骨粗鬆の高齢者の方は要注意! 橈骨遠位端骨折を受傷した80代女性の例
2023.04.02
橈骨遠位端骨折(トウコツエンイタンコッセツ)とは、高齢者に多く、特に骨粗鬆症の老人に多発する手首の親指側にある骨(橈骨)の骨折のことをいいます。
転んで手をついたさいに起こる骨折で、骨折すると手首に強い痛みが出て、腫れたり、フォークを伏せて置いたような変形が見られる場合もあります。
骨折時にはギプス固定を行うことが多いですが、ギプス固定中や固定後に手の痺れや血行不良などの合併症を引き起こしてしまう場合もあるため、リハビリなど対策が重要です。
今回は、橈骨遠位端骨折の2次障害を予防するために必要なことを、骨折により手を動かせないことで筋力低下を引き起こしてしまった80代女性の例も交えて紹介します。
目次
放置すると骨が変形して固まる可能性も…手首骨折の回復のカギ
橈骨遠位端骨折の場合、レントゲン写真やCTで診断後、麻酔で痛みをとってから整復操作
(手首を引っ張ってずれた骨片を元に戻す処置)を行います。整復操作で対応できない場合は、ギプスで固定したり手術が必要になります。
骨折を放置すると、骨が変形した状態で固まったり、痛みが治まらないだけでなく腫れ、正中神経麻痺など合併症を引き起こす可能性もあるため、早期に診断・治療し、リハビリに進めていきましょう。
ギプスが固定されている状態の術後早期は、マッサージや前腕や手指など関節可動域訓練を行います。
ギプスを除去した術後回復期は、手首関節や手根骨など徐々に範囲を広げた可動域訓練や、リハビリ終了後の炎症を抑える寒冷療法(クーリング)などを行います。
参考:J-STAGE「橈骨遠位端骨折に対するMinimallyInvasivePlateOsteosynthesis(MIPO)後に生じた血腫による正中神経麻痺の一例」
日常での意識が大切|安全に過ごす方法を学んだ80代女性の声
骨折してからというものの、手首を動かすだけで痛い毎日…。痛みであまり動かせないことによる筋力の低下も気になりだしていた80代女性のAさん。家事などを満足にこなせない夫との二人暮らしのため、病院に行くことも困難です。
そんなとき、自宅でできる「自費リハビリ」の存在をチラシで知って「来てもらってリハビリできるなら、それにこしたことはない。」そう思って問い合わせました。
手のリハビリだけかと思っていたら、転びにくくするための動きやスムーズに体を動かす方法まで教えてもらい、次第に気持ちが前向きに。
「手首だけ治ってもまた転んでしまっては意味がない…」転ばないようにするために毎日の生活で意識し始めてから、回復が早まり、今ではちょっとした買い物程度なら一人で行けるまでになりました。
リハビリが辛いときもありましたが、「どうしたら安全に過ごせるのか」を考えるきっかけになったそうです。
病院に行かずにできる!自費リハビリは人生を前向きにする第一歩
保険適用のリハビリは、疾患ごとに入院日数の上限が決められているため、上限日数に達すれば、たとえ車椅子のままでも自宅や施設に戻らないといけません。
自費訪問リハビリは、保険適用内の制限がないので、上限日数や時間を気にすることなく自宅でリラックスした状態で自分の好きなだけリハビリを行えます。
そのため、Aさんも手のリハビリだけでなく、上限を気にしないで転びにくくするためのリハビリを受けることができ、日常生活で意識し始めてから気持ちの面でもポジティブになることに成功しました。
手が使えないというのは、想像以上に過酷なもので、食事やお風呂など自分一人では大変なことですが、リハビリスタッフに自宅での過ごし方のアドバイスもしてもらえます。
まとめ
橈骨遠位端骨折は、骨折が癒合しても手の機能を回復させるためのリハビリを行うことが重要です。手の機能には、握る・つまむ・支えるなど多くの機能があるのでリハビリで可動域や筋力など細やかな確認を行いましょう。
放置すると骨の変形や、手の動きを肘や肩でかばうことによる肘・肩の痛みなど2次障害を起こしてしまう可能性があるため、早期から適切な処置やリハビリを行わなければなりません。
自費訪問リハビリでAさんのように自宅で自分のペースに合わせたリハビリを行い、骨折しないための根本解決に取り組む方法としても有効です。