【希望の光!】頚髄損傷のリハビリで症状改善!受傷後の経過とリハビリ内容を徹底解説
2023.08.18
高齢になると遭遇することが増える転倒や事故。骨折などケガの状態はさまざまですが、そのなかでも一度損傷をうけると再生できなくなるのが「脊髄」です。
身体の各部位に指示をつたえる脊髄に損傷を受けると、手足が痺れるといった症状だけでなく、手を動かすのが難しくなったり、痛覚に影響を及ぼすなど後遺症がのこる場合もあります。
そのため、脊髄の一部である頚髄を損傷したさいには早急に治療をうけ、リハビリを開始することが重要です。
今回は、頚髄損傷の特徴やリハビリの必要性、リハビリの内容までわかりやすくご紹介します。
目次
頚髄損傷って何?リバビリの必要性や脊髄が損傷するとどうなるか
頚髄損傷(けいずいそんしょう)は、スポーツ時におこることの多い損傷ですが、首の部分の脊髄の損傷なので、高齢者など転倒しやすい人も注意が必要です。頚髄損傷にリハビリが有効な理由についても見ていきましょう。
脊髄に傷がつく|頚髄損傷
頚髄損傷は、柔道やラグビー、レスリングなど力を抑制せず相手に直接接触する競技や事故などで頭をつよくぶつけた場合に起こる損傷です。
体を支える柱の役目をする背骨は、脊椎ともよばれており、頭に近いほうから頚椎、胸椎、腰椎にわけられます。
頚椎には、脊髄のひとつである頚髄という神経が通っていて、頚髄に傷がつくことにより(頚髄損傷)、リハビリが必要になったり首から下の筋肉が麻痺するなど体に障害が生じます。
脳脊髄は再生できない
脊髄は、人間が体を動かそうとおもった際に、脳からの指示を手足に伝える重要な役目を持っていると同時にとても繊細な組織なので、一度損傷をうけると二度と再生はできません。
脊髄をふくむ中枢神経系が損傷後再生しないことは、紀元前17世紀のエジプトで発見されており、数千年を経ても中枢神経の治療法が確率されていないことから、中枢神経の再生の困難さがうかがえるでしょう。
適切な治療とリハビリが重要
頚髄損傷の症状が軽いと手足のしびれがある程度ですが、強い損傷の場合は手足が動かせなくなります。
そして、受傷した際に手足の痺れがあるのであれば、無理に動かすようなことはせず、幹部をしっかり固定して適切な治療を早急に受けましょう。
頚髄損傷など中枢神経は損傷後の回復がむずかしいため、初期の状態から損傷を悪化させないためのリハビリも重要です。
こんなときは頚髄損傷が疑われる…頚髄損傷の症状や経過
頚髄が損傷した場合は、一刻も早く適切な治療をすることで麻痺の状態を軽くすることができます。頚髄損傷の症状についてご紹介します。
頚髄損傷を疑うべき兆候
頚髄損傷がおこるとリハビリが大切ですが、意識があるのに「手の指が動かせない」「両腕やお腹などをつねっても痛みを感じない」といった場合や、呼吸の際に胸がうごかず腹部だけが動いている場合は頚髄を損傷している可能性があります。
首を無理にうごかすと呼吸が困難になってしまうこともあるので、首を動かさないことを意識して安全な場所へ移動するか救急隊の到着を待ちましょう。
さまざまな症状があらわれる
頚髄損傷によるリハビリが必要な状態に関係する四肢の神経には、「知覚神経」と「運動神経」があります。
老若男女、年齢を問わず運動神経を損傷すると四肢や体幹を動かすことが難しくなり、知覚神経を損傷すると痛覚がわからなくなったり、熱い・冷たいなど温度を感じることができなくなることもあります。
また、排尿や排泄が自分の意思でできなくなる「膀胱直腸障害」、バイクの事故など高エネルギー損傷による麻痺の残存などの症状もあります。
頚髄を損傷した人は、くしゃみや咳も難しくなるので、喉を詰まらせないように対応して肺炎を防ぎましょう。
頚髄が損傷した場合の経過
頚髄損傷が起こって初期段階では、損傷を受けた部位の運動、知覚の機能や脊髄反射が失われる脊髄ショックという状態になることがあります。
損傷の程度や併発する病気によってその後の見通しはさまざまですが、一般的に24〜48時間を超えて回復が認められない場合は長期でリハビリをおこなう必要もでてきます。
また、腸管運動の障害により「麻痺性イレウス」という状態が起こることもあり、この状態は72時間以内に離脱するといわれています。
脊髄ショック離脱後にも肛門を締める肛門括約筋の収縮がみられない場合や肛門周辺の感覚がない場合は、完全麻痺と診断されますが、部分的に運動や感覚の機能が残存している場合は、不全麻痺の可能性が高くなります。
頚髄損傷のリハビリ内容は?スポーツ訓練など4つの方法を紹介
頚髄損傷など重度の肢体不自由がある場合、医療施設では理学療法や作業療法などさまざまな訓練や自立にむけた支援がおこなわれます。
リハビリ①理学療法
理学療法の観点でみた頚髄損傷のリハビリは、関節の可動域をひろげたり筋力の維持をめざしながら、日常生活の行動の基本である移動や移乗に関係する動作の獲得や体得を目的としています。
具体的には、車椅子からベッドやトイレ、風呂への移動において身体の状況に合わせた方法で能力の向上をめざしたり、車椅子の操作から屋外移動についても支援がおこなわれます。
リハビリ②作業療法
作業療法の観点でみた頚髄損傷のリハビリは、食事や排泄行動など生活管理、入浴や更衣・整容など身辺管理の獲得や体得を目的としておこなわれます。
自助具や福祉機器などを活用して食事動作の向上、歯磨きや洗顔など整容動作の向上、
排泄における収尿器の処理など対象者に応じた動作能力の向上を目指します。
リハビリ③スポーツ訓練
頚髄損傷のリハビリでは、体育館などでスポーツのもつさまざまな特性を有効利用して体力や運動能力などの向上を目的とします。
日常生活用の車イスを使うことが多く、訓練のために考案されたゲーム種目や車椅子に乗った状態で、ボールを投げる・捕るなどより応用的な動作を通じて、自身の身体を自在に動かすことができるような運動技術の習得を目指します。
リハビリ④再就職を目指す訓練
頚髄損傷におけるリハビリでは、再就職を目指すための訓練として、パソコン各種ソフトを使う技術や資格の習得を行います。
キーボードやマウス、表計算ソフトの操作、簿記などの資格の習得・必要に応じて自動車運転の訓練支援もあります。
また、復職や復学など個人の目標を達成するために、関係機関と相談したり自立計画へのアドバイスなどもおこなわれます。
まとめ:頚髄損傷にリハビリが効果的な理由や症状
頚髄損傷の症状やリハビリの目的・リハビリでできることについてご紹介しました。脊髄の一部である頚髄を損傷してしまうと、脊髄の再生はむずかしくなりますが、適切な治療・リハビリによって受傷前の生活レベルに近づけることも可能です。
理学療法士や作業療法士など医療施設のスタッフによる生活行動の向上のための指導を受け、訓練をすれば復学・再就職を目指すことも可能なので、意欲的にリハビリをおこない生活の質を上げていきましょう。