
【体の痛みや不調を改善!】フェルデンクライスの特徴と具体的な方法を解説
2025.09.03

「フェルデンクライスってどんな運動なの?」「ヨガがピラティスとはどう違う?」などの疑問を持つ方もいるでしょう。
フェルデンクライスとは、イスラエルの学者である「モーシェ・フェルナンデス」が開発した、身体の動きを通じて心身の動きの学習や改善を促すメソッドです。整体やマッサージによる「矯正」ではなく、自分自身で「動きに気づいて変わる」という点が大きな特徴です。
フェルデンクライスメソッドは、加齢や病気の影響で心身に不調を抱える方に効果的とされています。フェルデンクライスの特徴やリハビリ効果を高める方法を理解して、積極的に取り入れていきましょう。
目次
フェルデンクライスとは?体の不調を改善する体操の仕組みを解説

フェルデンクライスは、自分の動きに気づき、修正を加えて楽な動作を再獲得するメソッドのことを指します。他の体操やリハビリとは違い、「自分で考えて動きを変える」という点が大きな特徴です。
動きを使った学習法で姿勢や動作を変える
フェルデンクライスは単なる運動方法の1つに見えますが、実際は脳と神経に働きかける「学習法」です。具体的には、以下のような「動きを通じた気づき」を用いた方法で運動します。
<フェルデンクライスの例>
- 膝を立てて仰向けに寝る
- ゆっくり膝を左右に倒す
- 腰や背中と床の接地感や呼吸の変化を観察する
- 左右の違いを感じて、楽な倒し方を見つける
注意深く自分の動きと向き合い、「楽に動ける方法を見つける」ことが大切です。
神経系に働きかけて楽な動きを獲得
フェルデンクライスは、脳の運動学習を利用し、運動をコントロールする仕組みがあります。具体的には、「動いた結果どうだったか?」「左右の違いや楽な動きはあったか?」など自分の動きに注意を向けるのが特徴です。
私たちの日常生活動作は、人によって動きの癖があり、癖によってトラブルが起こる可能性もあります。フェルンデンクライスの運動学習を利用することで、癖によるトラブルや、身体の不調を改善する効果に期待できるでしょう。
痛みなどの不調を改善
慢性的な痛みや違和感などは、「不適切な運動プログラム」によって引き起こされる可能性もあり、動きの癖が問題となることが多いです。フェルデンクライスで動きの癖を改善すると、関節の痛みを改善できる可能性があります。
具体的には、以下のような機序で体の不調が改善できると期待されています。
- 効率的な動きで関節の負担が減る
- 筋肉の緊張が緩和して痛みが改善する
- 動作のエラーが改善し、身体や心がリラックスする
フェルデンクライスで楽な動きを獲得すると、筋肉や関節への負担が減るため、痛みの緩和や不調の改善が期待できます。また、負担の少ない動作を繰り返すことで、慢性的な痛みの緩和も期待できるでしょう。
参考:フェルデンクライス・ジャパン「フェルデンクライスってなに?」
フェルデンクライスの具体的な方法は?2つの方法で動きを変える

フェルデンクライスは、具体的には2つの方法があると言われています。主に、グループや個人の「AwarenessThroughMovement」や個人セッションの「FunctionalIntegration」があり、段階的に効果が高まるのが特徴です。
ここでは、フェルデンクライスの具体的な方法を紹介します。
グループレッスンで体の気づきを得る
フェルデンクライスのグループレッスンでは、口頭の支持にしたがって動きを繰り返し、自分の身体の感覚を感じていきます。この時、インストラクターは手本を示さず、口頭支持のみを行うのがポイントです。
首や肩、骨盤の動きを自ら行い、「楽に動けるのはどのような動かし方か?」を見つけていきましょう。正しい動きよりも、自分にとって楽に動ける方法を見つけるのが重要です。
マンツーマンで新しい動きの発見
フェルデンクライスのマンツーマンセッションは、FI(FunctionalIntegration:機能的統合)と呼ばれる方法で、プラクティショナーが直接手で動きを導くのが特徴です。プラクティショナーに無理なく動かされる刺激で、新たな動きを再学習するのが目的です。
「身体を楽に動かす方法や感覚がわからない」という方は、マンツーマンで動きを教えてもらうとよいでしょう。しかし、ただセッションを受けるだけでは十分な効果が得られない可能性があります。
身体の不調を改善するには、導いてもらった動きを自宅でも練習し、無理のない動きを獲得することが大切です。
生活動作や運動との結び付け
フェルデンクライスで大切なのが、楽な動きを生活動作に結び付け、生活の質を向上させることです。マンツーマンセッションとグループセッションを組み合わせ、動きの再学習と定着を目指し、歩行や立ち座りなどの基本動作を改善させます。
例えば「歩行」に着目すると、フェルデンクライスは以下のような効果が期待できます。
- 全身の協調性が整い歩きがスムーズになる
- 余分な力みが取れて無駄な動きがなくなる
- バランス感覚が改善し、歩行が安定する
- 関節の痛みが減り、歩行への不安が減る
フェルデンクライスは、歩行のみならず、他の動きやスポーツ動作にも良い影響を与えるといわれています。
参考:フェルデンクライスアカデミーワイズグループ「フェルデンクライ・メソッドとは」
フェルデンクライスの注意点と効果を上げるポイントについて!

フェルデンクライスは、新たな動きを獲得することで、身体の不調改善に期待できるといわれています。ただし、やみくもに手足を動かしても期待されるような効果を得られない可能性もあるため、効果を上げるポイントを押さえておくことが大切です。
落ち着いた環境で感覚を研ぎ澄ます
フェルデンクライスは、自分の身体に集中できる環境で行う必要があります。グループやマンツーマンセッションでは環境に配慮されていますが、自宅で行う際は注意が必要です。
- スマホやテレビの電源を切り、静かな環境で行う
- 動きやすい服装で行う
- 床よりもヨガマットがおすすめ
余計なストレスを感じてしまうと、自分の動きや感覚に集中できないため、運動を行う環境や運動時の服装まで注意して行いましょう。
呼吸を止めずに楽な動きを目指す
フェルデンクライスは、楽な動きを獲得するのが目的です。そのため、息が止まるような負荷や動きで行うと、逆効果になる可能性があります。フェルデンクライスを行う際は、適切な運動を適切な負荷で行うことが大切です。
意図的に呼吸法を気にする必要はなく、「自然な呼吸」を心がけてセッションを受けるのが良いでしょう。
積み重ねと休養も大切にする
フェルデンクライスは、即効性を期待する運動ではないため、継続して行うのが大切です。休養を挟みながら気長に行うと、徐々に新たな動きの獲得と定着に期待できるでしょう。
他にも、休みを取り入れるとフェルデンクライス本来の目的である「小さく、楽に動く」というのが実現されやすくなります。身体の不調を改善するためにも、焦らずに動作の再獲得を目指しましょう。
まとめ|フェルデンクライスで楽な動きを覚えて不調を改善しよう

フェルデンクライスは、特別な筋トレやきつい運動ではなく、「自分の体の動きに気づくこと」を大切にする運動です。体を無理に鍛えるのではなく、脳に働きかけて新しい動きを身につけることで、肩こりや腰痛などの不調を改善していくことを目的としています。
レッスンには大きく分けて2種類あり、グループレッスンと個人レッスンがあります。グループでは他の人と一緒に学びながら自分の体の変化に気づくことができ、個人レッスンでは先生が直接サポートしてくれるため、より細かく自分の体を理解できます。この2つを組み合わせることで、「他の人や先生からの気づき」と「自分自身の気づき」が重なり、動きの変化がより大きく現れるのです。
また、運動中に疲れたときは無理せず休むことも大切です。人はそれぞれ、長年の「体の動きのクセ」を持っていて、それを変えるには時間がかかります。だからこそ、毎日の小さな積み重ねが重要で、続けることで少しずつ不調の少ない体へと近づいていきます。