでは、リハビリとして行う振り子運動の正しいやり方と注意点について解説します。
振り子運動はいつから始めればいい?
肩の痛みが軽減したらできるだけ早い運動の開始をおすすめします。五十肩は、初期に強い痛みと炎症が起こります。この時期は、無理に動かすと余計に症状が悪化してしまう恐れがあるため、とにかく安静が大切です。
炎症が落ち着いた後も、肩が動かしづらくなり、腕を上げる動作が困難になる場合があります。重症化すると、服の着脱や髪を整えるといった日常動作にも影響が出ることも少なくありません。
炎症が落ち着いた後は、動かさないと筋肉や関節は余計に固まってしまうため、肩関節の可動域を徐々に広げていく必要があります。痛みの増強に注意しながら、固まった筋肉や関節を伸ばし、肩の動きを改善させましょう。
振り子運動の手順
痛みのある方の腕を振り子のように動かす振り子運動は、コッドマン体操とも呼ばれます。最初は何も持たずに行い、慣れてきたら重りを持って行うとより効果的です。
- 前かがみになり、片方の手をテーブルや椅子で支える
- もう片方の腕を前に垂らす
- 自分の腕の重みを利用し、ゆっくり前後左右に振る
- 前後・左右それぞれ30秒ずつを10回くり返す
振る方の腕は力を入れて「動かす」のではなく、「振る」ことを意識して行いましょう。
痛みがあるときは休もう
痛みがあるときに無理に動かすと、炎症や痛みが悪化する恐れがあります。無理をせず、痛みがおさまるまで運動は休みしましょう。
安静中は、ホットパックやカイロで患部をあたためたり、ゆっくり湯船につかったりするのも有効です。痛みが強くなった、痛みがなかなかおさまらないという場合は、かかりつけの医師に相談ましょう。
リハビリは振り子運動だけでOK?五十肩を改善するコツ

五十肩のリハビリは、振り子運動に加えて複数のストレッチを組み合わせると、より高い効果を望めます。また、事前準備や専門家の指導に沿ったトレーニングプランも、改善を早めるための重要な要素です。
他のストレッチも組み合わせる
五十肩には、振り子運動と肩甲骨や体幹の動きも改善できるストレッチを組み合わせると、より回復効果が高まります。これは、肩関節の動きに肩甲骨や胸部、背骨、骨盤の動きと密接に関係しているからです。
振り子運動と一緒に行うと効果的なストレッチの一例を紹介します。
キャットアンドドッグ体操(肩関節周囲の筋肉をほぐす)
- 四つ這いになり、両手は肩幅に広げて床につける
- 手で床を押しながら骨盤を後ろに引き、背中を丸めておへそをのぞき込むようにする(猫のポーズ)。
- 肩甲骨を背骨に寄せながら背中を反らせ、顔をゆっくり上げて前を見る(犬のポーズ)。
この動きをゆっくり呼吸に合わせて繰り返しましょう。肩や背中の緊張がほぐれ、血流も改善されます。
体操前に肩を温める
体操前に患部をあたためてあげると、肩を動かしやすくなります。肩を温めると血行が促進し、筋肉や関節がほぐされ、肩まわりのこわばりをやわらげる効果に期待できます。
運動前に入浴したり、蒸しタオルで肩をあたためたりするのも効果的です。温熱効果で、気分もリラックスした状態で行えます。
リハビリの専門家に相談する
振り子運動は気軽に自宅で行える点が魅力ですが、自己判断で無理をすると、症状悪化の可能性が高まります。必ずリハビリの専門家に相談し、自分に合った方法で行いましょう。
理学療法士や医師などに相談すると、適切な運動強度や方法を指導してくれます。運動開始前はもちろん、定期的な評価を受けてプランを見直すと、より治療効果は高まるでしょう。
専門家との連携は、安全に行える、精神的な支えになる、継続しやすくなるなど、多くのメリットがあります。
まとめ|五十肩リハビリには振り子運動を!無理のない範囲で毎日コツコツ続けよう

五十肩(ごじゅうかた)とは、肩の関節がかたくなったり、痛くなったりして、思うように動かせなくなる症状のことです。年齢を重ねた人に多く見られますが、日常生活にも大きな影響を与えるため、リハビリがとても大切です。
そのリハビリ方法の一つに、「振り子運動」という簡単な運動があります。これは、自宅でも手軽にできる動きで、肩のまわりの筋肉や関節をやわらかくし、血の流れをよくする効果があります。その結果、肩の痛みがやわらいだり、動かせる範囲(可動域)が広がったりすることが期待できます。
ただし、注意が必要なのは、痛みが強いときに無理をして動かすと、かえって症状が悪くなることがあるという点です。痛みが少しおさまってから、少しずつ無理のない範囲で始めるようにしましょう。
また、「これで本当に合っているのかな?」「やり方が不安…」と思ったときは、理学療法士(りがくりょうほうし)などの専門家に相談するのがおすすめです。自分の体に合った運動のしかたを教えてくれるので、安心して取り組めます。
五十肩は、すぐに良くなるわけではありません。あせらず、自分のペースで、コツコツと続けることが大切です。毎日少しずつでもリハビリを続けていけば、だんだん肩の動きがよくなっていきます。途中であきらめずに、前向きな気持ちで取り組んでいきましょう。