ADLとは?ADLの種類や評価方法・低下防止のためにできることとは
2024.05.08
福祉や医療の現場に携わる人は「ADL」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。ADLとは日常動作のことで食事や入浴など日常生活に必要な動作のことを指します。
また、介護やリハビリの現場で評価基準としても用いられています。自立した暮らしをするためにはADLの低下を予防することが大切です。
今回はADLとはどのような動作を指すのか、ADLの評価方法など「ADLとは何か」について解説します。また、ADLの低下を防ぐためにできることもご紹介します。
目次
adとはなにか?|BADL・IADLの違いと評価方法について
ADLは大きく分けて2種類あります。どのような違いがあるのか具体的に見ていきましょう。また、評価方法についてもご紹介します。
adlとは
ADLとはActivitiesofDaiyLivingの略で、日常生活動作という意味になります。具体的には「食事、排泄、入浴、着替え、移動」など日常生活を送るために必要最低限の動作のことです。
高齢者や障害者の身体能力や日常生活レベルを図る指標として用いられます。ADL動作の「できる・できない」を確認し、どのような介助がどのくらい必要かを評価します。
adlは2種類に分けられる
ADLは基本的日常生活動作(BADL)と手段的日常生活動作(IADL)の2種類に分けられます。
<BADLとは>
日常生活上に必要な動作のことです。「起居動作・移乗動作・更衣・排尿・食事・入浴・階段昇降」などを指します。
具体例
・ベットから起き上がる
・着替える
・トイレで排泄する
・食事を行う
<IADLとは>
IADLとは日常生活を便利にする、生活の質を向上させる動作を指します。BADLよりも複雑で高度な判断が必要です。例えば「料理、買い物、洗濯、電話、交通機関の利用」などがあげられます。
具体例
・料理や洗濯などの家事を行う
・薬を飲んだかどうか把握する
・お金の管理をする
・バスや電車に乗って移動する
adlの評価方法
ADLを評価する方法はいくつかありますが、代表的な3つの評価をご紹介します。
・BarthelIndex(バーセルインデックス)
基本的ADLについて評価を行うための質問票で、ADLの低下がみられる方を対象に用いられます。食事や排泄、更衣、移乗などの10項目について「自立」か「要介助」がという基準で採点します。
・FIM(機能的自立度評価表)
FIMは運動項目の13項目、認知項目の5項目の合計18項目で評価します。FIMは明確な基準に基づき評価するため信頼性・妥当性も高いと言われています。
・DASK-21
DASK-21は高齢者などの認知機能を生活機能を総合的に評価するものです。自己記入できるアンケート形式の検査で主に行政機関が地域住民のADLを調査する場合などに使われます。
adlとは低下していくもの?低下の原因や予防のためにできること
ADLが低下していくと、日常生活にさまざまな影響があらわれ、要介護状態へとつながってしまいます。ADLの低下を予防するためにも原因を知ることが大切です。
adlが低下する原因
ADLの低下に影響するといわれているのが、身体機能低下と認知機能低下です。身体機能低下は、筋力低下や視力・聴力の低下に加え生活習慣病や関節拘縮などの病気やケガが原因となる場合もあります。
認知機能が低下すると短期的な記憶障害や見当識障がいなどを発症します。認知機能低下には個人差がありますが、高齢になると発症する可能性が高くなります。
さらに、精神面や環境面の変化もADLの低下に繋がるといわれています。新しい環境に順応するのが難しかったり、社会参加の機会が減少すると、ADLの低下も早まる恐れがあります。
adlが低下するとどうなる?
ADLが低下するときは、まず手段的ADLの低下から始まり、次第に基本的ADLが低下します。基本的ADLが低下すると、活動性も低下し、社会参加の機会も少なくなりがちです。
社会での役割や生きがいを見いだせなくなると、より家に閉じこもりがちとなり、身体的・精神的にも機能が低下していきます。心身の機能が低下するとさらに基本的ADLが低下するという悪循環となります。
最悪の場合は寝たきりの状態となってしまう恐れもあるので、ADLの低下を予防することが大切なのです。
adl低下を予防するには
ADLの低下防止、ADLの向上のためのおすすめの方法をご紹介します。
・運動
体力や筋力が落ちると運動意欲も低下してしまいます。散歩などの軽い運動でも効果はあるので、できる範囲で行いましょう。
・バランスの良い食事
体力維持や生活習慣病予防にもバランスの良い食事は大切です。特にタンパク質は不足しがちなので意識して摂り入れましょう。
・リハビリ
専門家のもとで行うリハビリは体力や筋力維持にとても効果的です。また他者とのコミュニケーションをとる手段としてもとてもおすすめです。
・趣味活動
趣味を持つと外出の機会が増えたり、趣味仲間とコミュニケーションをとる機会も増えて、引きこもり防止に繋がります。
adl低下防止のために家族ができること|自立のためのサポートを
ADLの低下防止を行うには家族や周りのサポートも必要不可欠です。本人だけでなく家族もADLとは何かを知り、低下防止のために具体的にできることを一緒に考えましょう。
介護しすぎない
ADLの低下を防ぐためには残存機能を低下させないために活用することが大切です。家族や周囲がサポートをし過ぎた結果、本人の残存機能まで低下させてしまい、ADLが低下していくということも少なくありません。
家族は必要最低限のサポートができるように、本人の様子をしっかりと確認することが大切です。全てを手伝うのではなく、できない一部だけ手伝うように意識し、過剰な介護にならないように注意しましょう。
生活環境を整える
自立した生活が送れるように、自宅をリフォームするなど生活環境を整えることも重要です。トイレや階段に手すりを設置したり、段差の解消などを行うことで自宅での生活をスムーズに行えるようになります。
また、散歩や買い物に出かけやすくなる杖や歩行器などの福祉用具を活用するのもおすすめです。介護のためのリフォームや福祉用具のレンタルは介護保険が適用される場合もあるので検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ|adlとは
今回はADLとは何かについて解説しました。ADLとは日常的生活動作のことで、日常生活を送るうえで最低限必要な動作のことです。
福祉や医療現場で、日常生活でどの程度の動作を行えるか示す指標として用いられます。ADLが低下してしまうと、要介護状態につながったり、最悪の場合寝たきりになることもあります。ADLとは放っておくと低下してしまう可能性が高いので、低下防止のために運動やバランスの良い食事を心がけましょう。
また、家族が介護しすぎてしまうとADLの低下を招くこともあるので注意が必要です。本人が自立した生活が行えるように、生活環境を整えて最低限のサポートを心がけADLの低下を防ぎましょう。