NEXTSTEPS リハビリお役立ちコラム パーキンソン病は腰痛になりやすい!痛みの緩和と予防のリハビリとは

パーキンソン病は腰痛になりやすい!痛みの緩和と予防のリハビリとは

パーキンソン病は腰痛になりやすい!痛みの緩和と予防のリハビリとは

パーキンソン病は、急激ではなく徐々に運動機能が低下していく病気です。見ただけでパーキンソン病だとすぐわかるような、特徴的な動きが現れます。

進行性で、いわゆる難病と言われる神経疾患のひとつで、日常生活に支障をきたしてしまいます。現在のところ完治は難しいですが、多くの研究がされ、医学の進歩により成果も現れているのが事実。

そんなパーキンソン患者の大半は、慢性的な痛みを抱えているのが現状です。中でも腰痛を発症している場合が多いといいます。これは、パーキンソン病の特徴的な症状や姿勢が要因となって二次的に発症する症状なのです。

今回の記事では、パーキンソン病やそれに伴う腰痛とリハビリについて解説していきます。

パーキンソン病の有病率は増加傾向…気になる二次的症状とは

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パーキンソン病は珍しい病気ではありません。有名人が罹患を公表しているといったこともあり、病名はなんとなく知っている人は多いのではないでしょうか。

ここでは、パーキンソン病はどのような病気なのか、詳しくみていきましょう。

中年以降に発症する進行性の神経変性疾患

パーキンソン病は50〜60歳代に好発します。日本では高齢化が進んでいるため患者数は増加しています。

人間の運動は脳の大脳皮質から神経を通じて筋肉に指令を出します。その途中、中脳の黒質という部分では、ドパミンという神経伝達物質を生成し、運動をスムーズに調節します。

何らかの原因でこの黒質の細胞に変性や障害が起きると、ドパミンが減少してしまい、身体が思うように動かせなくなってしまうのです。

進行性の病気のため、現在のところ完治は難しいとされています。しかし治療薬の服用により、症状の進行を抑えることは可能です。発症後10年もすると寝たきりになってしまう…と思われがちですが、適切な治療やリハビリによって、予後は改善されています。

姿勢保持や運動障害が現れる

パーキンソン病は、

・手足の震え

・筋固縮

・動きが小さい、遅い

・姿勢反射障害(よく転ぶ等)

・前傾姿勢

・小刻み歩行、加速歩行

といった特徴的な運動障害がみられます。


また、便秘、起立性低血圧、排尿障害といった自律神経症状や、抑うつや、進行すると認知症等の精神症状がみられることもあります。

なお、パーキンソン病の進行により亡くなることはそうありません。合併症で亡くなるケースが多く、全体の平均寿命とあまり変わりません。

関節可動域や筋力の低下につながる

パーキンソン病の症状が現れると、身体を動かす気力がなくなってしまうことも。運動をしない状態が続くと、筋肉や骨、関節といった運動器の機能が衰えてしまい、いつの日か身体を全く動かせなくなってしまいます。

また、運動から遠ざかると、脳が不活性化してしまい、ドパミンの分泌がさらに減少するためパーキンソン病の進行を早めてしまう原因にもなります。

特に、前傾姿勢や筋固縮の症状は、腰回りの筋肉や腰椎をはじめとする骨や神経に負担をかけることになり、腰痛といった痛みの二次的な症状の発症に大きく関わってしまうのです。

パーキンソン病でみられる腰痛のリハビリの目的と注意点

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パーキンソン病は進行性の病気のため、運動障害や腰痛をはじめとする痛みを完全に治すことや、最終的な着地点を設定することはなかなか難しいです。

ここではパーキンソン病の腰痛をはじめとするリハビリに関しての目的づくりや、注意点について説明します。

生活の質の維持と改善を最重視

パーキンソン病のリハビリは、薬物療法と並行して行うことで効果を発揮します。しかし、進行性のため長期にわたったり、精神的な症状が現れやすい病気でもあるため、モチベーションの維持を図ることが難しいケースも多々あります。

リハビリには

・運動機能の回復と維持

・継続により脳や精神面を活性化

といった効果があります。症状のコントロールは治療薬で、生活の質そのものの維持や改善はリハビリで、といった目的の棲み分けをすると良いでしょう。

リハビリを続けていくためには、病気を受け入れ、根気よく向き合っていくことが重要です。

進行度に応じたリハビリを

パーキンソン病は進行度に応じたリハビリをします。ヤールの重症度という分類があり、ステージごとでリハビリの内容や補助具の導入、目的等を検討していきます。

重症度が低いステージⅠ〜Ⅱは立位でのリハビリ、ステージⅢは座位でのリハビリ、ステージⅣ〜Ⅴは仰向けで寝た状態や、顔や嚥下訓練等の軽度のリハビリをします。

その日の自分の能力や症状に適したリハビリを、毎日続けていくことが大切です。

【参考】パーキンソン病の重症度

体幹と関節をできる限りで動かす

パーキンソン病による腰痛は、前傾姿勢と筋固縮が主な原因です。筋肉は使わないとどんどん硬くなっていくものですから、毎日可能な強度や範囲で動かすようにしましょう。

また、腰痛は股関節や脊椎の変性、胴体全体の体幹の筋肉が大きく関わっています。ストレッチや歩行訓練等のリハビリを続けることで、腰痛の予防、緩和に効果を発揮します。

パーキンソン病患者は動きが小さくなりやすいので、ゆっくりでも大きく丁寧に動かすように意識すると良いでしょう。楽しみながら行うことも忘れないでください

パーキンソン病の進行抑制のために取り組みたいリハビリ方法

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パーキンソン病になったら、早い段階からリハビリを開始しましょう。発症初期は症状が軽いことが多いため、運動への恐怖感や苦手感は少なく、習慣化しやすいです。

ここでは、具体的なリハビリ内容をご紹介します。

腰痛に!歩行訓練と姿勢矯正

腰痛は腰だけが問題ではありません。上半身を支える根本である骨盤や脊椎の歪みが痛みの原因となり、これはパーキンソン病患者に限りません。

パーキンソン病患者は、前傾姿勢や筋固縮、小刻み歩行や動きが小さいといった症状があります。まずはストレッチで身体を大きくゆっくり動かしたり伸ばすことで血行を良くし、筋肉をほぐしましょう。

歩行訓練は踵をつけ、下肢を伸ばす、視線を上げ姿勢を正して行うことを意識しましょう。転倒防止のために補助具も適宜利用してください。

笑顔をつくる!表情筋訓練や構音訓練

パーキンソン病は、筋固縮や精神障害により、顔の表情も乏しい仮面様顔貌になります。そのため、表情筋を動かす訓練も行いましょう。眉の挙上、目の開閉、頬を膨らませるといった動作が効果的です。

また、言葉を発しにくくなったり、小声や早口になりやすいため、大きな声を思い切り出す訓練もしましょう。声を出すことでも表情筋は使いますので、合わせて行いましょう。自分の感情を表情や言葉で発しやすくなることで精神面にも良い効果をもたらします。

これらはベッドの上や座りながらでもできる軽度な訓練のため、習慣化しやすいです。

身体機能の維持に!呼吸訓練や嚥下訓練

障害のステージが進行していくと、呼吸機能が低下したり嚥下障害がみられ、誤嚥性肺炎を起こしやすくなったりします。生活そのものだけでなく、生命に関わることでもあるため、家族や専門家等のサポートによるこれらのリハビリも必要です。

呼吸訓練は深呼吸の練習や歌をうたう、嚥下訓練は舌の体操や咽頭への寒冷刺激法といったことが効果的です。

また姿勢の悪化や腰痛等も、呼吸や嚥下に大きく関わっています。身体機能の維持のためにも、運動や姿勢改善は継続して行っていきましょう。

【参考】第11章パーキンソン病のリハビリテーション

まとめ:パーキンソン病による腰痛とそのリハビリについて

パーキンソン病は進行性の病気のため、正しい病気の知識を持って受容し、根気よくリハビリを続けることが、生活の質を維持するために重要です。

二次的な症状として、腰痛をはじめとする慢性的な痛みが現れることが多いですが、これらはできる範囲で身体を動かすことで、予防や痛みの緩和は可能です。また腰痛や姿勢維持は生命維持の根本である呼吸や食事の嚥下にも大きく関わってきます。

長期的な付き合いとなるパーキンソン病との生活を、明るく送れるよう、少しずつでもリハビリを続けていきましょう。

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