脳梗塞の後遺症のしびれは治る?原因や回復過程と併せて治療法を紹介
2025.01.03
脳梗塞の後遺症のしびれでお悩みではありませんか?体の一部がずっとしびれていると、気になってストレスになったり、睡眠に影響が出たりする方もいらっしゃいます。脳梗塞の後遺症やしびれが長く続くと、治るのだろうかと不安になるでしょう。
この記事では、脳梗塞の後遺症は治る可能性があるのかを、原因や治療方法とともに解説します。
後遺症からの回復手段として、リハビリを行う方もいらっしゃるでしょう。しびれを治すためのリハビリに前向きに取り組めるよう、運動やリハビリの方法もご紹介します。
目次
脳梗塞の後遺症のしびれは治るのか?原因や回復過程を紹介
脳梗塞の後遺症のしびれは完全に治るのかどうか、まずは原因をおさえておきましょう。どの程度回復するかは、患者さんによりさまざまです。しかし、一般的な回復過程を知ると、治るのかどうかの予測が立てられます。
脳梗塞後のしびれの原因
脳梗塞後のしびれの原因は、2つあります。1つは、脳の感覚野の障害です。脳には感覚を司る部位があり、脳梗塞で血流が途絶えてしまうと、適切な感覚情報を受け取れなくなります。その結果、しびれが発生するのです。
もう1つの原因は、姿勢のアンバランスによる末梢神経の圧迫です。脳梗塞後は、身体に麻痺や感覚障害が残り、姿勢が偏り、圧迫された神経がしびれを引き起こします。例えば、車椅子に座った状態で体が左に傾いた状態が続くと、左側のお尻の神経が圧迫されて足のしびれが出現するのです。
脳梗塞の回復過程
脳梗塞の後遺症は、時間の経過とともに回復する傾向があります。症状が最も重いのは、発症直後です。発症後1ヶ月〜3ヶ月の間の回復が顕著で、6ヶ月までは回復のゴールデンタイムともいわれています。6ヶ月以降の生活期では、回復は緩やかになり、慢性的な状態となる患者さんが多いです。
発症後6ヶ月以降は、回復しないというわけではありません。適切な運動やリハビリによって、回復がみられる方もいらっしゃいます。
しびれは治るのか
脳梗塞の後遺症は、しびれに限らず、障害の部位・範囲・処置の早さなどで治るかどうかが左右されます。脳梗塞発症直後にしびれがひどい状態でも、1ヶ月以内に消失する方もいらっしゃいます。感覚野が障害を受けていない場合や脳梗塞の程度が軽い場合は、回復が早いのが一般的です。
いっぽうで、発症後何年経っても、しびれが残る患者さんもいらっしゃいます。リハビリなどの対策を継続すると改善する報告もあるため、諦めずにできることを続けましょう。
脳梗塞の後遺症で生活が困る…しびれが治る方法はある?
脳梗塞後は、身体の麻痺や高次脳機能障害など、さまざまな症状があります。しびれをそのままにしておくと、生活に影響が出るため、できるだけ早く改善したい患者さんが多いです。しびれに対して行われる治療法をご紹介します。
しびれによる生活への影響
しびれが長く続くと、感覚情報をうまく使って動作ができないため、次のような影響がでます。
- 物を適切な強さで掴めないため、握っても落としてしまったりする
- 道具を使う時に細かな調整ができず、包丁やハサミの操作で怪我をするリスクがある
- 足がしびれていると、体重をかけにくく、転びやすくなる
しびれにより、道具操作や動作に制限が出ると、日常生活の質が下がります。治療や対策方法を知って、改善の糸口をみつけましょう。
薬や漢方による治療
脳や神経の根本的な治療が終わっていても、しびれが残る場合は、薬による治療が行われます。脳の痛みを感じる伝導路を断ち切る薬や、しびれによる不安などを軽減させる薬が処方されるのが一般的です。
脳梗塞で血流が悪くなっている場合、漢方で血流を促す方法もあります。薬や漢方の効果は、患者さんにより異なるため、ほかの治療法と併用するかもしれません。
電気刺激や血流促進を行う
脳梗塞の後遺症のしびれが治る方法として、電気刺激や血流促進もあります。同調TENSという電気刺激は、しびれと同じような感覚を身体に流す方法です。しびれの改善に効果があったという報告があります。
また、しびれは温暖の差が激しいと起こるため、温浴やホットパックなどを使用して温めるのも効果的です。温めたり、しびれている部分を優しくこすると、血流が改善します。回復させたい末梢神経に血液が届くと、しびれの回復を促してくれるでしょう。
脳梗塞の後遺症にはリハビリが重要!しびれが治るのを促す運動とは
脳梗塞の後遺症には、リハビリが重要です。リハビリや適切な運動をすると、しびれだけが治るのではなく、麻痺や感覚障害の改善も期待できます。リハビリ場面で行われる内容に加えて、ご自分でもできる対策を紹介するので、家で継続して行ってみましょう。
豊富な感覚を入れる
脳梗塞後のしびれは、異常な感覚が脳に入って知覚されています。そのため、感覚の感度を上げる必要があるのです。リハビリ場面では、制作や作業などの能動的な活動を行い、豊富な感覚を入れます。
感覚を入れる対策は、ご自宅でもできます。しびれている部分をタオルでこすったり、握って圧力を加えたりするのがオススメです。手のしびれの場合は、ツルツル・ザラザラ・トゲトゲなど様々な感覚を入力しましょう。
足のしびれがある場合は、靴下の素材を変える方法も効果が期待できます。
運動の再学習を行う
姿勢のアンバランスさから、しびれが発生している場合、運動の再学習を行います。リハビリスタッフが、患者さんの身体に直接触れ、関節や筋肉の状態を改善させる徒手療法が効果的です。身体の正しい位置関係の情報を入力できるようにし、患者さんご自身で姿勢・動作を修正できるようにします。
日常生活では鏡を使って動作や姿勢の確認を行うと、運動の再学習ができるでしょう。
促通反復療法で神経回路を再建する
促通反復療法は、脳梗塞の後遺症の回復に効果があるといわれています。促通反復療法とは、患者さんが意図する動きをリハビリスタッフが触って再現し、繰り返す手法です。単に触っているだけではなく、身体の反射・反応を利用して行うため、神経回路を再建する助けとなります。
今のリハビリが促通反復療法なのか、気になる場合はリハビリスタッフに確認してみましょう。
参考:回復期脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションに促通反復療法を取り入れた場合の片麻痺と日常生活活動への効果-無作為化比較対照試験による検討-
まとめ|脳梗塞の後遺症…しびれは治る?
脳梗塞によって起こる後遺症の中でも、特に「しびれ」に悩む人は多くいます。このしびれに対して、どれくらい回復するのか、あるいは完全に治るのか、不安や疑問を持っている方も少なくありません。
脳梗塞後のしびれが起こる原因には主に2つあります。一つは脳の神経が損傷を受けたことで、もう一つは筋肉や関節が動きにくくなることで感じるしびれです。この原因によって、必要なリハビリ方法や回復のプロセスが異なります。そのため、しびれを改善したい場合には、原因を正しく理解することが大切です。
まずは、しびれによって日常生活で困っていることや不安に感じていることを整理してみましょう。たとえば、「箸を持ちにくい」「ボタンを留めるのが難しい」など、具体的な問題点を洗い出します。そうすることで、リハビリの目標を明確にしやすくなります。
また、しびれがすぐに完全に治ることは難しい場合もありますが、リハビリを続けることで、少しずつ改善することが期待できます。一つずつ問題に取り組み、できることを増やしていくステップが重要です。リハビリでは、専門家のアドバイスを受けながら、自宅でできる簡単な運動やストレッチを取り入れることも効果的です。
焦らずに、日々の小さな変化を大切にしながら前向きに取り組むことで、生活の質を向上させることができます。どんな小さな改善でも、自分自身の成長として喜びを感じながら進めていきましょう。