NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム 【脳卒中後の手の硬直の治し方】自宅でできるセルフケアや治療法を徹底解説

【脳卒中後の手の硬直の治し方】自宅でできるセルフケアや治療法を徹底解説

【脳卒中後の手の硬直の治し方】自宅でできるセルフケアや治療法を徹底解説

手の硬直に悩んでいる人にとって、日常生活における不便さは大きなストレスになります。特に脳卒中を経験された方にとっては深刻な悩みの1つです。しかし、適切なケアと治療を継続していくことで硬直を改善することができます。

今回は、自宅で簡単にできる効果的な手の硬直の治し方や、治療法とその効果について詳しく解説します。手の硬直の治し方は、日々の生活の質を向上させるステップです。正しく理解してセルフケアを実践しましょう。

脳卒中後の手の硬直…治し方を知ることで日々の生活のストレス低下に

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手が硬直すると様々な場面で不便さを感じてしまい、大きなストレスにつながります。脳卒中後における手の硬直の原因を理解し、治し方を日々の暮らしに落とし込みましょう。

硬直の原因に脳卒中の後遺症が考えられる

手が硬直する原因の1つに、脳卒中の後遺症が考えられます。脳卒中とは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血の3つの病気の総称です。脳卒中は脳の血管が損傷することで血液が行きわたらず、その結果、脳細胞に損傷をきたし後遺症が残ります。

脳卒中の後遺症は以下のとおりです。

  • 運動障害:自分の意思で体を動かせなくなる運動麻痺・筋肉の硬直(痙縮)
  • 感覚障害:しびれなどの感覚麻痺
  • 認知障害:言語障害・構音障害・嚥下障害

脳卒中により、脳の「錐体路」と呼ばれる運動を支配する神経回路が損傷を受けると、筋肉が常に緊張した状態の「痙縮」を引き起こします。次第に、痙縮している部位の筋肉や関節が硬くなり、動かせなくなる状態が「硬直」です。

手の硬直を悪化させる原因は、長時間の同一体位による血行不良、筋肉の疲労の蓄積や冷えなどが要因と言われています。脳卒中のほかに、手が硬直する病気は、関節リウマチ・パーキンソン病・筋強直性ジストロフィー・頚椎症や手根管症候群などの腱や関節の病気・てんかんです。

手の硬直が日常生活に及ぼす影響

手が硬直すると様々な場面で日常生活に影響を及ぼします。筋肉や関節が硬直すると、次第に痛みが生じ、リハビリ意欲の低下につながります。特に手は「にぎる」「つまむ」「押す」「触る」「持つ」など様々な役割があるため、これらの動作に支障があると、日常生活でストレスを感じやすくなります。

脳卒中後の手の硬直によって不便さを感じている動作は以下のとおりです。

  • 手首が曲がったまま伸びず、ものをつかみにくい
  • 手の指が曲がったまま伸びず、手洗いや爪切りがしにくい
  • 硬直部位に痛みが生じたり、手首が伸びないため、着替えがしにくい

これらの症状が悪化すると、慢性的な痛みを伴うようになります。さらに症状が進行すると、関節が動かせなくなるため、常に介護が必要になるでしょう。

参考:東京女子医科大学附属足立医療センター脳神経外科「手足のつっぱり」

手の硬直をの治し方|自宅で実践できる痛みの緩和方法・ケア方法とは?

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手の硬直や痛みを改善するには日常的なセルフケアが重要です。手を温めることやマッサージすることで硬直を改善したり痛みを緩和することができます。

手を温めて痛みを緩和する

手の硬直に痛みが伴う場合、手を温めることで痛みを緩和することができます。寒さや冷えは血行を悪くさせ、硬直の症状を悪化させてしまいます。特に手は外気と接触しており、冷えやすいので意識的に温めてあげることが重要です。

手を温めるには、入浴するのがおすすめです。入浴する際には、湯船に浸かって手を温めながらマッサージするとリラクゼーション効果があり痛みを緩和できるほか、筋肉や関節を柔らかくするため効果的です。

  • 温かい水で手を洗う
  • 使い捨てカイロを使用する
  • 手袋を着用する
  • 寝る時は体が冷えやすいので湯たんぽを使用する

手の硬直の治し方を実践する前に、痛みを緩和する対策を実践していきましょう。特に、身体の冷えを改善することは、基礎体温が高くなり新陳代謝が向上するので疲労回復に効果的で、免疫力が高まるなど体調管理にも役立ちます。

手のマッサージをする

自宅でおこなうケアとしては、硬直部位のマッサージが有効です。毎日、定期的に硬直部位を触ってあげることで、気温の変化などによる関節の硬さや痛みなども感じられるようになります。

具体的なマッサージの方法としては、まず痛みのある部位から優しくマッサージをします。手のひらを使い、手首から指先に向かって丁寧にマッサージすると良いでしょう。

楽な姿勢でリラックスしながら行うことが重要なため、深呼吸をしながらアロマやお気に入りの香りのハンドクリームを使用しながらマッサージを行うのも効果的です。毎日継続することが大切なので、入浴中やテレビを見ながら負担のない範囲で実践してみてください。

麻痺のある部位は痛みや刺激に敏感になっているため、マッサージ中に痛みを伴うことがあります。痛みを我慢しながらマッサージをするのは逆効果です。マッサージする前に手を温めて痛みを緩和しながら、マッサージを始めるようにしましょう。

〈脳卒中後〉手の硬直の治し方に効果的な専門治療とその効果は?

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手の硬直を改善するのに有効なのは、医療機関における専門的な治療です。治療はリハビリテーションやボツリヌス療法、薬物療法が効果的と言われています。それぞれ詳細を確認していきましょう。

リハビリテーションを行う

硬直による痛みや可動域を改善させるにはリハビリテーションが重要です。麻痺した部位を積極的に動かすことで、脳と筋肉の正常な神経伝達回路を回復することができ、手の動きを改善する可能性があります。

リハビリテーションの方法をいくつか紹介します。

  • 関節可動域訓練…手の関節の柔軟性と動かしやすさを維持、または向上させる訓練のことです。指の曲げ伸ばしや手首の回転運動を行います。
  • 促通反復療法…同じ動作を繰り返し実行することで、大脳から脊髄までの神経回路を再構築する治療法です。1つの運動パターンにつき、数分間で100回程度、同じ動きを繰り返します。
  • ストレッチ…筋肉が伸びた状態を維持することで、筋肉の硬直を改善することが可能です。痛みのない範囲で、筋肉を伸ばした状態を約30〜60秒維持しましょう。2〜3セット行うとストレッチ効果が高まります。
  • 温熱療法…硬直部位を温めることで、筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和させる治療法です。リハビリ開始前に行うことが推奨されています。
  • 装具療法…関節の良肢位の維持や関節拘縮予防の目的で使用する場合があります。

リハビリは、自宅でも継続しておこなうことが重要です。医師や理学療法士の指導のもと、現状の共有や目標を明確にし、それに基づいたリハビリプランを作成しましょう。

ボツリヌス療法で硬直部位に注射をする

手の硬直の治し方としてはボツリヌス療法も有効です。ボツリヌス療法では、筋肉の緊張を和らげることで痛みや関節可動域の改善が期待され、日常生活動作やリハビリを行いやすくなります。

ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が作り出すタンパク質のボツリヌストキシンを有効成分とする注射製剤のことです。ボツリヌス療法の副作用に、薬の効きすぎによる筋力低下や脱力感・疲労感、注射部位の皮下出血や腫れがあるので理解しておきましょう(一時的な副作法)。

参考:日本赤十字社秋田赤十字病院「手足の痙縮外来(ボツリヌス療法外来)

症状を抑える内服薬を服用する

内服薬には神経に作用して神経物質の伝達の興奮を抑え筋肉の緊張を和らげるものや、筋肉に作用して、筋肉の緊張を和らげる働きのものがあります。これらの薬剤は眠気や筋力低下、脱力感、ふらつきなどの副作用があり注意が必要です。拘縮により痛みが生じている場合は鎮痛剤を併用します。

手の硬直の治し方は、程度や痛み、持病によって内服薬の処方は変わるため、医師の診察を受ける必要があります。内服薬は、医師の指示通りに服用する必要があり、内服薬の管理が困難な場合は、家族の方のサポートが必要です。

内服薬で症状コントロールが難しい場合、バクロフェン髄注療法が検討されます。

まとめ|手の硬直の治し方

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手の硬直とは、指や手首をうまく動かせず、こわばってしまう状態のことです。原因としては、脳卒中の後遺症などがあげられます。手は、食事をしたり文字を書いたりなど、日常生活で大切な役割を担っているため、硬直があると多くの動作に支障が出てしまいます。

手の硬直を和らげるための代表的な方法には、次のようなものがあります。

  1. リハビリテーションを行う
    • 専門家の指導のもと、指や手首を少しずつ動かして筋肉や神経を刺激し、硬直をやわらげていきます。
  2. ボツリヌス療法で注射をする
    • こわばった筋肉にボツリヌス毒素の注射を打ち、硬直をやわらげます。効果は一定期間続きますが、定期的な治療が必要な場合もあります。
  3. 症状をおさえる内服薬を飲む
    • 病気の状態や体質に合わせて、筋肉のこわばりを軽減する薬を服用します。

これらの治療法は、病気の状態や硬直の程度によって異なるため、硬直の専門治療を行っている医師に相談することが大切です。

また、自宅でできるセルフケアも効果的です。たとえば、手や腕を温めたり、ゆっくりマッサージをしたり、無理のない範囲で動かしたりすることで、筋肉のこわばりをやわらげることができます。毎日少しずつケアを続けることで、手の硬直による日常生活の不便を減らすことが期待できます。

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