NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 封入体筋炎の症状と治療 | 難病を継続リハビリで乗り越える方法

封入体筋炎の症状と治療 | 難病を継続リハビリで乗り越える方法

封入体筋炎の症状と治療 | 難病を継続リハビリで乗り越える方法

封入体筋炎は50歳以上に発症する慢性の筋疾患です。大腿部や手先の筋力が低下し、階段を昇りにくい、手足に力が入らないなどの初期症状がみられます。

封入体筋炎は現在、有効な薬物治療が確率されておらずリハビリが治療の中心となります。慢性かつ進行性の病気である封入体筋炎のリハビリは具体的にどのようなことが行われるのか気になるかと思います。

高齢化が進む中、封入体筋炎の患者数の増加が予想されています。今回は封入体筋炎の症状や治療方法、リハビリの役割について詳しく解説します。

封入体筋炎になったら…リハビリ!有効な薬物治療はあるのか?

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封入体筋炎という病気について、よく知らない方も多いのではないでしょうか。日本の患者数は1000人〜1500人程度と言われており、比較的珍しい病気です。

まずは封入体筋炎の症状や効果的な治療法の有無について解説します。

難病指定「封入体筋炎」とは

封入体筋炎は難病に指定されており、希少な疾病の1つです。50歳以上の中高年に見られる病気で、男性の方がやや発症しやすい傾向にあります。

封入体筋炎の原因はウイルスの感染や加齢、食事などの関連が推定されていますが、明確な発症のきっかけは特定されていません。家族内で封入体筋炎を発症する人もいますが、非常に稀なケースで現在は遺伝性はないと考えられています。

参考:難病情報センター・封入体筋炎

封入体筋炎の症状

封入体筋炎は大腿部や手指の筋肉が萎縮し、筋力が低下します。初期段階で「座った姿勢から立ち上がるのが困難」「指で物をつまめない」などの症状がみられるのが特徴です。

封入体筋炎は進行性の病気なので、個人差はありますが症状がだんだんと進んでいき、5年〜10年で車いす生活になります。

顔面の筋力が下がることで、嚥下障害や発音障害が生じることもあります。また、足の筋力低下によって転びやすくなりケガや骨折をしたりする可能性も高いので注意が必要です。

封入体筋炎は根治的治療がない

現在、封入体筋炎の根本的な治療方法は確立されていません。皮膚筋炎や多発性筋炎に有効なステロイドが使われることもありますが、十分な効果が期待できないことが多いのが現状です。

そのため現在の治療方法は、運動療法などのリハビリや歩行時などの膝折れ防止や杖などの装具の活用をして、症状の悪化を遅らせることや生活を送りやすくすることを中心に行われます。

また、嚥下障害がある場合は食事内容を工夫したり、胃瘻を造設したりすることもあります。

【封入体筋炎】進行を遅らせるには適切なリハビリを続けよう

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封入体筋炎の根治的治療がない現状ではリハビリによって症状の進行を遅らせながら、日常生活を送りやすい工夫をする必要があります。

ここでは封入体筋炎の治療で行うリハビリについて詳しく解説します。

封入体筋炎は進行性の病気

封入体筋炎は徐々に進行する病気で、数週間で歩行不能になるような急激な変化はありません。多くの場合は発症後5年前後で日常生活に支障をきたすようになり、個人差はありますが10年以内に車いす生活になります。

さらに症状が進むと食事の介助やトイレの介助も必要になります。また嚥下障害が進むと誤嚥性肺炎の危険性も高まります。

封入体筋炎の進行を遅らせて、日常生活の支障を和らげるためにも適切なリハビリが必要になります。

参考:東京逓信病院・多発筋炎・皮膚筋炎・封入体筋炎などの炎症性筋疾患

封入体筋炎の主な治療はリハビリ

封入体筋炎の主なリハビリは以下の3つに分けられます。

1,物理療法

物理療法は電気刺激や超音波、温熱などの物理的刺激で症状を軽減します。血流の改善を行うことで、筋肉の機能改善を促す効果が期待できます。

2、運動療法

運動療法とは運動を行うことで障害や症状の改善、予防を行うことです。封入体筋炎の場合は、筋力低下や歩行障害の改善のために筋力トレーニングやストレッチなどの運動を主に行います。

3、作業療法

作業療法は食事や入浴など日常的に必要な動作の訓練を行うほか、精神面のケアなども行います。また、日常生活を送りやすくするように、自助具や装具の提案を行うことも作業療法の1つです。

嚥下障害の対処法やリハビリ

封入体筋炎になると嚥下障害を発症する可能性が高いです。嚥下障害になると誤嚥性肺炎や窒息などの危険性もあります。嚥下障害も進行していく疾患なので、食事内容を変更したり、食べるために必要な筋肉を動かしたり、刺激を加えたりするリハビリを行います。

また、輪状咽頭筋を切除して、食べ物の通過を容易にする「輪状咽頭筋離断術」やバルーンを用いて食堂の狭窄部を内側から広げる「バルーン拡張法」も封入体筋炎における嚥下障害に対して有効であるとされています。

封入体筋炎のリハビリを続けるためには周囲のサポートが大切

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封入体筋炎はゆっくりと進行していく病気なので、本人も気づかないうちに進行している場合があります。リハビリを続けるためにも、日常生活をスムーズに行うためにも周囲の病気への理解とサポートがとても大切です。

封入体筋炎になったら転倒に注意

封入体筋炎は大腿部と手先の筋力の低下が見られる病気です。そのため、「階段が昇りにくい」「座った姿勢から立ち上がりにくい」などの症状が特徴で、転倒しやすくなります。転倒をすると骨折などのケガのリスクも高まります。

症状が進むにつれて、今まではなんともなかった段差が登れず転倒してしまうこともあるので、周囲のサポートや杖などの補助具を検討する必要があります。

リハビリには周囲のサポートが必要

リハビリの成果には本人の意欲が大きく関係します。本人が目標をしっかりもち、意欲的に取り組むことで驚くような回復がみられる場合もあります。

しかし、人間誰しも意欲が低下したり、マイナス思考に陥ることもあるでしょう。患者さん1人でリハビリを続けていくのはとても困難なのです。家族や周囲が封入体筋炎という病気の理解を深め、サポートすることが何よりもリハビリの成果を高めてくれます。

封入体筋炎の症状とリハビリに関するよくある質問 (FAQ)

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Q1:封入体筋炎とはどのような病気ですか?

封入体筋炎は、50歳以上の中高年に発症する慢性の筋疾患で、厚生労働省の指定難病の一つです。大腿部や手指の筋力低下が主な症状で、「座った姿勢から立ち上がりにくい」「指で物をつまめない」といった症状が初期に現れます。

Q2:封入体筋炎に根治的な治療薬はありますか?

現在のところ、封入体筋炎の根本的な治療方法は確立されていません。他の筋炎に有効なステロイドも、封入体筋炎に対しては十分な効果が期待できないことが多いです。そのため、主な治療は症状の進行を遅らせるためのリハビリテーションと、装具の活用などによる日常生活を送りやすくするための工夫が中心となります。

Q3:リハビリテーションでは具体的にどのようなことを行いますか?

リハビリテーションは主に以下の3つに分けられます。

  1. 物理療法: 電気刺激や温熱などで血流を改善し、筋肉の機能改善を促します。
  2. 運動療法: 筋力低下や歩行障害の改善のために、筋力トレーニングやストレッチなどを行います。
  3. 作業療法: 食事や入浴などの日常生活に必要な動作の訓練や、自助具・装具の提案、精神面のケアなどを行います。

Q4:封入体筋炎になると嚥下障害が起こりますか?

はい、封入体筋炎が進行すると顔面の筋力低下により嚥下障害(物を飲み込みにくくなる)を発症する可能性が高いです。嚥下障害のリハビリとして、食べるために必要な筋肉を動かしたり、食事内容を工夫したりします。進行すると誤嚥性肺炎や窒息のリスクも高まります。

Q5:封入体筋炎のリハビリを続ける上で、特に大切なことは何ですか?

リハビリの成果を高めるためには、患者さん本人の意欲が重要ですが、それ以上に周囲のサポートが非常に大切です。封入体筋炎は進行性の病気で、転倒リスクなども高まります。家族や周囲が病気を深く理解し、精神的なサポートや日常生活の介助を行うことが、質の高いリハビリを継続し、日常生活の質を維持するために不可欠です。

まとめ|封入体筋炎のリハビリ

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封入体筋炎は、その原因がまだ完全にはわかっておらず、残念ながら今のところ根本的な治療法も見つかっていません。この病気はゆっくりと、しかし確実に進行していくため、私たちにできることは、リハビリを通じて症状の進行をできるだけ抑え、杖や装具を上手に活用しながら、その人らしい生活を長く続けていくことです。

そして何より大切なのは、リハビリを前向きに続けていくための環境です。質の高いリハビリはもちろん必要ですが、患者さん自身の気持ちに寄り添い、ご家族や身近な方々が理解し、支えてくれる温かいサポートが、諦めずに歩き続けるための大きな力になります。

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