
脳血管性認知症の初期症状を徹底解説:進行リスクと早期対策のポイント
2025.03.26

一言に認知症といってもさまざまな種類がありますが、アルツハイマー型認知症に次いで多い症例が、脳血管性認知症です。脳の血管障害によって引き起こされる認知症で、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も、原因のひとつとなっています。
脳血管性認知症の初期症状がみられた場合には、早めに病院を受診し、治療を開始することが重要です。この記事では、脳血管性認知症の原因や初期症状、治療方法などを紹介しています。
それぞれの内容を理解し、適切な方法で予防に取り組みましょう。
目次
脳血管性認知症の初期症状から末期症状…アルツハイマー型認知症との違い

脳出血や脳梗塞など、脳卒中をきっかけに発症することが多い脳血管性認知症は、障害が起こった部位によってさまざまな症状がみられます。
脳血管性認知症の特徴を理解し、初期症状がみられた場合は早めに専門医へ相談することが重要です。
脳血管性認知症とは?
脳血管性認知症は、脳卒中や脳梗塞など、脳の血管障害によって生じる認知症です。アルツハイマー型認知症の次に多い認知症で、認知症全体の20%を占めています。
アルツハイマー型認知症の場合、記憶障害や判断力の低下などの症状が現れ、なだらかに進行していきます。脳血管性認知症の場合は脳の障害が起こった部位によって症状が異なり、段階的に進行していくことが特徴です。
脳の障害を受けていない部位の機能は正常に保たれるため、できることとできないことの能力差が生じ、まだら認知症とよばれることもあります。
脳血管性認知症の初期症状
脳血管性認知症の初期症状は、脳の障害が起こった部位によって症状が異なります。以下の特によくみられる初期症状がみられた場合は、早めに専門医へ相談するようにしましょう。
- 意欲低下
- 失語:言葉によるコミュニケーションが難しくなる
- 失行:身体機能に障害はないのに簡単な日常動作ができなくなる
- 失認:感覚器に異常はないのに物や人の顔を認識できない
脳血管性認知症は、さまざまな症状が併発することがあり、調子の波が大きいことが特徴です。
脳血管性認知症の中期〜末期にみられる症状
脳血管性認知症が中期になると、嚥下障害・歩行障害・排尿障害などがみられるようになります。末期になると、認知機能障害や運動障害が重度になり、寝て過ごす時間が長くなります。そのため、常時介護が必要となることも少なくありません。
脳血管性認知症は、脳血管障害の再発や転倒などに注意することで、急激な症状の悪化を防ぐことができます。リハビリに取り組みながら、脳血管障害の再発防止にも取り組むことが大切です。
脳血管性認知症の原因は何?初期症状がみられてからの治療方法

脳の細胞は一度死んでしまうと戻ることはないため、脳の神経細胞が失われてしまう脳血管性認知症は、現在も根本的な治療法は確立されていません。
薬を用いて血圧をコントロール・生活習慣の見直し、などによって脳血管障害を予防することが重要です。
脳血管性認知症の原因
脳血管性認知症は、脳出血や脳梗塞など、脳の血管障害が原因で発症します。そのため、脳血管障害のリスクを高めるような生活習慣に注意が必要です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙
- ストレス
大きな脳梗塞や脳出血で発症するだけでなく、小さな脳血管障害を繰り返して認知症が進行することもあります。
脳血管性認知症の経過と進行
脳血管性認知症の症状は、階段状に進行することが特徴です。
脳血管障害が起こったタイミングで症状が一気に悪化し、その後は現状維持または一時的に改善がみられます。しかし、脳血管障害を再発すると、一気に症状が進行するのです。そのため、症状が安定している場合でも、突発的に新たな症状が加わる可能性があります。
薬物療法と非薬物療法
薬物療法では、脳血管障害を防ぐために、高血圧薬や脳血流改善薬などを用いながら治療を行います。また、抑うつ状態や無気力状態の対症療法として、抗うつ剤が処方されることもあるでしょう。
非薬物療法では、食事・運動・睡眠の改善の指導など、生活習慣の見直しが行われます。その他にも、リハビリを取り入れて運動機能の回復を図ることも大切です。
参考:医療法人丹沢病院「血管生認知症とは?特徴・症状や原因、治療方法を医師が解説」
脳血管性認知症の平均余命は?予防のためにできること

脳血管性認知症の発症後は、脳血管障害の再発予防に取り組むことが重要です。予防のためにできることを理解し、主治医や専門家のアドバイスのもと、生活習慣の見直しやリハビリなどを適切に取り入れていきましょう。
脳血管性認知症の再発に注意
脳血管性認知症は、脳血管障害が再発することで悪化していく可能性があります。そのため、薬やリハビリを適切に取り入れて、脳血管障害の再発を防ぐことが重要です。
脳血管性認知症は、脳血管障害が再発すると症状が急激に進行する恐れがあるため、アルツハイマー型認知症よりも余命が短いとされています。日頃から家族や介護者が、症状の変化を注視しておくことも大切です。
参考:朝日生命「脳血管認知症とは?主な症状や進行・原因・診断・治療まで詳しく解説」
生活習慣を見直す
生活習慣を見直すことは、脳血管障害の予防につながり、間接的に脳血管性認知症を防ぐことにもなるのです。
具体的には、食事・喫煙・運動・過度な飲酒などがあげられます。食事の際、血圧の高い方は塩分・血糖値の高い方は糖の取り過ぎを意識するとよいでしょう。
適度な運動を取り入れる
脳血管障害は、ストレスや運動不足などの要因でもリスクが高まります。運動不足とストレス解消のためにも、軽いウォーキングやラジオ体操など、適度な運動を取り入れることがおすすめです。
また、一人での運動が難しいという方は、通所・訪問リハビリを取り入れてみてもよいでしょう。
まとめ|脳血管性認知症の初期症状がみられたら早期治療が大切

脳血管性認知症とは、脳の血管に問題が起きて血流が悪くなり、脳にダメージを受けることで起こる認知症の一種です。たとえば、脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)を起こしたあと、意欲低下(やる気がなくなる)、失語(言葉がうまく出ない)、失認(物や人を見ても何か分からなくなる)といった初期症状が見られることがあります。もし脳血管障害の発症後にこうした症状が出たら、できるだけ早く主治医や専門家に相談しましょう。
現在、脳血管性認知症を完全に治すための根本的な治療法はまだ確立されていません。しかし、薬を使った治療や生活習慣の見直し、適度な運動・リハビリなどを取り入れることで、症状の進行を遅らせることが期待できます。
ほかの認知症と同様に、脳血管性認知症でも早期発見・早期治療がとても大切です。少しでもおかしいなと思う症状がある場合は、我慢せずに早めに主治医や専門医の診察を受けるようにしましょう。症状に合った治療やリハビリを行うことで、日常生活をできるかぎり快適に送ることが目指せます。