慢性痛の原因は筋膜?筋膜性疼痛症候群の症状・原因・治療法を解説
2023.04.21
ひどい肩こりや腰痛、背中の痛みに悩まされていて、マッサージを受けても改善しない場合は、筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん)の可能性があります。筋膜性疼痛症候群は診断が難しい病気で、治療法も特殊なため、医療機関を受診する必要があります。
痛みがあると体を動かしにくくなりますが、回復を早めるためリハビリが必要です。筋膜性疼痛症候群にはどんなリハビリが行われるかを知っておくと、痛みがある中でも運動をするモチベーションにつながります。
筋膜性疼痛症候群が治っても、リハビリやセルフケアを継続すると再発の予防になります。具体的な方法を知って、健康的な生活を送れるようにしましょう。
目次
筋膜性疼痛症候群とは?リハビリが必要になる前に症例をチェック
「いつも痛い部分がある」「痛い部分を触るとしこりがある」などの症状が見られる場合は、筋膜性疼痛症候群かもしれません。リハビリを受ける前に症状や原因をチェックしておきましょう。
筋膜性疼痛症候群にはどんな特徴がある?
筋肉の中に過剰な痛みがあり、触ると結節状に硬いしこりがみられます。関節がうまく動かないなどの運動制限や筋力低下、自律神経障害を引き起こす場合がある病気です。
筋膜性疼痛症候群の痛みは、1〜2箇所に限定されており、首・肩・背中・腰など背骨に沿って起こるケースが多いです。慢性的な肩こり、腰痛、顎関節症、緊張性頭痛などの原因には筋膜性疼痛症候群の可能性もあります。
痛みを感じて病院を受診しても、レントゲンや血液検査では異常が出ないのも特徴です。
筋膜の癒着で痛みや痺れを引き起こす
筋肉は筋膜という薄い膜で覆われています。筋膜が何らかの原因で周囲の組織と癒着すると、しこりができて痛みや痺れを引き起こします。また、神経の伝達物質によって痛みがさらに増幅されてしまいます。
長期間にわたり痛みが続くと、持続的に筋肉が収縮してしまい、部分的に血流が悪くなり、循環不良になると、痛み成分が蓄積して痛みを感じます。この痛みが脊髄に入ると他の神経を興奮させ、筋収縮や循環不全がさらに引き起こされる負の連鎖が起こります。
発生原因は外傷や心身のストレスなど多岐に
打撲や運動、筋肉を過剰に使うことで筋肉が損傷し、その痛みが慢性化したものが筋膜性疼痛症候群となります。さらに、全身疲労や冷え、ストレスなども原因となります。筋肉が損傷して血行が悪くなったり、ストレスで全身の機能が低下した時に起こると言えます。
診断が難しく、見分けがつきにくい他の病気もあるため、筋膜性疼痛症候群を疑ったら、前例がある整形外科や内科などに行きましょう。
筋膜性疼痛症候群のリハビリは?有効な治療方法を紹介
筋膜性疼痛症候群はリハビリだけで治すのではなく、医療機関での治療も必要です。治療の内容やリハビリを行う必要があるのかについてを知っておきましょう。
内服薬や注射・針で治療
治療では筋肉の硬くなっている部分をほぐすことが最優先です。筋膜性疼痛症候群の初期は抗炎症薬や筋肉を緩める薬を使います。薬だけでは改善しないため、トリガーポイントに局所麻酔薬を注射するのが一般的です。注射針を硬くなっている部分に刺すだけで改善する例もあり、鍼治療を行う方もいます。
ハイドロリリースで痛みを緩和
筋膜性疼痛症候群は筋膜が癒着するのが原因なので、筋膜をはがす「筋膜リリース」という方法があります。筋膜性疼痛症候群に行う筋膜リリースは「ハイドロリリース」と言い、生理的食塩水を痛んでいる部分に注入し、筋膜をほぐします。
注入前に超音波で痛みの原因ポイントを探るため、筋肉や血管の様子を確認しやすい特徴があります。ハイドロリリースは画期的な方法ですが、現在は保険適用外の治療方法です。ハイドロリリースが可能な病院か、料金はいくらかかるのかを調べてから受診すると安心です。
リハビリは効果がある?
筋膜性疼痛症候群は循環不良も原因となりますので、安静にしすぎていては逆効果です。炎症が落ち着いて痛みのコントロールができるようになってきたら、リハビリを行うのが有効です。
筋膜性疼痛症候群のリハビリは、以下のような内容を行います。
・姿勢の歪みの改善(循環不良や偏った身体の使い方を防ぐため)
・筋肉が動く範囲での関節可動的訓練(関節が固まるのを防ぐため)
・ストレッチ(筋肉の柔軟性を保つため)
・姿勢や動作の指導(身体に負担のかかる動作を防ぐため)
筋膜性疼痛症候群の治療には、リハビリと痛みの部分への治療が必要です。
筋膜性疼痛症候群を予防!リハビリ後に再発を防ぐ4つの方法
筋膜性疼痛症候群に対するリハビリや治療を行って症状が改善しても、再発する可能性があります。再発を防ぐためにできることが4つあります。
適度な運動で筋肉を動かす習慣を
筋肉の中には血管が通っており、筋肉を動かすと全身の血の巡りが良くなります。そのため、適度な運動を行って筋肉を動かすことや、筋力をつけることが筋膜性疼痛症候群の予防法です。
身体に負荷がかかる動作を繰り返すと、筋肉が破壊されるため、強度の高い筋肉トレーニングは避けましょう。歩く、ストレッチをする、有酸素運動などがオススメです。筋膜性疼痛症候群でリハビリを受けている方は、自宅で行える運動を指導してもらうのも良いでしょう。
ストレスをため込まない生活環境に
ストレスをため込むと、自律神経がバランスを崩し、筋肉が固まりやすくなってしまいます。その結果、血行が悪くなり、筋膜性疼痛症候群が再発するかもしれません。まずは自律神経を整えるために、規則的な生活習慣を送りましょう。
ストレスがたまりやすいと感じる方は、どんな時にストレスを感じるかを書き出して認識するのも大切です。
老廃物を流すマッサージがおすすめ
運動を毎日行うのは難しい方は、マッサージを取り入れてみましょう。マッサージをするだけでも筋肉は動かされ、血流が改善します。さらに、老廃物が流れるため、痛みを感じる物質などを流す効果もあります。
身体の中で冷たいと感じる部分があれば、その部位のマッサージを行いましょう。痛みを感じない程度に筋肉を握ります。少し温まってきたら、血液を心臓の方に流す方向にマッサージを続けます。
経過観察でリハビリを受ける方法も
医療機関でのリハビリは治療終了とともに終わりますが、自費訪問リハビリでは筋膜性疼痛症候群が治った後も訓練を継続できます。治療中よりはリハビリの頻度を落として、経過観察のようにも利用していただけます。
筋膜性疼痛症候群の再発を防ぐためのリハビリはもちろん、日常生活でもできる運動を行ったり、姿勢の評価や改善なども行えます。
まとめ
筋膜性疼痛症候群にリハビリが効果的かどうか、痛みの原因は何かをご紹介しました。筋肉を覆っている筋膜が癒着し、硬くなると痛みが生じる病気です。専門の医療機関で診断や治療が可能です。
筋膜性疼痛症候群の方のリハビリは、姿勢の改善や運動指導などが行われるのが一般的です。治った後もマッサージやストレス解消を行うのが効果的で、経過観察としてリハビリを利用する方法もオススメです。