亜急性連合性脊髄変性症の原因とは?早期治療とリハビリの有効性
2024.03.07
亜急性連合性脊髄変性症(あきゅうせいれんごうせいせきずいへんせいしょう)とはビタミンB12が欠乏することによって脊髄の変性が起きる病気です。発症人数は約1万人に1人と少ないので、亜急性連合性脊髄変性症の原因や治療方法、リハビリについて知らない方も多いのではないでしょうか。
亜急性連合性脊髄変性症は進行性の疾患なので、進行を遅らせるためにリハビリを行う必要があります。また、早期に治療を開始することで回復が見込める病気です。
今回は亜急性連合性脊髄変性症の症状や原因やリハビリを効果的に行う方法について解説します。
目次
亜急性連合性脊髄変性症はどんな病気?リハビリは必要?

亜急性連合性脊髄変性症はビタミンB12が欠乏することによって脊髄の変性が生じ、全身のだるさやしびれの症状があらわれる疾患です。また、40歳以上の人に発症することが多い進行性の病気です。症状や原因について詳しく見ていきましょう。
亜急性連合性脊髄変性症の症状
主な症状としては以下のものがあります。
・全身の脱力感
・両手足のチクチク感としびれ
・足のこわばり
・視力低下
・いらだちやすさ
・無関心
・眠気
・錯乱
手足の異常感覚は常に起こるようになり徐々に悪化していき、進行すると振動を感じ取れず手足の感覚がわからなくなり、腕や足のこわばりやぎこちなさが現れます。そしてだんだんと歩行が困難になります。症状の進行を遅らせるためにも初期からリハビリを行う必要があります。
亜急性連合性脊髄変性症の原因
亜急性連合性脊髄変性症はビタミンB12が不足することで発症します。ビタミンB12は脳からの信号を伝える速度に関係する髄鞘という部分の形成や維持に関係しています。
そのため、ビタミンB12が欠乏すると髄鞘が損傷し、脊髄の神経線維が変性し神経同士の連絡がうまくいかず、動きのコントロールができなくなり感覚以上などの症状が現れます。また、脳や視神経にも損傷をうけることもあります。
ビタミンB12が不足する人の特徴3つ
ビタミンB12が不足しがちになる主な原因は以下の3つです。
1、萎縮性胃炎がある人
萎縮性胃炎で胃粘膜の萎縮が進むと、胃粘膜の内因子とよばれる物質の分泌が悪くなり、ビタミンB12の吸収率が低下します。
2、胃の摘出手術を受けた人
胃を全切除すると、ビタミンB12はほとんどの場合欠乏します。一部切除の場合でも胃の吸収機能に影響を及ぼすことがあります。
3、菜食主義の人
ビタミンB12は体内で作ることができず、動物性の食物からしか摂取ができません。肉や乳製品などを摂取しない人はビタミンB12が不足しやすくなります。
亜急性連合性脊髄変性症に有効な治療やリハビリとは?

亜急性連合性脊髄変性症の治療は原因であるビタミンB12の補給をすることが治療の中心となります。また、症状の改善や進行を遅らせるためにも早い段階からリハビリを取り入れることも大切です。
亜急性連合性脊髄変性症は早期治療を
亜急性連合性脊髄変性症は、早い段階で治療ができれば、回復の可能性がぐんと高くなります。発症から数週間以内に適切な治療ができれば、ほとんどの人は完全に回復するといわれています。
治療が遅れてしまうと病気が進行してしまい、完全な回復が難しくなります。少しでも体に気になる違和感があれば、病院を受診するようにしましょう。
亜急性連合性脊髄変性症の治療とリハビリ
亜急性連合性脊髄変性症の主な治療は、ビタミンB12の注射です。症状が軽い場合は経口による大量投与をすることもあります。ほとんどの場合はすぐに治療が開始され、再発を防ぐために継続的な投与を行います。
また、ビタミンB12の補充だけではなく、筋力低下などの症状改善のためにリハビリも行うことも重要です。日常生活の動作がスムーズに行えるように筋力トレーニングやバランス訓練を取り入れます。
疼痛にもリハビリが有効
亜急性連合性脊髄変性症を発症し、痛みを生じてしまうと心身ともに負担が大きくなります。実はリハビリによって疼痛の緩和や管理が可能なのです。
筋肉の緊張を緩和し、関節の可動域を調節することで疼痛を和らげたり、運動療法で筋肉のバランスをとることで疼痛の原因である体の偏りを調整したりします。
疼痛は我慢したり、鎮痛剤で抑えるしかないと思われがちですが、上手に向き合うためにもリハビリは有効な手段です。
リハビリがもつ本来の意味とは?回復だけが目的じゃない

亜急性連合性脊髄変性症だけでなく、様々な病気で身体に障害が出た場合リハビリが行われます。リハビリは失われた機能の回復が目的になりますが、それだけではありません。
リハビリの本来の意味、リハビリの考え方について掘り下げてみましょう。
リハビリの本来の目的
「リハビリテーション」の語源はre「再び、戻す」とhabilis「適した、(人間に)ふさわしい」の2つの単語から成り立っています。つまり「再び適した状態になること」「本来あるべき姿への回復」という意味になります。
単なる機能回復ではなく、日常生活を送るうえで心と体が最も適した状態になるように提供することすべてがリハビリテーションなのです。「自分がどのようになりたいか」を明確にし、リハビリに取り組むことが一番重要になります。
効果と満足感の高いリハビリを
リハビリは一時的なものではなく、継続して行う必要があります。効果もすぐ現れるのではなくゆっくりと改善していくことが多いので、焦ってしまったり、モチベーションが下がったりすることもあるかもしれません。
理学療法士など専門家に任せっぱなしにするのではなく、自らこの先の目標を決めて、そこにむかってどうするかを一緒に考え、取り組むことでより効果を感じやすく、満足感のあるリハビリとなります。
よくある質問(FAQ)

Q1. 亜急性連合性脊髄変性症は、どのような病気ですか?
A1. この病気は、ビタミンB12が欠乏することによって脊髄に変性が生じる進行性の疾患です。全身の脱力感、両手足のしびれやチクチク感、足のこわばりなどが主な症状として現れ、進行すると歩行が困難になる恐れがあります。40歳以上の人に発症することが多い病気です。
Q2. 亜急性連合性脊髄変性症の主な原因と、不足しやすい人の特徴は何ですか?
A2. 主な原因はビタミンB12の不足です。ビタミンB12は髄鞘(脳からの信号を伝える部分)の形成に関わっています。 ビタミンB12が不足しやすい人の特徴としては、主に以下の3点が挙げられます。
- 萎縮性胃炎がある人(ビタミンB12の吸収に必要な内因子の分泌が悪くなる)
- 胃の摘出手術を受けた人
- 菜食主義の人(ビタミンB12は動物性食物からしか摂取できないため)
Q3. この病気の治療の中心は、どのようなものですか?
A3. 治療の中心は、原因となっているビタミンB12の補給です。主に注射によってビタミンB12を補充します。症状が軽い場合は経口投与もありますが、再発を防ぐために継続的な投与が行われます。
Q4. 亜急性連合性脊髄変性症の治療において、リハビリはなぜ重要ですか?
A4. リハビリは、ビタミンB12の補充と並行して、症状の改善や進行を遅らせるために非常に重要です。具体的には、筋力低下の改善や、日常生活の動作をスムーズに行うための筋力トレーニングやバランス訓練を取り入れます。また、疼痛(痛み)の緩和や管理にも有効です。
Q5. 早期治療はどれほど重要ですか?完全に回復する可能性はありますか?
A5. 早期治療は非常に重要です。発症から数週間以内に適切な治療を開始できれば、ほとんどの人が完全に回復するといわれています。治療が遅れると病気が進行し、完全な回復が難しくなるため、気になる症状があればすぐに病院を受診することが大切です。
まとめ|亜急性連合性脊髄変性症のリハビリに関して

亜急性連合性脊髄変性症は、ビタミンB12が不足することで、手足にチクチクとした痛みやしびれが出る病気です。そのままにしておくと歩くことすら難しくなる恐れがあるため、「おかしいな」と感じたら、すぐに治療を始めることが何よりも大切です。
この病気の治療の基本は、足りないビタミンB12を補給すること。これに加えて、衰えた体の機能を回復させるためのリハビリが中心となります。実は、発症から数週間以内に治療を開始できれば、ほとんどの方が元の生活に戻れる可能性があるのです。
リハビリは、病気を治すためだけでなく、生活の質を保つためにも長く続ける必要があります。一人で頑張るのは大変ですから、理学療法士などの専門家やご家族のサポートを受けながら、目標をもって楽しく続けられる環境を整えていきましょう。








