クロートゥによる痛みを軽減する!効果的な治療法と自主トレーニング
2024.09.22
足の指が変形して痛みや歩きにくさが起こると、日常生活が億劫になったり外出を控えてしまう方がいらっしゃるでしょう。足の変形はそれ自体が気になるのに加え、歩き方に変化がでると周囲の目も気になってしまいます。
足の指の変形の1つに「クロートゥ」があります。なぜクロートゥになるのか、原因や治療法を知っていると、早期に病院を受診できるでしょう。病院を受診して治療をするのも大切ですが、家でできる自主トレを知っていると、クロートゥの改善が早くなるかもしれません。
歩行の能力を保つために、クロートゥへの対処方法を知っておきましょう。
目次
どうしてクロートゥになるのか…症状や原因となる病気を解説
歩行機能が向上すると、仕事や趣味などの役割活動の幅が広がるため、クロートゥをできるだけ改善したい方が多いでしょう。クロートゥを放っておくと、歩行に影響を与える可能性があり、正しい知識を持って対策するのが大切です。クロートゥについて症状や原因となる病気を詳しく解説します。
クロートゥとは何か
クロートゥは英語では「ClawToe」と表記し、鉤爪(かぎつめ)のように足の指が変形してしまう状態をいいます。足の指の付け根は伸び、指の関節が曲がってしまうため、足の指が地面を掴むように曲がってしまうのです。
足の指が伸びないため、見た目が気になったり、着用できる靴が限られたりするなど日常生活にも影響をきたします。
クロートゥは外傷や病気が原因となる
クロートゥは、外傷や病気が原因となる場合がほとんどです。脳卒中の患者さんは、クロートゥになりやすいといわれています。脳卒中では筋肉が過剰に収縮する「痙性(けいせい)」という状態がみられます。足の指を曲げる筋肉がコントロールできずに、過剰な収縮が起こるとクロートゥになるのです。
また、運動神経の障害を起こす糖尿病患者さんにもクロートゥは起こります。運動神経が障害された結果、足の動きを担う一部の筋肉が萎縮します。萎縮している筋肉とそうではない筋肉のアンバランスにより、足の指の変形が起こるのです。
そのほか、怪我や合わない靴を履き続けることが原因でクロートゥになる方もいらっしゃいます。
クロートゥは歩行に影響を与える
クロートゥになると、足の動きが限定的になり、歩行に影響を与えます。足の指が伸びないため、歩行時に踵を離す動作がぎこちなくなるのです。また、足の裏全体で体重を支えることができず、もう一方の足を振り出すさいに不安定になります。
このため、歩くのが遅くなったり、疲れやすくなったりします。また、足の裏にタコができやすくなり、痛みを伴う場合もあるのです。
【実際の症例あり】クロートゥの改善に効果がある治療法とは
クロートゥを放っておくと、日常生活動作に支障がでるため、早めに対処するのが大切です。実際にクロートゥが改善した症例から、効果のある治療法をご紹介します。施設によって実施可能な治療法が変わるため、希望の治療方法がある病院を探すと良いでしょう。
ボトックス注射で歩行機能が向上
クロートゥは、ボトックス注射で改善する報告があります。ボトックス注射とはA型ボツリヌス毒素を注入する方法で、こわばりのある筋肉に使われたり、シワの改善などに使用されています。
脳卒中後のクロートゥの患者さんにボトックス注射を行い、関節可動域訓練とストレッチで筋肉の張りを改善したところ、歩行能力が改善したそうです。足の指が伸びて、足全体で支持する能力が上がり、歩行の安定性も向上したと報告されています。
簡易装具で痛みが軽減
脳卒中を発症後、歩行時にクロートゥや痛みがみられ、裸足で歩くのが困難だった症例を紹介します。つま先を上げた歩行ができるように簡易装具を装着したところ、歩行速度が上がったそうです。適切な装具を使ってリハビリを継続することで、クロートゥによる痛みの軽減や歩行能力の改善に役立つといえるでしょう。
手術が検討される場合も
変形が重度の場合やリハビリ、保存療法で効果がない場合は手術が検討されるかもしれません。手術では関節を固定したり、筋肉や腱を広げたりして指が正常な位置になるように戻します。
症状の程度によりますが、日帰りでの手術を行っている病院もあるため、足指に詳しい病院を探してみましょう。
参考:CiNii「足趾屈筋群へのボトックス注射後,理学療法の実施により歩行能力の向上を認めた片麻痺患者の1症例」
クロートゥを治すには病院を受診したうえで自主リハビリを!
クロートゥが気になる場合は、まず病院を受診して原因疾患の治療やリハビリスタッフの評価を受けるのが大切です。しかし、病院のリハビリだけでは時間が限定されるため、改善がゆっくりになるかもしれません。診断や評価を受けたら、ご自宅でもできるトレーニングを行いましょう。
病院は何科に行くべきか
クロートゥになったら病院に行って、適切な治療を受けるのが大切です。脳卒中発症後にクロートゥになった場合は、かかりつけの脳神経内科やリハビリを専門とする病院に相談しましょう。
怪我が原因の場合は整形外科、糖尿病が疑われる場合は内科・糖尿病内分泌科を受診するのがオススメです。原因によっては転院やほかの診療科を紹介される場合があります。
固くなった筋肉を和らげるトレーニング
病院を受診して運動制限がなければ、自主トレーニングをするとクロートゥの改善が早くなるかもしれません。足の指が曲がってクロートゥになっている方は、足の指を伸ばすストレッチをしてみましょう。
座った状態で、ストレッチする方の足首をもう片方の太ももの上にのせます。足の指と手の指を組むようにして数回握りましょう。足の指の付け根まで、しっかりと手の指を入れるのがポイントです。できる方はその状態で、足指の付け根の関節を曲げたり伸ばしたりして、足の指が開くようにします。
筋肉の収縮をコントロールする運動
筋肉のこわばりが原因でクロートゥになっている場合、筋肉の収縮をコントロールする運動が必要です。筋肉を緩めるだけでは、すぐに筋肉が固くなってしまったり、元の運動パターンに戻ってしまいます。
足がつく状態で椅子やベッドなどに腰掛けましょう。その状態で足裏をしっかり床につけ、踵だけを上げてみます。その後は踵をゆっくりとおろしていきます。この時、体重が親指側にかかるようにすると、正しい歩行動作につながります。
まとめ|クロートゥに対する治療法について
今回、「クロートゥ」という足の症状と、その原因となる病気について詳しく説明しました。クロートゥとは、足の指が曲がってしまい、まるでカギのような形になる状態のことです。この状態をそのまま放っておくと、歩くときに痛みが出たり、靴が履きにくくなったりして、日常生活に支障をきたすことがあります。
日常生活で足に問題があると、外に出るのが嫌になったり、友達と遊ぶのを避けたりして、引きこもりがちになることもあります。その結果、元気がなくなったり、活動的でなくなってしまうことも考えられます。
実際にクロートゥが良くなった人たちの例を見て、効果のある治療方法をご紹介しましたが、自分に合った治療方法を見つけることも大切です。クロートゥは、ボトックス注射という方法で改善するという報告があります。そのため、「これだけが正しい治療法だ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、クロートゥが起こる原因や、今感じている痛みの程度は人それぞれです。だから、専門の医師と相談して、自分の症状に合った正しい治療を受けるようにしましょう。そうすれば、また元気に歩けるようになり、日常生活も楽しく過ごせるようになります。