
高血圧を改善すると脳梗塞のリスクは軽減する!メカニズムと対策方法とは
2025.02.21

「高血圧は身体に悪いイメージがあるけど、脳梗塞との関係がわからない」、「高血圧を改善するには何を気を付ければいいの?」このような疑問を抱えているかたに、高血圧と脳梗塞との関連について解説します。
結論から言うと、高血圧の状態が続くと脳梗塞の危険を高めてしまいます。具体的に、最高血圧160mmhg以上は3.46倍、最低血圧95mmhg以上は3.18倍脳梗塞の危険が高まることが報告されています。
本記事では、高血圧と脳梗塞のメカニズムと自分でできる改善方法について解説します。
目次
高血圧はなぜ起こる?脳梗塞のメカニズムの前に知りたい基礎知識

日本人のおよそ3人に1人が高血圧と言われるほど、高血圧は身近な問題です。そもそも高血圧とはどのような症状なのでしょうか?
高血圧の基礎的な部分を解説していきます。
高血圧の定義と原因
血圧の値がどこまで高くなってから高血圧と呼ばれるのでしょうか?高血圧と呼ばれる定義が決まっているので覚えておきましょう。
<高血圧の定義>
- 最高血圧が140mmhg以上
- 最低血圧90mmhg以上
私たちは、高血圧になっても自覚症状はありません。自分で血圧を測るときは上記の数値を超えてないかチェックしてください。
ところで、国民病とも言われる高血圧は何が原因なのでしょうか?高血圧の原因は主に2種類あると言われています。
<高血圧の原因>
- 本態性高血圧(遺伝、生活習慣が原因)
- 二次性高血圧(腎実質性、腎血管性、内分泌性などが原因)
高血圧の9割が原因不明の本態性高血圧症と言われています。遺伝的要素もありますが、運動不足や乱れた食習慣など、生活習慣が問題です。逆に二次性高血圧症は高血圧の原因を治療することで改善すると言われています。
高血圧になりやすい人
高血圧は生活習慣病の1つと言われ、生活習慣が乱れることによって発症します。高血圧になりやすい人には以下のような特徴があります。
<高血圧になりやすい人の特徴>
- 過剰な塩分摂取
- 肥満
- 過剰な飲酒
- ストレス
- 運動不足
- 喫煙
食の欧米化や加工食品を食べる習慣が広がった事で生活習慣病にかかる人が増えています。他にも、年齢を重ねて運動不足になることも高血圧を引き起こす原因となります。
高血圧が引き起こす病気
高血圧の状態が続くと、命に関わるような病気を引き起こしてしまいます。高血圧は血管に負担がかかるため、脳や心臓といった大事な臓器にトラブルを起こしてしまうのです。
<高血圧が引き起こす病気>
- 脳出血
- 脳梗塞
- 大動脈瘤
- 腎硬化症
- 心筋梗塞
- 眼底出血
- 心不全
高血圧を完全に予防できれば、年間10万人以上の人が亡くならずにすむと推計されています。高血圧はさまざまな病気を引き起こす原因となることを覚えておきましょう。
高血圧の人はなぜ脳梗塞になりやすい?メカニズムを解説

脳梗塞を発症するほとんどの人が高血圧の状態です。脳梗塞とは、脳の血管に血の塊(血栓)がつまる病気ですが、なぜ高血圧が原因になるのでしょうか?
高血圧と脳梗塞の関係とメカニズムについて解説します。
高血圧は血管に負担を与える
血圧とは、心臓から全身に血が送り出されるときに加わる血管への圧力の事を言います。この圧力が強くなると血管に負担を与え、次第に血管が硬くなります。血管が固くなることを動脈硬化といい、この動脈硬化が脳梗塞の原因になるのです。
血管への負荷が動脈硬化を引き起こす
血管に負担がかかることで動脈硬化が進行します。動脈硬化がどのように進行するのか?具体例をまとめました。
<動脈硬化のメカニズム>
- 血管の壁にコレステロールが侵入する
- 喫煙によって血管の内側にダメージを与える
- 老化が原因で血管壁が硬くなる
高血糖や高脂血症の状態は血液がドロドロになり、血管の内側にコレステロールが付着しやすくなります。動脈硬化が進行すれば、血管が狭くなり、脳の血管に血栓がつまりやすくなる状態になります。
脳梗塞を引き起こさないためにも、動脈硬化を予防するようにしましょう。
脳出血を引き起こす恐れも
高血圧の状態が続くと、脳梗塞だけでなく、脳出血を起こす原因になります。高血圧の程度が強ければ脳の微細な血管が破裂してしまいます。他にも動脈瘤というコブが作られ、動脈瘤破裂によるくも膜下出血を引き起こす事もあるため注意しましょう。
脳出血は致死率も高く、怖い病気です。後遺症に苦しむ方もたくさんいるため、今から高血圧の対策をしてください。
高血圧で脳梗塞になりやすいメカニズムがわかった!改善方法は?

放っておくと怖い高血圧ですが、自分でできる解決方法もあるので紹介します。病院では血圧を下げる薬も処方されますが、それよりも生活習慣病の改善が重要です。高血圧の改善方法について解説します。
1日2回の血圧測定をする
高血圧の人は、1日2回血圧を測るようにしましょう。血圧は精神状態に影響を受け、容易に数値が変わってしまうので、リラックスできる自宅で測ってください。詳しい測り方は以下のとおりです。
<正しい血圧の測り方>
- 5分~10分安静にしてから測る
- 毎回、同じ条件で測る(同じ腕で測る、座った状態で測るなど)
- 血圧計は腕と同じ高さにする
- タイミングは起床後1時間以内と就寝前の2回
正しい数値を記録するために、上記の測り方を参考にしてください。1日の中で血圧は大きく変動するので2回測ることが推奨されています。
変えられそうな生活習慣を見つける
高血圧改善のためには生活習慣を変える必要があります。特に食事と運動は高血圧改善に効果的ですので、小さな事から変えてみましょう。
<生活習慣改善のヒント>
- 減塩を心がける(醤油より酢を使うなど)
- 肉より魚料理を意識して食べる
- 野菜や果物を食べる
- 飲酒する人は休肝日を作る
- 意識して階段を使う
- 1日7~8時間寝る
- タバコをやめる
生活習慣改善のポイントは「継続すること」です。1度にたくさんの事を始めようとすると継続が難しいので、自分にとってハードルの低いものからチャレンジしましょう。
高血圧を防ぐ住環境を整える
高血圧を改善するために、温かい住環境で過ごす事も大事です。寒い環境では身体がストレスを感じ、血圧が上昇してしまいます。断熱や床暖房が効いている住まいの人は血圧が低いという報告もあるほどです。
寒い冬場は体に負担をかけないような住環境を意識しましょう。特に、足元を冷やすと血圧が上昇してしまうので、暖房の他にルームシューズなどを使う事もおすすめします。
まとめ|高血圧が脳梗塞に影響するメカニズム

高血圧は、日本人の約3人に1人が当てはまると言われる、とても身近な生活習慣病の1つです。血圧が高い状態が続くと、血管に大きな負担がかかり、動脈硬化が進んでしまいます。さらに、この動脈硬化が悪化すると、脳の血管がつまってしまう脳梗塞など、重大な病気を引き起こす可能性があります。
このような病気を防ぐためには、まず生活習慣を変えることが大切です。例えば、塩分の多い食事をひかえたり、野菜や果物をしっかり食べたりするなど、バランスの良い食事を心がけましょう。また、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの運動も効果的です。無理なく続けられる運動を習慣にすると、血圧をコントロールしやすくなります。
さらに、意外かもしれませんが、住環境を整えることも高血圧の改善に役立ちます。特に冬場は足元が冷えると血圧が上がりやすくなるので、暖かい靴下やスリッパを使ったり、室温を適度に保ったりして、足元を冷やさないように工夫しましょう。寝室の温度を調節する、浴室と脱衣所に暖房器具を置くなどの対策もおすすめです。
このように、高血圧を予防・改善することで、脳梗塞などの重大な病気を引き起こさないように気を付けることができます。日々のちょっとした心がけが、大きな健康リスクを減らすことにつながるのです。自分や家族の健康を守るためにも、できることから少しずつ始めてみましょう。